君と世界にたった1杯の珈琲を

にもの

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1章・箱庭

23.病室会議

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戦いが終わった。
そして、アルタイルを含む戦に参加していた兵士が帰ってきた。
ラグウンが奪還されたという一報は王国中を駆け巡った。
王国魔剣士団が人々から騎士団と呼ばれるのは、一糸に王国の希望であるという象徴だからなのだ。
「アル!……アル!!!」
ベガが建物の中を走り回っていた。
ひとしきり走り回った後、ベガの顔はアルタイルの軍服に埋まった。
「アル……!!無事だった!」
「あぁ、私は無事だ。」
「アルが出る前にあんなこと言うからだよ!」
「……ベガに心配をかけるとは、私もまだまだだな…」
「それよりアル、その怪我…」
「あぁ、かすり傷だ。心配要らない。」
そう言ってアルタイルは右の手で頬を触った。
アルタイルとベガはそのまま医務室へ向かった。
「アルちゃんおかえり!……と言いたいところなんだけど、今ちょっと手が離せなくて…」
医務室に入るや否やルナの声と共に部屋を見渡すと、戦で怪我をした者たちの行列と包帯を巻いて倒れる人達がいた。




「そんな訳でここに来たってことだ。」
「どんな訳ですか?!ここも病室ですよ団長!」
ベッドの上でセレイドが言った。
ベガとアルタイルは医務室に入るのは断念し、仕方なくセレイドのいる病室にやってきたのだ。
「まぁ落ち着けセレイド、コーヒーでも飲むか?」
「からかわないでください…」
アルタイルはニコニコしているがセレイドは呆れていた。
「で、アル、勝ったんだよね?」
「あぁ。一応な。」
ベガを安心させるようにアルタイルが言った。
「一応って、どういう意味ですか」
セレイドが聞いた。
「今回の戦いで新たな問題の種と思われる人物の影があることが分かった。」
「えぇ、クロノさんは…倒せたんですよね?」
「あぁ。つまりクロノの事では無い。」
ベガはセレイドと顔を見合せながら砂糖とミルクで甘くしたコーヒーを飲んだ。
「じゃあそれって誰なの?」
ベガが首を傾げながら言った
「そこまでは分からん。ただ、どうやら只者では無いらしい。」

「団長ォ!!!金髪女が口を割りました!」
そう言って見覚えのある金髪プリン頭がやって来た。
そしてサラッとセレイドのベッドを3人で囲むように座った。
「ここ俺の病室なんだけど…」
セレイドがそう言って苦笑した。

「ナツメ!無事……だったんだ?」
「ベガちゃん!なんで疑問形なの?!」
「いや、包帯が……」
「まぁ、確かに無事か無事じゃないかで言えばこの怪我は無事じゃないかもな。」
アルタイルが言った。
「で、さっき言ってた金髪女が口を割ったってのはなんの話なんですかナツメさん?」
「あぁ、セレイドさん居たんすか。」
ナツメは真顔でセレイドの方を見た。
「ずっといたよ!!ここ俺の病室なんですけど?!」
「まぁまぁ落ち着いて…。で、本題に入りますね。まず今回俺と戦った金髪の女魔道士を捕らえたんてすよ。この左半身の火傷はそんときに負ったものです。」
「ナツメがそこまでの火傷をするとは、かなりの強者だったようだな。」
アルタイルが怪訝な顔で言った。
「……んん、まぁ、はい、訳あって捕らえられたというか捕らえさせられたというかなんというか……あはは、」
ナツメはアルタイルから目を逸らして苦笑いしていた。
「で、その人が何を喋ったの?」
ベガがコーヒーを両手で持って言った。
「それが…、あの金髪女、首と背中の間あたりに変な縫い目みたいなのがあったんすよ。それで、『その傷跡はなんだ』って聞いたら、自分の前に変な男が現れて、そいつに傷を付けられて、気づいたら自分が自分じゃないみたいな物凄い高揚感と強さを得ていた。ってことらしいっす。」
ナツメのその言葉にアルタイルが被せて言った
「ナツメ、もしかしてその男は何も喋ることなく、次に目が覚めたら何事も無かったように誰も居なかったとか、まるで夢かのようだったとか、そういうことを言ってたか?」
「団長エスパーですか?!全くその通りですよ。」
ナツメが驚いた顔をした。
「なんで団長がそんなこと知ってるんですか?団長は尋問には行ってないんですよね」
セレイドが言った。
「あぁ、そうなんだがな、ただクロノも同じようなことを言っていた。ナツメ、その女の身体のどこかに黒い刻印の刺青のようなものが無いか調べてくれ。」
「……?!団長マジで言ってますか?」
ナツメは驚きに驚きを重ねた。
「なんだナツメ、何か言いたいことがあるなら言え。」
「いや俺一応男なんですけど……」
「ナツメ変態。」
そう言ってベガは冷酷な目でナツメを見た。
「ちょ、ベガちゃん…やらないから大丈夫だって…」
「なんだ、調べる気がないのか??」
アルタイルはナツメに圧をかけるように言った。
「い、い…いや、やりますやります!勘弁してください…!(一応俺怪我人なんだけどな…)」

セレイドは、(ナツメさんも大変だな…)と、少しだけ同情の念を抱いた。
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