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本編
ウニの可能性
翌日、少し遅く目が覚める。連日の旅の疲れが出ていたのか、まだ少々眠い。
昨晩のカニ料理を思い出し、ニヤける。
(ああ、カニ……美味しかったなぁ)
カニのことを考えていたら、お腹がキュルリと鳴った。昨日、あんなにカニを食べたのに……私の食欲は無限かもしれない。
準備をしてリビングに向かう途中、キッチンを覗き笑顔になる。
「ウニだ!」
そこにはバケツいっぱいに入ったハズレ針と困った顔のエルさんがいた。
「あ、お嬢様、おはようございます。朝食の準備をするのでお待ちください」
「ありがとうございます!」
エルさんが遅い朝食の準備をしてくれている間、ウニを眺める。ニ十個くらいあるけど、爺さんの手配が早いな。
「そういえば、ギルド長はどこですか?」
「エンリケ様なら、ラジェ様とサリと共にハズレ針の調達に出掛けております」
ん? ウニの調達? ウニならここにあるのに?
バケツの中のウニを眺める。種類は前世で言うムラサキウニやキタムラサキウニに近い。探せば、もしかしたらバフンウニやエゾバフンウニなどいるのかもしれない。考えたらバフンって馬糞のことだよね? ハズレ針もだけど、見たそのままのネーミングセンスって前世でもここでも変わらないね。
「あ、動いた」
痺れたようにモゾモゾと動き始めたウニ。バケツに少しは海水も入っているけれど……まだ生きているなら浸るまで海水に漬けたほうがいいよね? うん。じゃないと鮮度が落ちてしまう。
大きい水槽はもちろんない。キッチンにあった木製のバケツにウニを数匹ずつ分けて入れ、水と塩で作った海水もどきで浸した。木製バケツは古い物もあり、水漏れが心配だ。一応、木製のバケツの隙間を土魔法で強化しようと思ったけど……結局のところ土だから、徐々に水が滲んで海水もどきが漏れてしまいそうだ。
(そうだ! 鉄!)
昨晩、魔力枯渇のために出していた花咲カニの一部分が鉄でできていた。水魔法の上位魔法が氷のように、きっと土魔法の上位は鉄なのだと思う。
鉄板を連想しながら、バケツに土魔法を使う。すると、バケツの隙間を鉄の補強が覆う。土魔法よりも確実に魔法を消費しているのが分かる。
(魔法ってどこまで進化するのだろう……?)
早急に魔導書を手に入れよう。可能なら、アジュールで手に入れられればいいな。
海水もどきの水は、魔法で出したから不純物はないと思う。ミネラルとかもないけど、これでウニがすぐにダメになってしまうこともないと思う。
「お嬢様、朝食の準備が出来ました」
「わぁ、美味しそう!」
朝食は白身魚のステーキと卵、それから芋を蒸かしたものだった。朝から贅沢だ。
エルさんがバケツの中のウニを眺めながら言う。
「これはまだ生きているのか……餌は必要なのだろうか」
ウニの餌……ウニは確か雑食だ。増えすぎると、海藻を食べつくしてしまうと聞いたことがある。確か、与えればキャベツとかも平気で食べるはず。
「たぶん、なんでも食べると思います」
「そうなんですか? なら、残った葉クズでも与えましょう」
朝食を済ませ、エルさんと一緒に試しに葉クズをバケツに入れてみる。すると、ウニたちは葉クズに群がり始めた。
「食べましたね」
「ハズレ針の口は裏側についていたんですね。ゴミの処理ができて良かったです」
確かに、考えてみたら裏側が口なのは不思議かもしれない。
玄関から音がする。爺さんたちが戻ってきたようだ。
爺さんが私を見て、一番に言う。
「お主、ようやく起きたか。ずいぶん遅かったな」
「なんだか少し疲れが出てしまって。でも、今は元気いっぱいです!」
「そうかそうか」
「あ、先ほど台所でハズレ針を見ました。調達をありが――」
「これはどこへ運べばいい?」
私の言葉を遮り、爺さんの後ろから、色やけた大男が大きな樽を抱えながら尋ねた。
「真っ直ぐいった台所に頼む」
爺さんの指示で、ドンと置かれた樽の中にを覗くと……ウニの山が入っていた。
追加ウニは最初に見た倍ほどいる。
爺さん……いくらかウニが無料同然だからって、限度があると思う。
配達をした色黒の男が去ると、爺さんが振り向きながらドヤ顔で言う。
「どうだ。ハズレ針を集めてきたぞ。これで十分に新しいレシピが作れるであろう」
十分どころか、ここにいる全人が痛風コースになる量だ。
前世では高級食品で、たまにお見かけするからテンションが上がったのだけど……こんなにたくさん……
「嬉しいような、嬉しくないような……」
「なんだ、不満か? 必要ならもっと調達できるぞ、なんせ金は掛からないのだからの!」
「そんな大量にいりませんよ……」
酒も買わなければと、嬉しそうに言う爺さんを少し呆れた顔で見る。
毎日食べる気でいるみたいだけど……たぶん、二日で絶対に飽きると思う。たまに、少量食べるから美味しいものだってあるんです!
