38 / 48
豚野郎危機一髪
しおりを挟む宿泊施設と言っても、俺のところのようなクソデカ高層ホテルのような感じではなく、でっかい宿屋のような感じです。
学園の大半の生徒はこっちに泊まるのが普通なのでしょう。
「今日はありがとね」
「気にしなくていい。お前に貸した分の金は回収したし、お前が賭けて勝っただけだしな。それよりもこれを受け取れ」
ロロナの部屋に案内されたので忘れないうちに先ほどもらった金貨袋を渡します。
「ああいいよ。これ。別にお金が欲しくてギャンブルしてるわけじゃないし。大金を賭けるヒリつく感じが好きなだけだから」
ロロナが金貨袋をそのままリバースしてくれました。
金が目的じゃなくてがギャンブル自体が目的とはガチ目のギャンブラーの方なんですね。
まあ丸々くれるというのなら貰っときましょう。
あのカジノなんかオーナー逮捕されそうだし、ロロナの借金もチャラになってそうですしね。
「それよりもさあ、なんかあたしにして欲しいことない?」
ラッキーですねと思っているとロロナが耳元で甘い声音で囁いて来ました。
パパ活の匂いがします。
そういえばこの人俺にくれるのはいいですが現在所持金ゼロですからね。
ギャンブラーとしての意地として賭けで手に入れた神聖な金は受け取れないけど、金は必要なのでとりまパパ活といったところでしょうか。
体が万全ならゴーしてもよろしかったですが、この体魔法抜きで動くと死を覚悟するレベルでクソしんどくなるのでできないんですよね。
それに代わりに聞いておきたいことがありますし。
「貴様のことが知りたい」
「あたしのこと? ふーん。 あたしの何が知りたいの?」
豚野郎の口調って相変わらずデーモン閣下みたいだなと思いながら尋ねるとロロナが首に手を回してきてそう返してくる。
何が知りたいっていかにも怪しい親御さんのことですよ。
なんかあからさまな弱点とかないんですか、実は生命維持装置をつけてて、それがないと生きられないとか。
部屋の奥の斧に触れたら、マグマにドボンして倒せるとか。
前地味にギリギリだったのでできれば直接対決せずにサラッと確実に始末したいんですよね。
俺は元の世界では一般人なので危険に晒されたくないですし。
「全部といいたいところだが、それでは漠然としすぎて答えづらいか。当たり障りのない家族とかからはどうだ?」
「焦らすね。あたしん家は変わってるから冷めちゃうかもしれないけど知りたいならしょうがないな。ウチはパパって呼べって言ってくる変わり者の姉ちゃんが一人だけ。仕事しながらずっと世話焼いてくれてるんだ」
はいヘイコラして聞いたら、ファラスっぽいのが出て来ました。
ご本人から言ったこととプロフィールが若干違いますが奴は嘘つきだし、どうでもいいところなのでそれはいいです。
早く俺に生命維持装置的な楽に突ける弱点を教えてください。
直接聞きたいですけど怪しまれてチクられるのが危険なのでいけませんね。
もどかしいです。
「変わっているものこそ魅力的に見えるものだ。私のように特別じゃない人間からしたらな。それにしても姉上は変わっているな。パパとは。そっちの気がありそうだがこう言うことも教えてもらったのか?」
「プ! なわけないじゃん。あたしの情報網からだよこれは。うちの姉ちゃん多分やったこともないと思うよ。性格に難があるし、忙しいし」
「面倒を見てくれる姉って言うことはもう年的にとっくの昔に一度は結婚してるんはずだろ。そんなことあり得るのか?」
「ああ姉ちゃんあたしとは同い年で双子みたいなもんだから。まだ結婚には少し早いくらいだよ」
どうでもいいところで矛盾が生じて弱点になかなか漕ぎ着けないすね。
いやどう言うことなんですか。
0歳で同じ赤ん坊の面倒見てたことですか?
スーパーベービーすぎるだろあのおっさん。
赤ん坊の時からあのわざとらしい態度とってそうですね。
いやあ一番かわいい時期にそれはきついですよ。
そんな赤ん坊、赤ちゃんポストにダンクシュート不可避ですよ。
いや常識に考えれば今現在面倒見てくれてるだけで、昔は違ったってことですかね。
「ああ、面倒を見てたって言うのは最近になっててことか。それまではどうしてたんだ?」
「いや生まれた時から姉ちゃんは完璧だったから。ずっと面倒見てきてくれたよ」
はい、ファラススーパーベービー確定です。
どうやら赤ん坊の頃に赤ちゃんポストにダンクシュートされたようです。
ファラスに悲しき過去ありですね。
そんなヘビーなことになっていたら美少女に正当進化せずに、育成失敗虚言癖空気仮面おじさんになってしまうことも納得です。
最近の子の生育環境はイレギュラーすぎておじさんついていけませんね。
これがジェネレーションギャップってやつなんでしょうか。
とりま周辺情報が喧しすぎて、普通の子でも名前覚えるのが手一杯気味な俺の手には追えません。
少し強引ですが、このままだと脳がパンクするので弱点そのまま聞きに行きたいと思います。
「あー、そうなのかー。それだけ完璧だと貴様の助けとかいる弱点はない感じか?」
「助けのいる弱点はないねえ。性格なら堅物とか根に持つとかあるけど」
はい、空気仮面の弱点は悲しき過去だけのようです。
バトってる途中に赤ちゃんポストダンクシュートマンと言って精神的揺さぶりをかけたいと思います。
「あ、やっぱり話したら冷めてるじゃん! もー! ちょっとー!」
あ、ちょっと! 同意なしに股間を握るのをやめなさい!
同意なしの性行為はレ……あ! あ! あ!
まずいです集中が途切れて魔法が途切れてます!
性的な方じゃない方で昇天してしまいます!
俺がくそしんどくなってきて死を覚悟すると警報のサイレンが聞こえてきて、ロロナの動きが死ぬ一歩手前で止まりました。
危ねえ、このアマ……。
姉妹揃って碌なもんじゃねえ。
「あ、なんか鎧戦ってるし! 危な! 急いで避難しよスラン君!」
何が鎧危ないですか、あなたが一番危ないですよ。
まさかイクスが暴走して九死に一生を得るとは人生わからんもんです。
とりま有事の時は戦えで、シアからイクス捕獲しろなので『東雲』の元にゴーです。
「私は行かねばならん。貴様は避難しておけ」
窓から飛び出して、密輸港に向かいます。
3
あなたにおすすめの小説
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
乙女ゲームのヒロインに転生、科学を駆使して剣と魔法の世界を生きる
アミ100
ファンタジー
国立大学に通っていた理系大学生カナは、あることがきっかけで乙女ゲーム「Amour Tale(アムール テイル)」のヒロインとして転生する。
自由に生きようと決めたカナは、あえて本来のゲームのシナリオを無視し、実践的な魔法や剣が学べる魔術学院への入学を決意する。
魔術学院には、騎士団長の息子ジーク、王国の第2王子ラクア、クラスメイト唯一の女子マリー、剣術道場の息子アランなど、個性的な面々が在籍しており、楽しい日々を送っていた。
しかしそんな中、カナや友人たちの周りで不穏な事件が起こるようになる。
前世から持つ頭脳や科学の知識と、今世で手にした水属性・極闇傾向の魔法適性を駆使し、自身の過去と向き合うため、そして友人の未来を守るために奮闘する。
「今世では、自分の思うように生きよう。前世の二の舞にならないように。」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる