ゴッドクエスト

紅蓮の焔

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10章 妖精界での冒険

sidestoryⅢナタ6~リュートの過去4~

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「それで!?どうなったの!?」
「まあ、その後はそのまま寝たんだけどね…次の日よ…」




ーー6年前ーー
次の朝
「お父さん!昨日一緒に寝よって言ったのになんで寝てくれなかったの!」
朝リュートが目を覚ますと隣でチルがよだれを垂らして眠っていて隣がハリムでは無かった事に驚いていた
「お父さん!」

ガチャ

「悪い悪い、昨日の夜もうお前達が寝てたから起こすと悪いと思ってな」
「じゃあ今日は俺と寝ような!絶対に!」
「分かった分かった!それより朝ごはん作ってくるから!」
ハリムが頭をぽんぽんと撫でるとリュートは喜んで自分の部屋へ行きチルを起こしに行った
「姉ちゃん!姉ちゃん!」
「んん~?リュート~?後5分寝かせて~」
「お父さんが朝ごはん作ってるから早く起きろ~!」
「後5分5分」
チルは寝返りを打ってまた寝始めた
「だったら!」
リュートはドアの前に行って軽く足踏みした後ベッドへ…いやチルに向かって走り出した
「とう!」
そしてベッドとぶつかる直前で上へ跳躍した
「いったぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
そして落ちた先はチルの真横だった
チルはあらかじめこの事を予測しリュートの足音が聞こえなくなったと同時にすすっと気がつかれないよう横へ移動していた
「もう良いよ!お父さんの飯を食わねえなら俺とお父さんで食べるからな!」
リュートはプクゥと頬を膨らまして部屋を出ていった
「リュート、お姉ちゃんは?」
「姉ちゃんなら上で寝てるってさ!」
「…そうか、残念だな」
ハリムは少し残念そうにしてから食事を運び始めた
「お父さん!今日は何?」
「今日はリュートの好きなトーストだ」
「よっしゃ!」
リュートは思いっきり右拳を上に突き上げガッツポーズした
リュートは昨日のドタバタで壊れたテーブルが直っている事に気が付いた
「あれ?これお父さんが直したの?」
「ああ、俺に出来る事なんて畑仕事と物を直す事くらいだしな…」
「早く食べよ~!」
リュートが腹を押さえて言うとハリムはテーブルの上にパンを2枚乗せた皿をテーブルに乗せた
パンにチーズを乗せ、焦げ後が丁度いい茶色で、パンのいい香りが漂っている
そして、それと共に出された温かいミルクからは湯気が出ていてとても美味しそうに見えた
「俺、大きくなったらお父さんみたいに美味しいご飯を作れる男になる!」
「さあさあ、冷めない内に食べなさい」
「はーい!」
リュートはテーブルの周りに並べられた椅子に座り、合掌した
「頂きまーす!」
リュートは大きな声で言うと上の階から何かが落ちた音が聞こえてきた
「…ふふ~ん、姉ちゃん今更起きてももう遅いよ~だ」
リュートは悪戯に笑いながらパンをかじる
すると口の中に蕩けたチーズの味と塩の味が広がった
「あ~、良い匂~い…お父さん!リュートだけズルい!私にも作って!」
「作ってあげるから少し待ってなさい」
「はーい」
チルがリュートの隣に座って待っているとリュートはニヤリと笑いながらチルを横目で見てパンを食べた
「美味しいな~!」
「くっ…お父さん!まだ~?」
「後もう少しだから」
ハリムはパンを焼いてミルクを温めていてパンをずっと見ている
「ああ~、このトーストの蕩けるような美味しさにチーズの食感!更に塩の味がしてとても美味しいな~」
リュートが自慢しているとチルはよだれを垂らしながらお腹を押さえていた
「うっ」
チルは見ないようにしているがリュートが自慢気に横から言ってくるので腹の虫が鳴り始めた
「うぅ~、お父さ~ん!」
チルが弱々しく言うとハリムがパンを皿に乗せていた所だった
「出来たからもう少し待ってなさい」
「はーい」
チルはよだれを拭いてハリムが持ってきたパンとミルクがテーブルの上に置かれると同時に手を伸ばして掴み、すぐにかぶり付いた
「んん~!おいひ~!」
リュートが舌打ちをしてパンを食べ終わるとミルクを飲み干し席を立った
「お父さん!畑仕事してくる!」
リュートが少し怒り気味に家を出て行く際にチルはリュートの後ろ姿を見て嘲笑う
(勝った!)
リュートは出ていく際に後ろから嘲笑われた感じがして涙を溜めた
(…!負けた…)
リュートは拳を握り締めてバケツを持って、湖へ走っていき水を汲むと息を切らしながら畑へ戻っていった
「お父さ~ん!」
リュートに呼ばれてハリムは掛けていたエプロンで手を拭いた
「チル、後の食器洗いを頼む」
「分かった~」
チルは食べ終わっており暇そうに椅子に座っていたので立って台所へ移動して、ハリムからエプロンを受け取り、それを着ると食器洗いを始め、ハリムは家を出て畑へ向かった
「お父さん!早く終わらせて遊ぼ!」
「分かった分かった」
ハリムは早速リュートからバケツを受け取り、リュートの頭を撫でて柄杓ひしゃくを持って畑に水を撒き始めた
そして、数分経つとボロボロの布切れで頭を覆い、体を隠している人が歩いてきた
「すみません、お尋ねしたいことがあるのですが」
ハリムはバケツと柄杓をその場に置いて男の前まで歩いていった

