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昼飯(謝罪)
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「そ、そんなに匂うっ?」
「あー、ミーとダーリンは、特別鼻が利くから……」
思わず手指を嗅いだオレに、あははと笑いながらアリスがフォローなのか、フォローじゃないのかわかんないことをいう。
ん……、まあ、ちょっと臭わないでもないかなと自分でも思うけど、ううむ。
今朝、洗ったつもりだけど、短かったかな?(;´д`)トホホ…
とか何とか考え込んでたら。
『何、あの目立つ4人組?』『昨日もいたイケメンくんとお姫様?』『何、あのレスラー?』『うわ、すっごいエロい金髪美女』『何話してるんだろ?』
遠目から聞こえる声。
「……ミレイ、いくぞ!」
「えっ、ちょっ、ちょっと……っ?!」
鐵也が小さく舌打ちして、オレの手を取ると、ずんずんと歩いていく。
置いてけぼりを食った感のある青島くんとアリスは、軽く肩をすくめながら、見送ってる。
えっと、……一緒に登校するって流れかなって思ってたんだけど。
その後。
「青島牛吾くん~……、欠席~……」
「アリス・グリーンマンくん~……、欠席~……」
何故か、朝礼になっても、二人は、教室に出てこなかったのだった。
これ、もしかしてオレたちが原因……じゃない、よね?
◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇
「結局あの二人、あの後、どうしたんだろ?」
「さぁな」
午前の授業も終わって、オレと鐵也は、中学の時のノリで二人して弁当広げてた。
周囲の女子が何かチラチラオレたち見てたけど、何か凄く面倒なことになりそうなんで、気づかないフリ!
とか思ってたら。
「チーッス、未玲ちゃん、斎藤くん、お邪魔するッスよ!」
「……シズマ、落ち着け」
そんな女子たちの視線を遮るようにして、二人の男子が目の前の椅子に腰掛けてくる。
一人は、小学校から全く変化せずそのまま育ったようなワンパク系男子。
もう一人は、物静かな雰囲気の整った顔立ちの片目が隠れたメカクレ系男子。
どっちも172センチくらい。
鐵也ほどじゃないけど、高1にしては、結構背が大きい。
えー……、と?
とっさに誰か思い出せず、つい鐵也を見ると。
「……?」
鐵也は、やや驚いた表情を浮かべた後、僅かに首を振り、ワンパク系男子を見た。
「井上、何の用だ?」
「おおおっ、ほら見ぃ、ゆーと! 騎士くん、オレのこと覚えてたッスよ?」
「……意外」
井上……?
「ああ、井上くん!
青島くんのせいで、自己紹介邪魔されてた、あの?」
「ちょっ、その覚え方?!
いや、合ってるッスけど! 合ってるッスけどぉ?!」
「……良かったじゃないか」
「ゆーと、本気でそれいってるッスか?」
ガクッとした様子で、突っ伏す井上くんと、その頭を撫でるメカクレ男子。
いや、申し訳ないけど、……接点他になかったし、ほら。
「ところで、お前は……、誰だ?」
鐵也が、無造作にメカクレ男子に問う。
「……ああ、ボクのこと?」
メカクレ男子は、井上くんの頭を撫でる手を止め、オレたちをマジっと見てくる。
「……はじめまして。
……僕の名前は等々力ゆーと、……シズマの幼馴染、クラスは隣だよ」
「そうか」
鐵也は、等々力くんの説明に数秒思案した後、……何か得心した表情で、頷く。
いや、一体どうしたんだよ、鐵也?
思わず背中をつついて、ヒソヒソ聞いたら、『何処かで遭った気がしたが気の所為だった』との返答。
まあ、そういうこともよくある、……のかな?
「で、何の用だ?」
「何って、そりゃ、友だちになろうってことッスよ!」
(どーんっ!)
