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6巻
6-1
しおりを挟む朝食前の噂話
朝、いつもより早く目覚める。
今日は商業ギルドにも菓子店リサにも行く予定はないので、久しぶりに猫亭の朝食を手伝う予定でいる。
昨日は月光さんに家まで送り届けられて……あー、いきなり月光さんの風魔法でお空の旅をさせられたのだった。
猫亭の入り口にいたはずだったのに、浮遊感と共にいつの間にか屋上にいた。
四階の屋上まで飛ぶのは、結構魔力を使うはずなんだけど……
着替えながら独り言を漏らす。
「月光さんって、一体何者なのだろう?」
部屋のドアを開けると、ジョーがリビングで仕事着に着替えていた。
「お父さん、おはよう!」
「お、ミリーか。今日はいつにもまして早いな」
「今日は久しぶりのお手伝いの日だからね」
「おお。ところで、昨日はいつの間に帰ってきたんだ?」
そうだった……昨晩はまるで泥棒のように帰宅したから、ジョーに帰宅の挨拶ができなかった。
帰宅方法も含め、爺さんが私に護衛を付けた理由を素直に話しても絶対ジョーに心配をかけるだけだ。
理由が理由だからなぁ。
(私への婚約の打診があった、なんて話をしたらジョーは絶対発狂する……よね?)
爺さんはそれを見越して、ジョーとマリッサに見つからないように私を護衛しろと月光さんに指示を出していた。
とりあえず、昨晩のことは適当に誤魔化すことにする。
「食堂が忙しそうだったから、声を掛けずにそのまま部屋まで上がったよ」
「そうだったのか? 確かに忙しかったからな。昨日は、ミカエルさんに送ってもらったのか?」
ジョーから視線を逸らしながら言う。
「ううん。別の……ギルド長の従者の人」
「ん? その別の従者とは、俺の知っている人なのか?」
「あ、うーん……どうだったかな?」
その『従者』が月光さん扮するルイジさんだとも言えず、悩みながら返事をしてしまう。
ジョーが訝し気な顔で釘を刺す。
「ミリー。その従者、次に猫亭に来た時に必ず紹介してくれ。それから、今度からは帰ってきたら必ず声を掛けてくれな」
「うん。今度から家に着いたら、ちゃんと声を掛けるね」
ジョーに笑顔でそう答える。
爺さんからの手紙以来、ジョーは、心なしか心配性が増したようだ。
婚約を希望している商会がいるなどと伝えれば、私は家から一歩も出してもらえなくなってしまうかもしれない。
従者の紹介については……うん、月光さんに丸投げしよう。
ルイジさんへの変装は、猫亭の常連客としてジョーに把握されているから使えない。
けど、月光さんはいろんな変装ができるようだから、きっと問題はないよね?
ジョーと一緒に厨房へと向かう。
二人で野菜の下処理をしながら今後のことを考える。
月光さんの護衛は、もしかしたら婚約を打診した商会が強引に私を連れ去るかもしれないからと付けられた。
婚約の話が落ち着くまで顔を出すことは禁止されたので商業ギルドには行けないが、菓子店リサに今まで通りジェームズに変装して通うことは許された。
商業ギルドに今すぐ行かなくちゃならない用事はないけれど、不便ではある。
この状況、私にできることは特にないので歯痒いけれど、爺さんが上手く解決してくれることを願う。
(できれば穏便に解決してほしいけれど……爺さんは、徹底的に圧力をかけるだろうな)
護衛期間が未定なことも少し不安だ。
しかも、四六時中という話だった。
(いや、あれは月光さんのジョークだよね?)
恐る恐る天井に視線を移す。いる? いない? どっち?
「ミリー、天井を睨んでどうしたんだ?」
「ううん。なんでもないよ。お父さん、そろそろ食堂の掃除をしてくるね」
「おう」
気を取り直して、箒の準備をする。
クリーンがあるので、箒はいらない。
けれど、一応誰かに見られた時に誤魔化せるように箒を手に持つ。
さて、掃除の時間だ!
食堂に入ると、水魔法を使いながら床の掃除をしていたラジェに手を振る。
「ラジェ、おはよう!」
「え、ミリーちゃん? おはよう。今日は朝食のシフトに入るの?」
「うん、久しぶりに朝食のお手伝いをする予定。それにしても、今日は食堂の汚れが凄いね。私も掃除を手伝うね」
どうやら昨晩はずいぶん忙しかったようだ。
床に落ちて踏まれた食べカスや、エールを零した汚れが普段よりも目立つ。
しばらくラジェと共に食堂の掃除に徹していると、入り口の扉に近い席に、魔法の痕跡が残っているのが見えた。
(昨日、誰かが魔法を使ったの?)
