ゴッドクエスト

紅蓮の焔

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14章 終わりの序章

202話少年の生存

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「あの一番上の神殿、あれ偽物だったわ」
「それじゃあどうするんですか!?」
【あれぇ?皆まだ生きてたんだぁ】
突然頭に響く声にびっくりしてクルとチルはキョロキョロと辺りを見回していた
【それじゃあ力も溜まったし…僕が出ていくよ…】
声が止むと辺りが不気味な雰囲気に包まれた
そして木の中心にある術式にヒビが入る

ビキ…ビキビキ…ビキ…パリンッ!

そして高い音と共に割れるとその中から巨大な手が出てきた
「は?」
神界にいる全員がその声を上げた

ドゴンッ!

そして木が全て崩れ落ちて地面が崩れ始めた
「皆!俺に掴まれ!」
リュートが叫ぶと皆、リュートの身体を掴んだ
「フライングウィング!」
リュートは一人一人、浮遊物に置いていき、なんとか死者が出るのを防いだ
「一体…なんなんだ?」





「うわわわわわわ!」
アリスは部屋の天井が突然崩れ出した事に慌ててサツキを背負って穴から外に出て、泣き疲れて背中を丸めて暗い空をボーッと見ているリーナ達を引っ張り始めた
「ここにいたら危険だよ!早く逃げよう!」
「もう、レインくんはいないしここで死んでも良い…」
「私もにゃ…」
2人は小山座りをして頭をうずめた
「そんな事言わないで…」
リーナが振り返るとアリスに頬を叩かれた
「私だってお父さんが目の前で殺されてとっても悲しかったんだから!」
リーナは頬を擦りながら上目使いでアリスを見るとポタポタと涙を流していた
「そうだぞ、リーナ、マニエル」
名前を呼ばれて、後ろから声がして振り返るとそこには黄緑色の髪を持った少年がいた
顔には幾つかの裂傷が入っており、その部分がどす黒く変色している
そしてなぜか上半身が裸になっていて、腹部にも丸くどす黒い穴の様な物があり、そこから首まで縦にどす黒い線が入っており、首の所で左に急に曲がっていた
「あ…あ…!」
信じられないとばかりにリーナの頬を涙が伝う
「本当?…本当…に?」
「ああ、何をそんなに驚いているんだ?」
「本当…にゃ?本当に本物にゃ?」
「だからそうだって言っているだろ?なんだ?そんなに俺が生きていたらダメなのか?」
少年が苦笑するとリーナ達は思いっきり首を横に振った
「師匠も…」
少年はサツキの頭を撫でるとアリスの頭も撫でた
「ありがとう、リーナ達を叩いてくれて、あのまま死んで良いとか言ってたら俺が叩いてた」
「レインくん!」
「ん?」
「お父さん!」
2人はレインに飛び付いた
「「うわぁぁぁぁぁぁあぁあぁぁぁあぁぁぁぁぁああぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁあぁぁあぁぁぁあぁあぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁああぁぁぁぁあぁあぁぁぁ!レインくん(お父さん)!もう一生離れたくないよ(にゃ)~!!」」
レインは少し動きを止めた後に溜め息を吐き2人の頭を撫でた
「後少しは我慢してくれ…そろそろ来るか?」
レインは抱き着いている2人に加えてアリスとサツキを担いで近くの浮遊物に置いていった
「後少しここで頑張っていてくれ」
そう言い残すとレインは木の中心から出てきている手を見た
「アリス、師匠を頼む」
アリスにはサツキを託して巨大な手へ飛んで行った
「嘘!レインくん飛べたの!?」
「にゃ!?お父さん飛べたにゃ!?」
2人の驚きの声はレインには聞こえずにそのまま巨大な手に飛んで行った
(あれが出てきたら多分…!負けるな)
レインは思い返してみた
(なんでこんな事になったんだ?もしあそこで金を貰わなかったら…外への期待に胸を膨らませて魔王討伐なんて引き受けなきゃあなあ)
【何を言っとるんじゃ!そのお陰で儂と出会えたんじゃろうが!】
「そうだったな、やるぞ、ドルバギオ」
【うむ!】
「うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!龍神化!」
レインの皮が緑の鱗になり、黄色い爬虫類の眼で歯が尖って牙になった
「あれが出る前に止めるぞ!」
【頑張れぃ!】
レインがその手を蹴って押し戻そうとすると同時に木が完全に粉砕して出てきてしまった
「くそ…」
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