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やれやれ系主人公
しおりを挟む俺が探していたそいつは岩陰に仏頂面で立っていた。岩にもたれて、腕を組んでいるさまは本当に不機嫌極まりないと言外に言っているようだ。
おそらく奴は太陽が中天に至って、日差しがきつかったゆえにこんなところにいるというのに。
そんな日和った態度を感じさせないほど堂々としている。
「何のようだ。それにテメエ、さっきのはなんのつもりだ?」
「一気に二つの事を質問されても、答えられないだろ……聞くときは一つにしてくれ」
ショットがせわしなく、一気に二つの事を問い詰めてくるので、思わず口から悲鳴が出る。
俺の悲鳴を聞くとショットは目に鋭い光を走らせた。
「いや、学園にあるものを壊さなきゃならないからお前と手を組みに来ただけだ。それにさっき、助けたのは協力できそうな相手がいるのを見殺しにしてもしょうがないからだ」
俺はその視線に体の芯から冷えさせるものを感じたので、素直に奴の質問に答えた。
「お前、さっきまであいつらのところにいたのに、なんで目的を達成しなかったんだ。懐に入ってんだ。そんなもんいつでもできただろう。もっとましな嘘が言えねえのか」
素直に質問に答えたというのに、ショットには怪しまれたようだ。さっきまであっちサイドにいたのだ。そりゃ疑われて当たり前か。
「嘘じゃない。お前は、俺が一人で深淵を壊せると思っているのか?」
そういうと、ショットは俺の真意を確認するように俺の目を覗き込んだ。奴の目が一瞬光を放ったような気がした。
「……思わねえ。その深淵の魔王はどういう奴だ?」
よくわからないが、俺の嫌疑が薄れて、ショットが乗り気になっている気がする。少し不気味だが、調子はいいし、気にしないことにしよう。
「さっき、お前が戦っていた奴だ」
「あれがか……」
ショットは信じられないような顔をしている。俺はあの化け物相手にそんな態度をとれるお前が信じられない。
「あれがだ。お前の基準はよく知らんが。あいつはおぞましい相手だ。魔法も剣も使えるし、魔法は特に厄介だ」
ショットは思案するような顔になる。
「それなら俺一人で十分だ。お前と組む必要がねえ」
ショットはそっけなく俺の申し出を蹴った。こちらは蹴られても困るというのに。
お前は出来ると思ってても、未来ではできずに撤退したことになってるんだよ。
「あいつがあの時に全部自分の手を明かしたとは限らないだろ」
「あれ以外を出そうが、俺が負けることはまずねえよ。剣でも魔法でも俺の練気は奴の攻撃を弾いているんだから。攻撃が通らねえのにいまさら何やられた遅れを取る事はねえ」
もどかしい。こいつがシェイムを破れないことは知っているというのに、細かい事は知らないから否定されても何も言えない。
「それでももしかしたらあるかもしれないだろう。お前が俺と手を組まなくても俺はお前についてくからな」
「はぁ……」
俺が意思を伝えると、ショットはもうめんどくさいと感じで溜息だけついた。
なんか俺、やれやれ系主人公についていく、ヒロインみたいだな。
そんな事を思いながら、俺はショットに随行することを決定した。
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