(なんだあいつ…うぅ、何か寒気が…風邪引いたか?)
リュートは震える手を叩いて農作業へ戻った

(…?お父さん誰と話してるんだろ?)
チルがその者とハリムを見ているとブワッと鳥肌が立ちその場から目が離せなくなってしまった

「聞きたい事とはなんでしょうか?」
「ある人を探しておりまして…」
声からしてその人は男だった
男の言葉を聞くとハリムの口が一瞬ピクッと動いた
「どのような人でしょうか?」
「…はい、その者は赤い髪に少年の姿をしております。丁度そこの少年の様に」
男がニヤリと笑うといきなりボロボロの布を脱ぎ捨てハリムの顔に巻き付けて音を立てずに気絶させた
「お父さ~…」
リュートが畑に水撒きを終わらせハリムに頭を撫でて貰おうと振り返るとそこには顔に布を巻かれて倒れているハリムとその前に立っている
容姿は眼鏡を掛け、黒髪で、本を持っていて、よくは見えないが頭につのの様な物が一瞬見えた気がしたが髪で隠れて見えなくなった
「お、お父さんに何をした…」
「いや~、少々こっちで活動するにも金が必要で…」
「だからってお父さんと何の関係があるんだよ!」
「それは貴方も充分に承知しているでしょうに…」
男がニヤリと笑うとリュートの目の前から消えた
「どこだ!」
「ここですよ」
唐突に後ろから声がして振り返ると首を掴まれた
「ぐわっ!」
「貴方をモンスターと同じ見た目にすれば良いんですよね…そうですね~、ふふふ…そうだ!僕の嫌いな竜人にしてあげましょう」
男が何かを詠唱し始めると男の足元を中心に魔方陣が展開された
「は、な、せ~!」
リュートはそんな事にも気付かずずっと抜け出そうと暴れている
「チェンジ=ドラゴニュート」
男がそう言うと魔方陣が発光しリュートは物凄い発熱に襲われた
「ぎやぁああぁぁぁぁぁああぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁあぁあぁあぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁああ!」
男はリュートの首を離し体を押さえて涙を流し始めた
「あっ…失敗しました…まあモンスターには変わり無いですしこれで報酬はたっぷりですね~」
男が笑っている下でリュートは体を押さえながらも痛みに耐えながらゆっくりと首を上げて男を睨むが涙でよく見えなかった
「お前…には!いつ…か…この借り…を返し…てやる…から…な!」
「楽しみにしていますよ」
男はニコリと微笑みかけ最後に
「…僕の名前はジークフリート、楽しみにしているよ」
それを聞くとリュートは気絶してしまった
「さて、そろそろ報酬を貰いに帰りますか」

ジークフリートがどこかへ行くと家の中にいたチルはガクガクと足を震わせてその場にへたりこんだ
「な、何なのよあれ~」
チルはそのまま恐怖のあまり動けなかった体が動き、恐怖の対象がいなくなった安心感でショワァァァァと漏らしてしまった
「はっ!」
チルはその事に気が付き辺りを見回した誰もいないことを確認すると慌てて雑巾で拭き取った
「ふう…じゃなかった!お父さん達を助けに行かないと!」
チルは駆け足で家を出ると猛スピードでハリムに駆け寄り布を解き、腕を肩に乗せてリュートの方へ歩いていくとそこにはリュートではなく、竜人の子供がリュートと同じ服装でその場に倒れていた
鱗は赤い。その時点で普通の竜人とは違うのが分かる…と言ってもそれは竜人を見たことのある人限定で、チル達は見たことがない
「も、もしかしてリュート?」
チルがゆっくりとハリムを下ろし竜人に近付いた
「…リュート!リュート!」
チルが揺すると竜人が目を覚まし、目を擦って起き上がった
「んん?姉ちゃん?あ!あの男は!?」
リュートだったと言うことにチルはホッとため息を吐いてリュートに姿が変わっている事を告げた
「嘘だろ?俺がそんな嘘に引っ掛かる訳無いだろ!」
リュートが立ち上がりハリムへ歩いていき起こすとハリムは驚いた
「うわっ!モ、モンスター!」
「?お父さんまで何言ってるんだよ、そんなのにもう引っ掛からないって」
「…もしかしてリュートか?」
「どうもしなくても俺だよ!」
リュートが怒るとハリムもホッとため息を吐いた
「リュート…信じられないかもしれないがお前は今モンスターの姿になっている」
「…何言ってるんだよお父さん!そんな事あるわけ…なあ姉ちゃん!そんな事あるわけ…」
リュートが振り返るとチルは俯いてリュートと目を合わせなかった
「え?まさか!」
リュートが駆け出そうとすると今までとは比べ物にならないほど速くなっていて一瞬でバケツに辿り着いた
バケツにはまだ少し水が残っており、それで自分の姿を確認しようとしているのだ
リュートが確認するとプルプル震えだした
「な、何なんだよこれ…」
リュートがバケツを放り投げるとバキッと音を立てて壊れた
リュートはしゃがみこみ頭を抱え込んだ
(何なんだよこの姿は!これじゃまるでモンスターじゃねえか!)
リュートが歯を鳴らしてどうやって元に戻るか考えていると誰かに肩に触れられた
「や、止めろ!俺に触るな!」
リュートがその手を払い、離れた後その者を見た
「大丈夫、リュート、大丈夫だから」
ハリムはギュッと抱き締めた
「お、お父さん!離して!俺、モンスターだから!」
「お前はモンスターじゃない…お前は俺の息子のリュートだ」
ハリムに言われるとリュートは抵抗を止めて泣き出した
「うわぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁあぁあぁぁぁぁぁぁああああああぁあぁぁぁぁぁ!」
「よしよし」
ハリムは泣きじゃくるリュートの頭を撫でて抱き上げた
「チル、悪いが飯を作ってくれ」
「…分かった」
チルは泣いているリュートを見ながら家の中に入っていった
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