「そうだ。レシピ研究用に買い足しも必要であろう。必要な費用は私が出す。これは投資だ」
そう言って爺さんが小金貨を数枚渡してきた。
「こんなにいらないと思い――あ、いります」
「ん? 何かレシピを思いついたのか?」
思いついた。でも、そのレシピには蜂蜜か砂糖がいる。いらなくても、ついでに買って置こう。ククッと口角を上げる。
「最初は、手軽にできそうなパスタから作ってみますね」
「うむ。頼んだぞ」
爺さんが上機嫌で答える。
爺さんから受け取った小金貨五枚を眺める。ウニレシピに五十万……。
爺さん……ジョーの母のステファニーさんが、私に旅の足しにと小金貨を渡していたのを上げすぎだと批判していたけど……人のこと言えないと思う。
**
長らくお待たせいたしました。
遅くなりましたが、再開します。
よろしくお願いいたします。
トロ猫
昨晩のカニ料理を思い出し、ニヤける。
(ああ、カニ……美味しかったなぁ)
カニのことを考えていたら、お腹がキュルリと鳴った。昨日、あんなにカニを食べたのに……私の食欲は無限かもしれない。
準備をしてリビングに向かう途中、キッチンを覗き笑顔になる。
「ウニだ!」
そこにはバケツいっぱいに入ったハズレ針と困った顔のエルさんがいた。
「あ、お嬢様、おはようございます。朝食の準備をするのでお待ちください」
「ありがとうございます!」
エルさんが遅い朝食の準備をしてくれている間、ウニを眺める。ニ十個くらいあるけど、爺さんの手配が早いな。
「そういえば、ギルド長はどこですか?」
「エンリケ様なら、ラジェ様とサリと共にハズレ針の調達に出掛けております」
ん? ウニの調達? ウニならここにあるのに?
バケツの中のウニを眺める。種類は前世で言うムラサキウニやキタムラサキウニに近い。探せば、もしかしたらバフンウニやエゾバフンウニなどいるのかもしれない。考えたらバフンって馬糞のことだよね? ハズレ針もだけど、見たそのままのネーミングセンスって前世でもここでも変わらないね。
「あ、動いた」
痺れたようにモゾモゾと動き始めたウニ。バケツに少しは海水も入っているけれど……まだ生きているなら浸るまで海水に漬けたほうがいいよね? うん。じゃないと鮮度が落ちてしまう。
大きい水槽はもちろんない。キッチンにあった木製のバケツにウニを数匹ずつ分けて入れ、水と塩で作った海水もどきで浸した。木製バケツは古い物もあり、水漏れが心配だ。一応、木製のバケツの隙間を土魔法で強化しようと思ったけど……結局のところ土だから、徐々に水が滲んで海水もどきが漏れてしまいそうだ。
(そうだ! 鉄!)