そういいながら、シズマが机の上に、『和牛上等!』とでっかく書かれた惣菜パンを置く。
どれくらいでっかいかというと、普通の焼きそばパンのサイズの2倍。
しかも、間に薄くスライスされて焼かれた牛肉と新鮮な野菜がぎっしり。
「ふふふ、驚いたッスか?」
井上くんがシュタタタタッと素早い仕草で包を解くと、更に濃厚な香りが漂いだす。
何、これ?
思わず見た目と香りと勢いに飲まれかけてたら。
「なるほど、構わんぞ」
頭上から声、そして大きな手が伸びてきて、むんずとソレを掴んで。
(しゃぐっ、もぐっ、しゃぐっ、もぐっ)
迷わず自分の口に放り込んだその人は。
今日二度目の欠席(遅刻?)確定の青島くんその人だった。
ちなみに、その背後では、首をかしげるアリスも。
「な、何するッスかーっ?」
その光景を見て、思わず絶叫する井上くん。
「何って、……テツヤと友だちになるための、贈りもんなんだろ?
なら、テツヤのダチであるオレへの贈り物でもある、だからだな」
「それは、オレが食べるためにっ、朝4時から並んで買った今日の昼飯ッスよおおおっ!」
え、鐵也への贈答品じゃなかったの?
同じ印象を抱いてたらしく、井上くんの横では、等々力くんが呆れたようにため息を漏らしてる。
「……」
(ごっくん)
「……ぬう」
口に放り込んだ惣菜パンの半分を咀嚼し、呑み込んだ後、青島くん、わずかに呻き。
「返すわ」
食いかけの惣菜パンを差し出す。
もちろん、男子2人がメシの遺恨を発生させて、ただで済むはずがなく。
「初キッスが男子との間接キッスとか誰も得しねぇッスよおおおおおっ!」
今にも血涙を流さんが勢いで地団駄する井上くんに、完全に気押される青島くん。
「謝れッス! せめて謝れッスうううううううっ!」
「……すまん」
うん、……やっぱり、青島くん、素直だわ。(やったことは褒められないけど。)
「あー、ミーとダーリンは、特別鼻が利くから……」
思わず手指を嗅いだオレに、あははと笑いながらアリスがフォローなのか、フォローじゃないのかわかんないことをいう。
ん……、まあ、ちょっと臭わないでもないかなと自分でも思うけど、ううむ。
今朝、洗ったつもりだけど、短かったかな?(;´д`)トホホ…
とか何とか考え込んでたら。
『何、あの目立つ4人組?』『昨日もいたイケメンくんとお姫様?』『何、あのレスラー?』『うわ、すっごいエロい金髪美女』『何話してるんだろ?』
遠目から聞こえる声。
「……ミレイ、いくぞ!」
「えっ、ちょっ、ちょっと……っ?!」
鐵也が小さく舌打ちして、オレの手を取ると、ずんずんと歩いていく。
置いてけぼりを食った感のある青島くんとアリスは、軽く肩をすくめながら、見送ってる。
えっと、……一緒に登校するって流れかなって思ってたんだけど。
その後。
「青島牛吾くん~……、欠席~……」
「アリス・グリーンマンくん~……、欠席~……」
何故か、朝礼になっても、二人は、教室に出てこなかったのだった。
これ、もしかしてオレたちが原因……じゃない、よね?
◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇
「結局あの二人、あの後、どうしたんだろ?」
「さぁな」
午前の授業も終わって、オレと鐵也は、中学の時のノリで二人して弁当広げてた。
周囲の女子が何かチラチラオレたち見てたけど、何か凄く面倒なことになりそうなんで、気づかないフリ!
とか思ってたら。
「チーッス、未玲ちゃん、斎藤くん、お邪魔するッスよ!」
「……シズマ、落ち着け」
そんな女子たちの視線を遮るようにして、二人の男子が目の前の椅子に腰掛けてくる。
一人は、小学校から全く変化せずそのまま育ったようなワンパク系男子。
もう一人は、物静かな雰囲気の整った顔立ちの片目が隠れたメカクレ系男子。
どっちも172センチくらい。
鐵也ほどじゃないけど、高1にしては、結構背が大きい。
えー……、と?
