ゴッドクエスト

紅蓮の焔

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10章 妖精界での冒険

132話神殿の中で

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「うおー!凄い!」
レインは興奮して目の前にいきなり現れた神殿に目を奪われていた
その神殿はあちこちに蔓が絡んでいて神殿の前には石造りの小さな橋があり、その下に綺麗に透き通った水が流れていた
更には神殿の入口の左右には祈りを捧げる女天使象が建てられていた
「中に入ってみよう」
「うん!」
レインとメイトは扉を開けて中に入ると驚きの言葉も出ないほど感激した
扉を開けた先には中央に赤い絨毯じゅうたんが敷かれており、その左右には階段が1つづつあり、絨毯じゅうたんの先には玉座があった
その全てに蔓が絡まっており、床にはヒビが入っていて、更には絨毯じゅうたんは破れている所はあり、玉座は所々欠けている所もある
「す、凄い…」
初めに声を出したのはハミだった
「上にも行ってみよう!」
「「おー!」」
3人は鼻歌混じりに左の階段を登った
左の階段を登っていくと途中でもう1つの階段と繋がり、そのまま登っていった
すると、目の前にはバキバキに壊された祭壇に、その左右に青い炎の灯った松明があり、それは傷1つ付いていなかった。更に壊された祭壇には白い光が差し込んでいて、どこから差し込んでいるのか見上げると窓もなく、照明も無かった
そして祭壇の上にはボロボロの服を着て木の根の様な物に両手足を拘束されている。髪の色は真っ黒で左だけに翼の生えた生物がいた
その生物を見たメイトはガクガクと震えだしながら目を離せずにいた
「どうしたの?」
【主人…あれ…危険…!】
ホムラがレインに忠告するとレインは驚いてホムラを見た
「あの子が?」
【うん…あれ…この前の…奴より…危険!】
「嘘!今にも死にそうに見えるし大丈夫だよ」
【その状態で…前の…奴より…危険…!】
レインはその言葉を聞いて驚いた
「おい、逃げるぞ…」
「え?」
メイトが慌ててレインの手を引っ張って階段を降りようとするがレインは抵抗する
「お兄ちゃん!どうしたの!?」
「は、早く逃げないと…!」
メイトがそこまで言い、レインの方へ振り返ると両膝を床に着いてメイトの顔を絶望が埋め尽くした
レインはその場で振り返った
するとレインを肩から覗き込んでいる先程の者がいた
近くで見ると男の様で、ジーっとレインを見詰めている
「うわっ!」
レインが咄嗟に離れると男はいきなりレインの視界から消えた
「あれ?」
レインがそのまま止まろうとすると何かにぶつかった
そこで振り返ると先程の男がいたのでレインは驚きながらもジリジリと見逃さないと男を見詰めながら後ずさり、メイトの方へ進んでいく
一定間隔開くとまたフッと消えた
「レイン!後ろだ!」
メイトに言われてレインが振り向くと眼前に男が立っていて手を伸ばしていた
「くっ!」
メイトは震えながらも立ち上がりレインを押し退ける
そして男の手がメイトに触れると同時にメイトは男を蹴り飛ばした
「はあ…はあ…」
「だ、大丈夫?お兄ちゃん」
「はあ…はあ…レ、レイン」
「何?」
「あいつに触られたらダメだ、体力を吸われた。はあ…はあ…」
メイトが息を切らしている間にレインは吹っ飛ばされた男を見ようと男が吹っ飛ばされた方向を見た…がそこにはもう男はいなかった
「後ろだ!」
メイトに言われて咄嗟にそこから離れる…が手が足に触れ、そこから体力が抜け落ちていく感覚に襲われた
「うわ!」
レインは自分の足に躓いて転けてしまった
【レインくん!】
「あ、あれ?リーナちゃん?」
【あの男はレインくんじゃ勝てない!早くそこから逃げて!】
「え?で、でも」
【とにかく早く逃げて!】
「わ、分かった!」
レインは走って息を切らしてなんとか立っている状態のメイトを引っ張って階段を降りていった
「はあ…はあ…もう追い掛けて来ないみたいだね」
レインは1階に着くと止まって休憩をする
すると首筋に誰かに触れられそこから体力が尋常な勢いで吸い取られていき、レインは慌てて転がり退いた
「はあ、はあ、な、何!?」
先程までいた所を見ると男がレインを凝視していた
「ど、どうしよ…」
レインは現在立っているのではなく、ホムラを杖代わりに方膝を着いてなんとかこの体勢を維持している状態で少しでも力を抜くと倒れてしまいそうになっていた
レインは男を見て気付いた
「お、お兄ちゃん…」
メイトが男の近くで息を切らして倒れていたのだ
「ハミちゃん…」
「何?…うわ!何?あの天使!」
「天…使?」
「うん、人に見えるけどあれ、天使だよ」
レインは知識の本で天使を調べた

