ゴッドクエスト

紅蓮の焔

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9章 レインの治療

111話吹雪の中の塔の中

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レイン達が塔へ入ると中は特に仕掛けも何も無く壁に沿って階段があり、少しばかり上にドアがあるだけだ
「…とにかく登って行きましょ」
「そうだな」
レイン達は階段を登り一番近くの部屋のドアを開けた
その中は部屋の中心に宝箱があり無駄に広かった。普通に1000人以上は入れると思える程に
「あの宝箱怪しすぎるだろ」
「うん、私も思う」
メル達は見なかった事にして次のドアを開けた
その中は鏡の壁があり、やはり1000人位入れると思える程に広い。それ以外は普通の部屋と変わらなかった
「ここ何かあるのかな」
「聞かれても儂は知らん」
メル達はその部屋の中に入った
するとドアがガチャッと音が鳴りメイトが開けようとしても開けられなかった
「開かないぞ」
「嘘!?」
メルが開けようとしてもやはり開かなかった
「だったら強行突破よ!」
メルは1度深呼吸をして「おい!何か出てきたぞ!」ドアを破壊しようとしたがサツキの言葉に後ろを振り向いた
それは部屋の反対側にいた5人の少年少女が俯いて立っていた
「あれって私達と同じ服じゃない?」
メルが言うとレインとサツキも今気付いたのか驚いている
「ひょんてょうでゃー(本当だー)!」
「本当だな…心なしか背も同じ位じゃないか?」
「…まさか」
メイトが目を見開くと少年少女も顔を上げた
それは少し色が暗い自分達だった
「何だ?もしかしてあいつらに勝たないとこの部屋を出られない訳か?」
「多分な」
メイトがそう言うとサツキはチッと舌打ちしたすると唐突に頭に声が響いた
【防衛プログラムver.2作動】
「何?防衛ぷろぐらむばーじょんにって」
「防衛は守る事でプログラムは…まあ、計画みたいな物でバージョンは幾つかの形がある内の1つだ」
サツキが説明するがメルとレインは理解していないようだった。メイトはうんうんと頷きシルフにこの事を伝えた
『じゃああっちにあたしと同じ奴がいてそいつがあたし達を殺そうとしてる訳?』
『まあ、そんな所だ』
「あああ、分からなかったら別に良い、あいつらを倒せば良いだけだ」
「それなら分かりやすい」
「びょくみょやりゅ~(僕もやる~)!」
メルとレインがやる気満々で敵の所へ駆け出して行った
そしてメルが自分と同じ姿をした『何か』を殴るとその『何か』もメルを殴りお互いの拳がぶつかった
「これで終わらせるつもりだったのに」
メルは『何か』を蹴り後退し、手にファイアとサンダーを纏わせ、足にウィンドを纏わせて一瞬で間を詰めるが横に避けられ追撃を加えられメルは鏡の前まで吹っ飛ばされた
「中々強いわね…」
【ギギギ、強さ…把握…これより排除します】
メルに似た何かがそう言うと一瞬でメルの後ろに移動し横腹に思いきり蹴りを喰らわせた
「ぐっ」
メルは蹴られる直前に少し重心をずらしてダメージを軽減したがそれでも肋骨ろっこつが数本折れ、鏡に衝突した
「がっ!」
メルはその衝撃に少し血を吐いたがそれを手で拭き取りペッと血が混じった唾を吐いた
「いい加減にして?私に喧嘩売ってタダで済むと思わないでね」
メルはニコリと『何か』に笑いかける。だが声は笑っておらず米神には青筋が浮かんでいた





ーーサツキはーー
サツキは今『何か』と対峙するが双方全く動きを見せない
軈て痺れを切らして『何か』が襲い掛かって来た
「その程度で勝てると思うなよ?」
サツキは攻撃を跳躍して避け『何か』の背中を蹴り静かに着地し『何か』の頭と肩をすぐに掴み上と下に引っ張り引き千切った

ビチャッ

サツキの顔に赤い液体が結構な量掛かってしまった
「うえ~、よごれただろうが!」
サツキはもう動かなくなった『何か』を少しの間蹴り続けた





ーーレインはーー
レインは知識の本を取り出しそこから『何か』の情報を持ち出した

『鏡の騎士
鏡の中に映った自身がその容姿になる。鏡の騎士の本体は鏡のどこかにある核。それを破壊するかもしくは鏡の騎士を殺してしまえば襲われる心配は無くなる。この騎士はモンスターでは無く、妖精王ハーレンの人形。現在では殆どが抹消され姿を確認されていない』