とっさに誰か思い出せず、つい鐵也を見ると。
「……?」
鐵也は、やや驚いた表情を浮かべた後、僅かに首を振り、ワンパク系男子を見た。
「井上、何の用だ?」
「おおおっ、ほら見ぃ、ゆーと! 騎士くん、オレのこと覚えてたッスよ?」
「……意外」
井上……?
「ああ、井上くん!
青島くんのせいで、自己紹介邪魔されてた、あの?」
「ちょっ、その覚え方?!
いや、合ってるッスけど! 合ってるッスけどぉ?!」
「……良かったじゃないか」
「ゆーと、本気でそれいってるッスか?」
ガクッとした様子で、突っ伏す井上くんと、その頭を撫でるメカクレ男子。
いや、申し訳ないけど、……接点他になかったし、ほら。
「ところで、お前は……、誰だ?」
鐵也が、無造作にメカクレ男子に問う。
「……ああ、ボクのこと?」
メカクレ男子は、井上くんの頭を撫でる手を止め、オレたちをマジっと見てくる。
「……はじめまして。
……僕の名前は等々力ゆーと、……シズマの幼馴染、クラスは隣だよ」
「そうか」
鐵也は、等々力くんの説明に数秒思案した後、……何か得心した表情で、頷く。
いや、一体どうしたんだよ、鐵也?
思わず背中をつついて、ヒソヒソ聞いたら、『何処かで遭った気がしたが気の所為だった』との返答。
まあ、そういうこともよくある、……のかな?
「で、何の用だ?」
「何って、そりゃ、友だちになろうってことッスよ!」
(どーんっ!)
そういいながら、シズマが机の上に、『和牛上等!』とでっかく書かれた惣菜パンを置く。
どれくらいでっかいかというと、普通の焼きそばパンのサイズの2倍。
しかも、間に薄くスライスされて焼かれた牛肉と新鮮な野菜がぎっしり。
「ふふふ、驚いたッスか?」
井上くんがシュタタタタッと素早い仕草で包を解くと、更に濃厚な香りが漂いだす。
何、これ?
思わず見た目と香りと勢いに飲まれかけてたら。
「なるほど、構わんぞ」
頭上から声、そして大きな手が伸びてきて、むんずとソレを掴んで。
(しゃぐっ、もぐっ、しゃぐっ、もぐっ)
迷わず自分の口に放り込んだその人は。
今日二度目の欠席(遅刻?)確定の青島くんその人だった。
ちなみに、その背後では、首をかしげるアリスも。
「な、何するッスかーっ?」
その光景を見て、思わず絶叫する井上くん。
「何って、……テツヤと友だちになるための、贈りもんなんだろ?
なら、テツヤのダチであるオレへの贈り物でもある、だからだな」
「それは、オレが食べるためにっ、朝4時から並んで買った今日の昼飯ッスよおおおっ!」
え、鐵也への贈答品じゃなかったの?
同じ印象を抱いてたらしく、井上くんの横では、等々力くんが呆れたようにため息を漏らしてる。
「……」
(ごっくん)
「……ぬう」
口に放り込んだ惣菜パンの半分を咀嚼し、呑み込んだ後、青島くん、わずかに呻き。
「返すわ」
食いかけの惣菜パンを差し出す。
もちろん、男子2人がメシの遺恨を発生させて、ただで済むはずがなく。
「初キッスが男子との間接キッスとか誰も得しねぇッスよおおおおおっ!」
今にも血涙を流さんが勢いで地団駄する井上くんに、完全に気押される青島くん。
「謝れッス! せめて謝れッスうううううううっ!」
「……すまん」
うん、……やっぱり、青島くん、素直だわ。(やったことは褒められないけど。)
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