昨晩、魔力枯渇のために出していた花咲カニの一部分が鉄でできていた。水魔法の上位魔法が氷のように、きっと土魔法の上位は鉄なのだと思う。
鉄板を連想しながら、バケツに土魔法を使う。すると、バケツの隙間を鉄の補強が覆う。土魔法よりも確実に魔法を消費しているのが分かる。
(魔法ってどこまで進化するのだろう……?)
早急に魔導書を手に入れよう。可能なら、アジュールで手に入れられればいいな。
海水もどきの水は、魔法で出したから不純物はないと思う。ミネラルとかもないけど、これでウニがすぐにダメになってしまうこともないと思う。
「お嬢様、朝食の準備が出来ました」
「わぁ、美味しそう!」
朝食は白身魚のステーキと卵、それから芋を蒸かしたものだった。朝から贅沢だ。
エルさんがバケツの中のウニを眺めながら言う。
「これはまだ生きているのか……餌は必要なのだろうか」
ウニの餌……ウニは確か雑食だ。増えすぎると、海藻を食べつくしてしまうと聞いたことがある。確か、与えればキャベツとかも平気で食べるはず。
「たぶん、なんでも食べると思います」
「そうなんですか? なら、残った葉クズでも与えましょう」
朝食を済ませ、エルさんと一緒に試しに葉クズをバケツに入れてみる。すると、ウニたちは葉クズに群がり始めた。
「食べましたね」
「ハズレ針の口は裏側についていたんですね。ゴミの処理ができて良かったです」
確かに、考えてみたら裏側が口なのは不思議かもしれない。
玄関から音がする。爺さんたちが戻ってきたようだ。
爺さんが私を見て、一番に言う。
「お主、ようやく起きたか。ずいぶん遅かったな」
「なんだか少し疲れが出てしまって。でも、今は元気いっぱいです!」
「そうかそうか」
「あ、先ほど台所でハズレ針を見ました。調達をありが――」
「これはどこへ運べばいい?」
私の言葉を遮り、爺さんの後ろから、色やけた大男が大きな樽を抱えながら尋ねた。
「真っ直ぐいった台所に頼む」
爺さんの指示で、ドンと置かれた樽の中にを覗くと……ウニの山が入っていた。
追加ウニは最初に見た倍ほどいる。
爺さん……いくらかウニが無料同然だからって、限度があると思う。
配達をした色黒の男が去ると、爺さんが振り向きながらドヤ顔で言う。
「どうだ。ハズレ針を集めてきたぞ。これで十分に新しいレシピが作れるであろう」
十分どころか、ここにいる全人が痛風コースになる量だ。
前世では高級食品で、たまにお見かけするからテンションが上がったのだけど……こんなにたくさん……
「嬉しいような、嬉しくないような……」
「なんだ、不満か? 必要ならもっと調達できるぞ、なんせ金は掛からないのだからの!」
「そんな大量にいりませんよ……」
酒も買わなければと、嬉しそうに言う爺さんを少し呆れた顔で見る。
毎日食べる気でいるみたいだけど……たぶん、二日で絶対に飽きると思う。たまに、少量食べるから美味しいものだってあるんです!
「そうだ。レシピ研究用に買い足しも必要であろう。必要な費用は私が出す。これは投資だ」
そう言って爺さんが小金貨を数枚渡してきた。
「こんなにいらないと思い――あ、いります」
「ん? 何かレシピを思いついたのか?」
思いついた。でも、そのレシピには蜂蜜か砂糖がいる。いらなくても、ついでに買って置こう。ククッと口角を上げる。
「最初は、手軽にできそうなパスタから作ってみますね」
「うむ。頼んだぞ」
爺さんが上機嫌で答える。
爺さんから受け取った小金貨五枚を眺める。ウニレシピに五十万……。
爺さん……ジョーの母のステファニーさんが、私に旅の足しにと小金貨を渡していたのを上げすぎだと批判していたけど……人のこと言えないと思う。
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長らくお待たせいたしました。
遅くなりましたが、再開します。
よろしくお願いいたします。
トロ猫
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