翌日まで魔法の痕跡が濃く残っているということは、結構強い魔法が使われたはずだ。痕跡だけでは誰の魔法なのかまでは分からないけれど……
食堂の掃除を終わらせ、カウンターにいたジョーに尋ねる。
「お父さん、昨日、あの席で何かあったの?」
「ん? 別に何もなかったぞ。そんなに汚かったか? 昨日は酔っ払いが多かったからな」
厨房にいたガレルさんがカウンターから顔を出すと、件の席を見ながら思い出したように言う。
「あそこ、婆さんと、四十ほど歳が離れた若い男の二人がデートしていた席だ。昨日、ケイトが言っていた」
「あぁ、そういえばそんなこと言っていたな。二人とも初めて見る客だった」
ジョーも頷きながら言う。
そんなに年齢差のある男女がデートだなんて珍しい――あれ? 何かが引っかかる。
昨晩、月光さんの言い残した「これからとある悪ガキと話がある」という言葉を急に思い出す。
ガレルさんに尋ねる。
「その二人、どんな人たちだったの?」
「いや、俺は近くで見ていない。でも、男のほうがフラれたとケイトに聞いた」
フッとガレルさんが思い出し笑いをする。
扉に近いその席は、カウンターから遠く、ジョーも二人の顔の詳細までは覚えていなかった。
他のお客さんと談笑して目を外したあと、いつの間にかお婆さんだけがいなくなっていたという。
「お婆さんが消えたってケイトが騒いでいたな。静かに帰っただけだろうが」
「そうなんだ。私も会ってみたかったな」
消えたという言葉が引っかかる。猫亭の扉は開く時にカランと音が鳴るから、静かに帰るとかは無理だと思う。
うーん。そのお婆さんって、まさか月光さん?
確か、子供と若い女性以外になら変身できると言っていた。
それに今まで猫亭を訪れたお客さんでこれほど濃い痕跡を残せる人、他に知らない。
もし月光さんだったら、一体誰と会っていたのだろう。
そして、同席していた男を振ったって一体何があったのかな。気になる……
「それより、二人とも早く朝食を食え。コーンスープとハム卵だ」
ジョーからトレーに載った朝食を受け取ると、すぐに思考は食欲に押しのけられた。
「美味しそう! お腹ペコペコなんだよね」
ラジェと二人で朝食を食べながら、最近の猫亭の話をラジェから聞く。
「お水の置き場はあっちに移動したよ。それからカウンターの一番右の席の椅子が少しガタガタしているから修理しないといけないんだ」
「応急処置だけど、土魔法で固めておくね」
「ミリーちゃん、ありがとう」
思えば、最後に猫亭で働いたのはいつだったかな?
商業ギルドへ行けない間は時間に余裕ができるから、これからは猫亭のお手伝いの回数を増やそうかな。すでに猫亭は私がいなくとも回っているようだけど……
朝食のトレーを片付けながらジョーに尋ねる。
「昨日の夜、食堂にルイジさん来た?」
「いや、来ていなかったな。今回はいつもより長期滞在だとマリッサに聞いたが、そういえば、まだ姿を見ていないな。朝食には顔を出すだろ」
ルイジさんこと月光さんは、私の護衛をするために猫亭に長期の予約を入れたって言っていた。
(本当に予約入れてたんだ……)
そんな話をしていると、食堂に本日一人目のお客さんがやってきた。月光さん扮するルイジさんだ。
噂をすればなんとやら……だね。
元気よく挨拶する。
「ルイジさん、おはようございます。今日は早いですね」
「そうだな。朝から腹が空いての。今日は一番乗りのようだ」
「今日の朝食はコーンスープとハム卵です」
「それは楽しみだの」
ルイジさんは、カウンターにいるジョーに軽く手を振ると奥の席に着いた。あの席は食堂全体を見渡すことができる。
穏やかな表情で座るルイジさんにトレーに載った朝食を運ぶ。
「ルイジさん、お待たせしました」
「ありがとうね。いつも変わらず、美味しそうだ」
満面の笑みで朝食を頬張るルイジさん。今はルイジさん以外のお客さんはまだいない。
昨日の食堂にいたというお婆さんの件をやんわりと尋ねるために、普段はセルフである水のお代わりを運ぶ。
「ルイジさん、お水のお代わりをどうぞ」
「ん? ああ、ありがとうね」
小声で尋ねる。
「昨晩はゆっくり眠れましたか?」
「ああ、もちろんだ」
「夕食は猫亭で召し上がったのですか?」
「そんなギラギラした目で何を聞きたいのかの?」
ルイジさんが満面の笑みで尋ねた。
どうやら、好奇心を募らせた表情を隠しきれていなかったようだ。
もう、直球で聞こう。
