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1章・箱庭
24.ファーレの恋日記
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私の名前はファーレ。
この日記は私が牢生活になってから書き綴ったもの。
私は王国との戦いで敗れた帝国の魔導第一師団副団長、ファーレ・ティアラ。
あの戦いで私は一人の男性に恋をしてしまった。彼の名前はナツメ・スエナガさん。
私はあの時、彼になら殺されてもいいと、本気で思った。でも彼は私を捕虜にすると言った。
それから私はこの通り、王国軍の地下牢生活になってしまった。
それから毎日兵士がやってきて私に尋問をする。でも私はナツメさん以外はじゃがいもにしか見えないので、話す気も無い。
ある時、
「ナツメさんは居ないのですか?」
と尋ねたところ、ナツメさんが来てくださった。
「なんの用だ。」
「ナツメさん…!私、ナツメさんとお話したいです!」
「舐めてんのか。帰る。」
「待ってください!ナツメさんになら私、尋問でも何でもお答え致します。」
1秒でも長く彼と同じ空間に居たいと思ってしまう。恋とはこんなに厄介なものなのだろうか。
「そうか、じゃあいいぜ、ちょっとだけ付き合ってやる。その代わり俺の質問には全部答えろ。」
「はい、喜んで。」
「ファーレ……とかいったか。あんたなんで兵士なんかになった?見た感じいい所のお嬢様って感じだろ。」
「……その通り、私はティアラ家という帝国でも皇帝様にかなり近い身分を与えられている貴族家の出です。魔法の才も人より優れていると自負しております。しかし私は幼少の頃から離で暮らしておりました。赤子の頃に両親を魔法で傷つけてしまったことがあったからだそうです。」
「赤子?!って、そんなくしゃみするみたいな感覚で魔法出ちゃうもんなの?!」
「はい。出ちゃったみたいです。」
「出ちゃったみたいですって……だから男慣れしてねぇと。」
「その通りです。私は今まで男性の方とはお付き合いはおろか、業務以外でろくに会話したことも近づいたこともございません。」
「じゃあますますなんで俺なんだよ。普通そんな箱入りお嬢様が急に男に近づかれたら怖くなるだろ。」
「私もそう思っておりました。だから少し普段から男性を避けて過ごしていたのですが……どうやらあの時、『この人になら殺されてもいい』と思ってしまったみたいなんです。あの時のナツメさんの大怪我を負いながらただ一つだけを見つめるような目だけは初めて見るもので、信頼に値すると、そう感じたのかもしれません。」
「なるほどね~。ちなみに言っとくが俺はお前のこと別に好きじゃねぇからな?あんたにどんな過去があってどんな人生送ってきたかも、俺がお前を好きになる要因にはならねぇ。でもいい話が聞けた。ティアラ家の話、聞かせろ。」
「それでも大丈夫です。ティアラ家の話はかなり長くなります。」
「長くなるの?……俺あんまり時間ねぇんだけど」
「そうでしたか。それでは紙に綴ってお送りしましょうか?」
「……んーーーまぁそうだな。」
そう言ってナツメさんは立ち上がった。今思えばこの時に首筋の傷を見られたのかもしれない。
首筋の傷は、夢の中で変な人に付けられた傷だと思っている。思っている、というのは、具体的にはあまり覚えていないから。
でもこの傷があってこその強さ。私はこれまではこの力があれば誰にでも勝てる、何にでもなれる、そう思っていた。
でもこの力は借り物の強さであり私のオリジンでは無い。ナツメさんに恋をした時に気づいてしまった。
私の愚かな思考と言動が、たくさんの人を殺め、私自身を苦しめていたのだと。
この日記は私が牢生活になってから書き綴ったもの。
私は王国との戦いで敗れた帝国の魔導第一師団副団長、ファーレ・ティアラ。
あの戦いで私は一人の男性に恋をしてしまった。彼の名前はナツメ・スエナガさん。
私はあの時、彼になら殺されてもいいと、本気で思った。でも彼は私を捕虜にすると言った。
それから私はこの通り、王国軍の地下牢生活になってしまった。
それから毎日兵士がやってきて私に尋問をする。でも私はナツメさん以外はじゃがいもにしか見えないので、話す気も無い。
ある時、
「ナツメさんは居ないのですか?」
と尋ねたところ、ナツメさんが来てくださった。
「なんの用だ。」
「ナツメさん…!私、ナツメさんとお話したいです!」
「舐めてんのか。帰る。」
「待ってください!ナツメさんになら私、尋問でも何でもお答え致します。」
1秒でも長く彼と同じ空間に居たいと思ってしまう。恋とはこんなに厄介なものなのだろうか。
「そうか、じゃあいいぜ、ちょっとだけ付き合ってやる。その代わり俺の質問には全部答えろ。」
「はい、喜んで。」
「ファーレ……とかいったか。あんたなんで兵士なんかになった?見た感じいい所のお嬢様って感じだろ。」
「……その通り、私はティアラ家という帝国でも皇帝様にかなり近い身分を与えられている貴族家の出です。魔法の才も人より優れていると自負しております。しかし私は幼少の頃から離で暮らしておりました。赤子の頃に両親を魔法で傷つけてしまったことがあったからだそうです。」
「赤子?!って、そんなくしゃみするみたいな感覚で魔法出ちゃうもんなの?!」
「はい。出ちゃったみたいです。」
「出ちゃったみたいですって……だから男慣れしてねぇと。」
「その通りです。私は今まで男性の方とはお付き合いはおろか、業務以外でろくに会話したことも近づいたこともございません。」
「じゃあますますなんで俺なんだよ。普通そんな箱入りお嬢様が急に男に近づかれたら怖くなるだろ。」
「私もそう思っておりました。だから少し普段から男性を避けて過ごしていたのですが……どうやらあの時、『この人になら殺されてもいい』と思ってしまったみたいなんです。あの時のナツメさんの大怪我を負いながらただ一つだけを見つめるような目だけは初めて見るもので、信頼に値すると、そう感じたのかもしれません。」
「なるほどね~。ちなみに言っとくが俺はお前のこと別に好きじゃねぇからな?あんたにどんな過去があってどんな人生送ってきたかも、俺がお前を好きになる要因にはならねぇ。でもいい話が聞けた。ティアラ家の話、聞かせろ。」
「それでも大丈夫です。ティアラ家の話はかなり長くなります。」
「長くなるの?……俺あんまり時間ねぇんだけど」
「そうでしたか。それでは紙に綴ってお送りしましょうか?」
「……んーーーまぁそうだな。」
そう言ってナツメさんは立ち上がった。今思えばこの時に首筋の傷を見られたのかもしれない。
首筋の傷は、夢の中で変な人に付けられた傷だと思っている。思っている、というのは、具体的にはあまり覚えていないから。
でもこの傷があってこその強さ。私はこれまではこの力があれば誰にでも勝てる、何にでもなれる、そう思っていた。
でもこの力は借り物の強さであり私のオリジンでは無い。ナツメさんに恋をした時に気づいてしまった。
私の愚かな思考と言動が、たくさんの人を殺め、私自身を苦しめていたのだと。
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