ゴッドクエスト

紅蓮の焔

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10章 妖精界での冒険

125話ハーレンの尋問

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「うう…ん…ここ…は?」
フリートが目を覚ますと手足が白く淡く発光した糸に拘束されていていくら引き千切ろうとしても無駄だった
「目を覚ましたか」
フリートが頭を上げると目の前に男児が杖を持って立っていた
「ここはどこだ!」
「ここはハレの王樹の地下牢だ」
「…まさかお前が妖精王か?」
「…だとしたら?」
「お前を殺す!」
フリートは立ち上がりハーレンに襲い掛かろうとしたが糸に拘束されているのでそのまま倒れてしまった
「おい!お前!どういう事だ!妖精を捕まえられるって聞いたから協力したのに!こんな話はちっとも聞いてないぞ!」
フリートが振り返ると自分と同じように拘束されている
「あ…あなた…」
「そうだフリート!よくも騙してくれたな!」
「ジーク、あなたがこんなに感情を表に出すなんて~」
フリートは怒っているジークと言う名の男を見て和やかな表情を浮かべている
「騙して良かった~」
「んなわけあるか!とっとと出ないと魔王様に何されるか分かったもんじゃねえ!」
ハーレンは思った
(何?こいつら全く意味わからん。だが少なくとも魔王の部下という事が分かっただけましか)
ハーレンはため息を吐くと息を吸った後、鋭い目付きに変わった
「これからお前たちに幾つか質問をする。それに答えれば…後は分かるな?」
ハーレンが威圧を込めた言葉を述べるとジークはビクッと肩を震わせた後、コクりと頷いた
「ジーク、少し威圧された位で委縮しちゃダメ!あなたは強いんだから」
「はあ、フリート、姉さんだからってそんな言葉ですぐに俺の性格が変わるとでも「何でも好きな事やってあげるから」よし、やろう」
ハーレンはまた思った
(何?こいつら本当に意味わからんのだが)
「ならまず、お前達は魔王の部下なんだろ?」
「はっ、どうかな?」
(あ、本当に変えてる)
「さっき魔王様とか言ってただろうが」
「あ、えっ…と、あの、その、は、はっ!そ、そそ、それはどど!どうかにゃ!」
ジークは言った後顔を赤くした
「噛ん「噛んでない!」…そうか、そういうしゅ「そういう趣味でも無い!」…分かったそういう事にしとこう」
ジークが顔を赤くして俯いている横でフリートは目に涙を溜めて笑いを堪えていた
「か、どうかにゃ…くくっ…」
「ね、姉さん酷いよ…」
「ほら~、いつもと同じだよ~?」
フリートがいじると
「もう、いいよ…」
ジークは顔を赤くして恥ずかしいのか牢の隅にゴロゴロと転がって移動した
(…何なのだ?尋問するつもりだったのにこれじゃただの演劇ではないか)
「ゴホンゴホン!」
ハーレンが咳き込むとジークとフリートはハーレンに注目した
「尋問を始めたいのだが?」
「勝手に始めちゃって~、私達は逃げるから」
「ほう、どうやってだ?」
「こうやって!」
フリートはジークの方へ転がっていきジークの服の端を掴んで
「じゃあね~」
フリートはハーレンにニコッと笑顔を見せると叫んだ
「ワープゲート!」
すると黒い穴が牢の壁に開きジークとフリートはそこに吸い込まれていった
「ま、待て!」
ハーレンが慌てて牢の鍵を開けて中へ入るが少し遅く穴の中へ入って消えていった
「クソッ逃がしたか…」
ハーレンは牢を出て上へ上がっていった





ーーハーレンの尋問中ーー
「ねえねえ、ハミ?どうしてお兄ちゃんの足と目は治さなかったの?」
「何か変な力が邪魔して治療出来なかったんだ~」
「後、お兄ちゃんの頭の上にいるの止めなさいよ!」
そう、ハミは今、レインの頭の上で寝転がっていた
「メルお姉ちゃん、もういいって、魔力を使えば見えるんだから」
「そういう問題じゃないの!お兄ちゃんは黙ってて!」
「はい…」
レインは正座をさせられシュンとしてしまった
「ねえ、サツキちゃん?」
「ん?何だ?確かメイト…だったか?」
「うん、レインって本当に記憶を無くしてるの?」
「そうみたいだ、儂の事をお母さんって言うんだからな」
「へぇ~、確かに昔のおばさんそっくりだね…身長は」
「そこまで小さかったのか?」
「うん、レインや俺がまだ小さかった時も10歳児と身長が大して変わらなかったみたいだし、その上今になってもメルと同じ位の身長だもん」
「へぇ~、そこまで小さいなら1度会ってみたいな」
サツキがろかかと笑っているとレインがサツキとメイトの方を見て苦笑いをしていた

ガチャ

唐突に開いたドアへ皆が注目した
ドアからはハーレンが出てきた
「それで?どうだったの?」
「逃げられた…」
「逃げられた!?どうやって!?」
「魔法を使われた…」
「魔法!?」
メルは驚いているがハミは少しも驚いた様子も無く、レインの頭で気持ち良さそうにゴロゴロしていた
「ああ、ワープゲートだ」
「闇魔法…人間じゃ無かったの!?」
「そうみたいだ」
「だけどあの武器は一応回収して良かったわね」
「だが使い道は無いぞ?」
ハーレンが部屋の端に立て掛けているミズチを横目でチラリと見る
ミズチは
【はぁぁぁ、魔力ぅ、もっと~、もっとちょうだ~い、私の中にもっと~】
「…あの刀はもう使い物になりそうに無いぞ?」
「なるよ!ミズチは良い子だもん!」
ハーレンの言葉に正座をしていたレインが割り込んで、言葉を放つとハミは驚いてレインの頭から転がり落ちてしまった
レインはプクッと頬を膨らませてミズチへ歩いて行った
「ミズチ!」
【は~い】
ミズチはトロンとした言い方で返事した
「君はちゃんと使えるよね!」
【は~い、ちゃんと使えますよ~】
「だったら証明して!」
【は~い】
ミズチは終始トロンとした声をしていた
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