「昨日、お婆さんの変装で夕食をされましたよね? 一緒にいた男性は例の『悪ガキ』ですか?」
「……どうやって知った? 見ていたのか?」
ほんの一瞬だけだったけど、ルイジさんのキャラクターが崩れ、月光さんの表情が現れる。
やはり、今朝みんなが噂していた昨晩のお婆さんは月光さんで間違いないようだ。
「勘です。と言いたいところですが……今朝、一見さんのお婆さんと若い男のデートが噂されていたことと、昨晩ルイジさんが食堂を訪れていなかったことを聞いたので。その二つから、もしやと思っただけです」
実際はそれに加えて強い魔法の痕跡が残っていたのもあるけれど、そこまで月光さんに教える必要はない。
ルイジさんが諦めたように言う。
「お嬢ちゃんの前では何も隠せないな。こちらの負けだよ」
「それで、一緒にいた若い男性は誰ですか?」
「それは、あとで教えてあげよう。それより、ほら、客だ」
振り返ると、お客さんの数人が席に着き始めていた。
忙しくなった朝食の配膳にバタバタしていたら、ルイジさんがいつの間にか奥の席からいなくなっていた。
朝食が無事に終了。
ランチの下準備の手伝いに来たマルクと共に皿を洗う。ラジェは食堂の掃除中だ。
しかし、お婆さんにも変装できるなんて……やっぱり月光さんは凄いな。
男性の変装しか見ていないから、機会があればお婆さんの変装も見せてもらえるようお願いしよう。
月光さんの秘密を一つ暴けたことが嬉しく、皿を洗いながら自然と鼻歌を歌っていると、私の洗った皿を隣で拭いていたマルクが尋ねる。
「ミリーちゃん、機嫌がいいね。何かいいことがあったの?」
「なんだか、今日はいい日になりそうだなって思って」
皿洗いを終えると、四階に戻り「ただいま」と元気よく言いながらドアを開ける。
けど、家には誰もいなかった。
「あれ、出掛けたのかな?」
ダイニングテーブルの上に置いてあったメモを読む。
マリッサはどうやらジークと共に近所の子供たちの集まりに行ったようだ。
家の中には、実質私一人だ。
実質というのは、たぶん、いや、絶対に月光さんがどこからか私を見ていると思うからだ。
天井を見ながら言う。
「月光さん、いますよね? 出てきてください」
すぐに魔力の圧を感じる。
次の瞬間、目の前に月光さんが現れていた。
月光さんは、わざとらしく膝を曲げ挨拶をする。
「参上したぞ」
「あ、ありがとうございます」
とりあえずなぜか礼を言ったけど、本当に四六時中見守る……もとい、見張るつもりなんだね。
「マリッサ嬢とジーク坊はしばらくの間、出掛けているだろう。先ほどの話の続きだが、悪ガキというのはロイ・アズールのことだ」
「え! ロイさんですか! 猫亭に来たのですか!」
あの人、私の名前だけでもう猫亭まで辿り着いたの?
早過ぎる……私の予想ではもう少し時間が掛かると思っていたのに。
でも、ロイと顔見知りのはずのジョーは、ロイが来た、なんて話してなかったけど。
そんな考えが顔に現れていたのか、月光さんがククと笑う。
「ああ、一丁前に変装なぞしていたな」
「え? 変装……ですか?」
一体どんな変装をしていたのか気になる……
「心配するな。ロイ坊とはちゃんと話を付けたぞ」
ロイさん、ロイ坊って呼ばれているんだ。
それに、月光さんがロイさんと知り合いだったのも驚き。
「それで、ロイさんを脅したのですか?」
「ただの忠告だ」
月光さん曰く、昔馴染みだというロイさんにスパーク家と関わるなと軽く忠告をしたそうだ。
あのロイさんが忠告だけで引き下がったと聞いて、やや驚いた。
だって、あのしつこいロイさんだよ?
うーん、脅し込みの忠告だったのかもしれない。
二人はどういう経緯で面識があるのか気になったが、月光さんはそれ以上答えてくれるような雰囲気ではなかった。
これ以上聞くのは無粋だしやめよう。
それより、今日は月光さんに教えてほしいことがある。
「それでは、約束していた鍵の掛かった扉の開け方と、天井に移動するあの早業を教えてください!」
実際には仮面で覆われてるけど、月光さんの苦虫を噛み潰した表情が見えたような気がした。
「早業はともかく……開錠の仕方を本当に習うつもりなのか?」
「はい。いつか役に立つ場面があるかもしれないですよね?」
「そんなの、一体どのような場面だ」
「えーと……」
黒ずくめで覆われた顔からでも分かるジト目を、月光さんから向けられる。
開錠がどんな場面で必要かって?
