君と世界にたった1杯の珈琲を

にもの

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1章・箱庭

30.レーゼの街

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鏡縁と4人はおよそ4時間ほど揺らされた列車を降り、セントレイスの駅に立った。
「長旅ご苦労じゃったな。ここがセントレイスリゾート区域『レーゼ』じゃ。」
鏡縁がそう言うと駅の出口の方を指さした。
列車の中から見た景色のように、沢山の建造物が立ち並び、そのずっと奥には真っ白に輝くビーチとエメラルドグリーンの海が見えた。
「レーゼは宿、飯屋、土産屋、雑貨屋、服屋、なんでもござれじゃ。鍛冶屋もあるが…鍛冶屋に行くならみんな工業区域の『ガレス』に行きおるし、質はガレスには及ばんな。」
「ご飯屋さんもあるんですね。僕少しお腹空いたかも。」
フレンがお腹を抑えて言った。
「そうだな。ベガもお腹空いてるんじゃないのか?」
「うん!」
「俺もちょっと腹減ったかもっす…」
ナツメもベガも長旅で空腹のようだった。
「じゃあ決まりでいいな。鏡縁、どこかいい所はあるか?」
「そうじゃな、ならば妾のイチオシの店に連れてってやろうぞ!」
鏡縁は嬉しそうに4人の前を歩き出した。

道中、商人やドワーフ、エルフ、客引き、東国の格好の人、馬車、屋台車など、沢山の人が広い大通りの道を歩いており、まさに観光地という感じだった。工業が発達した国ということもあり、王国ではあまり普及していない自動車が当たり前のように走っている。
街ゆく人々の種族、看板の文字、文化、言語までもが入り乱れた賑やかな場所だ。
「こうして実際に歩いてみると本当にすごい街っすね~。」
ナツメが辺りをキョロキョロと見回している。
「王国では見ないものが多いな。ベガ、はぐれないようにな。」
アルタイルは後ろを振り返りベガを時々気にかけた。
「うん。アルの服持ってるから大丈夫だよ。」


「おぉ、鏡縁さん!1本食ってくか??」
そう叫びながら一人の男が鏡縁に近づいてきた。手に持っているのはカエルの串焼きだった。文字通りカエルの脚の可食部を串焼きにしたものだ。少しグロテスクな見た目とは裏腹に、香ばしいタレの香りが5人の空腹に拍車をかる。
「すまんな、妾はこれから客人を飯屋に案内するところなのじゃ。カエルはまたあとで食わせてもらうよ。」
「そうかそうか、お客さん達もあとで是非来てくれよな!」
男は鏡縁と4人にそう言うとまた客を引きに去っていった。

鏡縁と歩いているとこういう感じで鏡縁に話しかけてくる人が多くいた。
「やっぱりセントレイスの守り神様っていうくらいだし、地元の人達とも仲がいいんですね~。」
フレンが鏡縁の横に並んで歩きながら言った。
「まぁそうじゃな。伊達に数百年とこの地を守っておらん。皆も崇めるというよりも近所の神様みたいに軽く接してくれるからのう。妾も過ごしやすくてこの国が好きなのじゃよ。」
「なるほど、なんというかとてもいい雰囲気の街ですね。」
「そうじゃろうそうじゃろう。」
鏡縁はとても嬉しそうにドヤ顔をしている。

「それよりさっきのカエル、香りこそ良かったが本当に食えるのか?」
アルタイルが不信げに言った。
「何を言うアルタイル。カエルの串焼きは妾の好物の1つでもあるのじゃぞ。味は百保証してやる。あとで食ってみるといい。」
ベガもアルタイルも顔を見合せて少し不信げな顔をした。

「さて着いたぞ。ここが妾のイチオシの飯屋『香味苑こうみえん』じゃ。」
鏡縁が立ち止まった目の前に、香味苑と書かれた大きな看板が上にかかった店があった。中から空腹を誘うような香りが盛れ出しており、4人は唾を飲んだ。
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