『天使
1000年前の対魔界戦争、通称聖戦で天界もろとも滅ぼされた種族
現在、生き残りは確認されておらず想像上の生物とされている』

「はあ…はあ…じゃ、じゃああの天使さんは何でここ…にいるの?」
「分からない…天使は普通天界にいるはずなのに…」
そう言うとハミは天使へと飛んでいった
「ねえねえ、あなた何でここにいるの?普通天界にいるんじゃないの?」
すると天使は言葉を発した
「ワレ…カミ、ニクムモノナリ…ユエニカミノフンイキガスルキサマラヲハイジョスル!オマエラトトモニイルモノモハイジョ!ハイジョスル!」
ハミはレインの方へ戻りレインに忠告した
「な、なんか可笑しいよ、早く逃げよ」
「はあ…はあ…ど、どうしたの?」
「なんか…怖い…」
ハミが震えていると天使からどす黒いオーラが出てきた
【レインくん!あれ堕天使!】
「堕…天使?」
レインは次に堕天使を調べる

『堕天使
魔族に操られし天使、神を憎み自身から闇へと堕ちた天使、それぞれ理由は違えど闇へと堕ちた天使達
どちらにしても闇へと堕ちた天使は強大な力を手にする
操られた天使を元に戻すには天使を操っている魔族を討伐するか、もしくは操っている魔力の供給を止める。それか殺す事で操作を遮断できる
自身から闇へと堕ちた天使は説得させるしか元に戻す方法はない』

「ガギュール!」
レインが渾身の力で叫ぶとレインの隣から魔方陣が展開されガゴゴゴゴと重い音で開いていく
中から1匹の狼が飛び出てきた
【レインよ、どうした?】
「ちょっとしくじっちゃって」
レインは渇いた笑いを浮かべた
「悪いけど僕が気を引くからお兄ちゃんをここから連れ出して」
【お主はどうするのだ】
「少しあの天使さんとお話するから」
レインの覚悟が籠った言い方にガギュールは少し考えた後
【承知した】
ガギュールは了承してレインはホムラに魔力を込めた
刀身は炎に包まれ火球がレインの周りに2つ出てきた
【主人…逃げないと…】
「大丈夫、例えどんな状況になってもホムラとハミちゃんだけは逃がすから」
レインが微笑むと心でリーナに話し出した
(ねえねえ、リーナちゃんって幻覚を見せたり出来るんだよね?)
【そうだけど、あの速さじゃ姿を隠すにも意味無いんじゃないの?】
(大丈夫、考えがあるんだ)
【考え?】
(うん…それはね……)
【それ物凄く危険じゃない!】
(でも下手に隠そうとするよりも安全と思うけど)
リーナはレインの考えにため息を吐いた
【分かったわよ!やるわよ!やれば良いんでしょ!】
(ありがとう)
レインはリーナに礼を言うとホムラを構えた
「そろそろ体力も戻ってきたし…そう言えばハミちゃんに回復してもらえばよかった!」
「何が~?」
レインはその事に気が付くまでに掛かった時間が無駄に思えてため息を吐いた
「ハミちゃん」
「何?」
「もし僕があの天使さんに触られたらすぐに体力を回復させて」
「分かったよ」
ハミはコクりと頷く
「行くよガギュール!」
【了解!】
威嚇をするガギュールとホムラを構えたレインを天使はずっと凝視している
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