「ちゅみゃり、やっちゅけちゃえびゃいいんでゃにぇ(つまり、やっつけちゃえば良いんだね)」
レインはもう1つのユニークスキル、神刀創造を知識の本で調べた

『神刀創造
神の扱う刀を造る事が出来る。また、扱う事が出来る
有名な神刀一覧

有神刀クサナギ
水神刀ミズチ
火神刀ホムラ
木神刀ジュモク
光神刀セイン
闇神刀ダーク』

「う~ん、こりぇにしよ!」
レインは試しに有神刀クサナギを創造してみる
レインの前の空間が歪み、その中に手を入れると何かが手に当たりそれを掴み空間から手を取り出すと…光輝かない刀を握っていた
その刀は刃零れが沢山あり所々錆びており今にも折れそうな感じだった
【は、はやく…魔力を~】
そんな声が聞こえたのでレインは慌てて今ある魔力の殆んどを流した
【ちょ!こんなにも無理だって!】
そんな声が聞こえレインの目の前の刀が光出した
そして光が治まるとその刀身は見事な光沢で刀を見る位置によって色が赤く見えたり白く見えたりする
つばは無く、柄は白い包帯で巻かれていてそれは取ろうとしても取れなかった
【ふう、おっ!あんたが助けてくれたんすか?】
「にゃにを(何を)?」
【え?あれ?まだ子供?あー、あんたが俺に魔力を流し込んだんすか?】
「うん!」
【ならあんたが俺の主人っす!これから俺の言う通りにすればある力が使えるっす!まず俺を地面に突き刺して「クサナギ召喚!」って言ってくれれば俺はこの刀から一時的に抜け出して攻撃出来るようになるっす!】
「うん!わかってゃ(わかった)!」
レインはクサナギを床に突き刺し叫んだ
「くしゃにゃぎ召喚(クサナギ召喚)!」
レインがそう言うが全く反応しなかった
【あー、ちょっとばかしまだ言葉が上手く話せないんすね、まあ想像はしてたけど、それはさておき、それ以外にも俺に魔力を入れれば入れるだけ切れ味が増して敵をサクッと切れちゃうすよ!】
「ひょんてょ(ほんと)?」
【本当っす!試しに敵を切ってくださいっす!】
クサナギの言う通りに鏡の騎士を切ると一瞬で真っ二つに割れた
【おお!あんた何者っすか!?小さい子供にこんな力が出せるなんて驚きっす!】
「ありがてょ(ありがと)」
レインはクサナギにお礼すると皆を見たサツキは動かない相手を何度も蹴っている





ーーメイトはーー
メイトはシルフを自分の足元へ置き、メイトとシルフの姿をした鏡の騎士と対峙する
「俺だけ2対1かよ」
メイトは前のように全身に力を込めた
また全身に白い体毛が生え牙が生えてきて相手を威圧する…が騎士には全く効いていない様子でメイトはチッと舌打ちをすると目を瞑り深呼吸をした
「すうぅぅぅぅぅううう、はあぁぁぁぁぁああ」
メイトが深呼吸をし終わると開眼した
メイトの姿は徐々に狼の牙と耳へ変化し尻尾が生え、獣人の姿へと変化した
「お前ら来いよ、俺が相手をしてやる」
【警戒MAXレベル武装開始】
メイトの頭に声が聞こえると2人はどこからか武器を取り出した
メイトの姿をした者は槍を、シルフの姿をした者は短剣を取り出しメイトへ襲い掛かる
「その程度じゃ俺には勝てねえよ!」
メイトは自分の姿をした者の頭を掴みシルフの姿をした者の方へ降り投げ、2人が吹っ飛ばされるとシルフの姿をした方の首を引っ掻き爪に赤い液体が付着した
メイトの姿をした方はメイトに再び襲い掛かるが一瞬で後ろに回られ後ろから頭に爪を突き刺した
「よし!終わったな」
メイトはもう一度目を瞑り深呼吸をすると元の人間の姿へと戻った
『シルフ、終わったぞ』
『あたしに似てる方に変な事してないよね?』
『してないと思う、やった事と言えばそいつの喉を爪で引っ掻き殺しただけだけどな』
『聞きたくなかったよ!』
『はいはい』
この後メイトはメルが戦闘を終わらせるまでシルフに色々と文句を言われ続けた
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