かつてダンジョン配信者として成功することを夢見たダンジョン配信者マネージャー、S級ダンジョンで休暇中に人気配信者に凸られた結果バズる

竜頭蛇

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『どうした、エボリューション? なんで手を止めているんだ?』

 マネージャーの谷崎の声にエボリューションは嫌気がさす。
 彼は画面越しに全て見ていたはずなのだ。
 もう大勢は決したことはわかっているし、熱を上げた挙句に敗北したこともわかっていたはずなのだ。
 なぜそんな白々しいことが言えるのか、エボリューションにはわからなかった。

「もう終わったんです。わかってるでしょう?」

『終わってる? 諦めたと言うのか、お前が?』

「諦めたに決まってる! 配信画面を見ればわかるだろうが!」

 わかりきったことを何度も問いかけてくる谷崎に対して、流石に苛立ちが限界を迎えたエボリューションは怒鳴り声を上げる。

『俺の画面には悔しそうに俯く男しか映ってはいない。 お前が言っていることとは全くの逆だ』

「なんでそうなるんだよ……」

 めちゃくちゃだった。
 ただ諦める自分の姿が気に入らなくて難癖をつけてるだけだとエボリューションは断じた。

『なんでだと……? 全てを諦めた奴が悔しそうな顔などしないからだ! その顔は諦めきれない奴がする顔だ! どうしてお前は自分に嘘をつく!』

 強制的に会話を打ち切るためにインカムに手を伸ばそうとして、谷崎の切実な訴えを聞いてエボリューションがインカムに伸ばした手が止まった。

「しょうがないでしょ、諦めてなかろうが結果は見えているんです! 諦めきれずにいる心を封じ込めれば、大勢のリスナーにこれ以上恥をかく姿を見られずに済む! 感情のままに走って大恥をかく。これほどバカなことはない!」

『目を覚ませ! 困難にぶつかって、それでも諦めずにいるものを恥ずかしいと思う奴がどこにいる!  そんなものは結果を見て、わかったようなことを言う阿呆だけだ! この配信でずっとお前が戦う様を見てきたものが恥などとは決して思わない! 周りの声に耳をすませろ!!』

 ・頑張れ
 ・エボちゃん今日はかっこよかったで
 ・トップ攻略者、トップ配信者と一緒の画面におっても見劣りせんかった
 ・もっとかっこいいところ見せてよ
 ・やっぱりエボちゃんが一番
 ・かっこええところ見せとんのに、俯くなや

「くそ、くそ!」

 エボリューションは卑怯だと思った。
 ここまで背を押されて、これだけ自分を肯定する声を聞いて、応えないことなどできるわけがない。

「うおおおおおおお!!」

 強大なモンスターの壁に向けて、踏み込む。

『壁をぶち抜け! エボリューション!』

 再び超えられない壁の向こう側にいる配信者に向けてエボリューションは手を伸ばした。

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