ほら、ジョーがどこかに隠している砂糖を探す時とかに必要だと思う。もしかしたらその場所には鍵が掛かっているかもしれない。
ジョーが隠した砂糖をついに探し出した自分を想像し、ニヤッと笑う私。
それを見ながら月光さんがため息を漏らす。
「まぁ、いいだろう。ミリー嬢ちゃんが知りたいその二つの技は、基本的にコツが同じだからな」
「そうなんですか?」
「ああ。ミリー嬢ちゃんなら、説明するより実際に見せたほうが覚えが早いだろう」
月光さんはそう言うと、突然スッと目の前から消えた。
いつ見ても本当に不思議だけど、消える寸前、月光さんの魔力が上昇して一気に放たれたのを感じた。
でも……肝心の月光さんがその後にどこへ消えたのかは分からない。
最終的には天井裏にいるのは分かるけど、どうやってそこに行ったのかが謎だ。
天井を見上げ、月光さんの姿を探す。だが、もちろんいるわけがない。天井に向かって尋ねる。
「魔力を一気に放出して上に打ちあがったんですか?」
「流石。一回でよく分かったな」
月光さんが天井の一部をパカッと外し、顔を出す。
ええと、天井のあんな場所に出入口なんてないはずだ。
瞬間移動ではないのだから、どこかに出入口は必要だろうけど……ここ、一応家族のプライベートな場所なんだけど。
「そこの細工はいつからですか?」
「これか? 猫亭が最初の改装をした時に、業者に交ざってあちこちにな」
あちこちって……
それに、最初の猫亭の改装って七年近く前だ。結構長期間のプライバシーの侵害なんだけど。
私の部屋の天井は簡単な板張りだし、その上には板一枚を隔てて屋根裏部屋の荷物があったので細工はされていないだろうけど、ストーカー怖い。そのボスの爺さんも怖い!
「普通に怖いです。せめて、家族の個人的な空間に仕掛けを作るのはやめてくれませんか?」
「四階には必要のない限り入らないようにしている」
「その言葉を信じていいんですか?」
「ああ。バルティ様に誓うぞ」
思うところはたくさんあるけど……実際、マリッサの出産の時など、このストーキングのおかげで助かった面もある。今はこれ以上の文句は言わない。
「では、もう一度、早業を見せてください」
月光さんが気を遣ってか、先ほどよりは目で追うことのできるスピードで天井へと入っていく。うんうん。基本は簡単だ。素早く風魔法を使いながらジャンプをして天井に入る。ただそれだけ。それならできるかもしれない。
魔力を集中して一気に――
「待て待て! 何をしている! ここを吹っ飛ばす気か?」
月光さんの焦った大声が聞こえたので、溜めていた魔力を一旦止める。天井から下りてきた月光さんに、人差し指でおでこをぐりぐりとされる。
「痛いです」
「痛くしている。魔力が豊富な事は知っていたが、これほどとはな……先ほどのミリー嬢ちゃんの魔力でそのまま打ち上がっていたら、天井を破壊して空に飛んで行っていたかもしれないな」
飛んで行くって……ああ、そういえば!
昔、風魔法で飛ぶ練習をしていた時に、何度かコントロールを失い天井に打ち上がったのを思い出す。
あの頃は、今と比べてまだ魔力が全然少なかった。確かに、今なら魔力過多の勢いで天井をぶち抜きそうだ。
「気を付けて、もう一度やってみます」
「……先に開錠の練習をしたほうがいいな」
何か、月光さんに危ない子認定されたような気がする。
月光さんの信頼を取り戻すためにも、屋上に繋がる鍵の掛かった扉で開錠の方法をちゃんとマスターしよう。
風魔法を溜め、天井に自分を押し上げると同じように鍵を押し上げるだけだ。何度か練習が必要だろうけど、魔力のコントロールさえできれば、どちらともできるはずだ。
よし、と勢いをつけて月光さんの開錠を真似ると、すぐにカチッと音がして扉が開く。
「あれ……?」
開口一番に開錠の早業のコツを覚えてしまった。
胸を張りながら月光さんに言う。
「これで天井に隠れる術を練習しても問題はないですよね」
「そのようだな……」
月光さんの視線が痛いけど……再びリビングルームに戻り、天井移動の早業に挑戦する。
魔力をコントロールしながらほどよく溜め、一気に放つ。
「成功した!」
と、声を上げたのも束の間、急上昇した身体はそのまま天井に当たり、床へと落下する。
「痛ーい!」
「力み過ぎだ。もう少し力を抜けば大丈夫だ」
「やってみます」
急いで風魔法を発動して浮遊するが、天井に入るタイミングをしくじる。
天井付近で浮遊しながら、腕を組み唸る。
(うん。もう一度、始めからやり直そう)
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