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1章 崩れ行く日常
8話 壊される幸せ
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「ふんふふ~ん♪」
「どうしたの?」
先程まで落ち込んでいたレンゼが鼻唄混じりで子供部屋に来た事に首を傾げた
「かーしゃんに褒められたんだ~!」
「ずる~い! わたしも褒めてもらう~!」
ロゼがドアに向かって走り出すと何かに躓いてこけてしまった
「ん~? いた~い!」
「あ! 何かある!」
ロゼの足下の床が少しずれていてその下に階段が見える
ロゼも鼻を擦りながらレンゼの方を見て、その視線の先を見た
「「おお! 地下室!」」
レンゼは階段の上の板を外して、傍に置くと階段を降りていく
「おお! しゅごい!」
レンゼの目の前には色々な箱や壺があちこちに置いてあり、壺に貼られている紙に何か書かれている
「ん~?」
『西暦834年』
(せいれき834年? 意味わからん)
レンゼとロゼは次々と中を探索していく
「おお!」
現在、レンゼの目の前には樽に入れられたボロボロの剣があった
それを持ってみようと思って触ろうとするが身長が足りずに樽から剣を引き抜けなかった
「うぅ…大きくなったらまた来るからな!」
レンゼはグッと拳を作ると再び別の所を探し始めた
「ロゼ~? 何か見付けた~?」
目の前でしゃがみ込んでいるロゼに話し掛けるとその隣にある壺を指差した
それの蓋は壺の隣に転がっていて開いているので、レンゼはその中を見た
(? なにこれ?)
レンゼはその中に入っている柔らかく、少し平べったくなっている球体を触るが何かは分からない
しかも指で強く押すと中に固い球体が入っている様だった
「これがどうしたの?」
「しゅっぱい…」
「しゅっぱい?」
レンゼはそれをパクッと口に放った
「っ!?」
その瞬間甘酸っぱい様な、しかし物凄い刺激が口の中を襲った
「うっ…」
そしてレンゼもロゼと同じ様に酸っぱさを、目に溜まる涙が流れるのを必死で堪えて、2人はプルプルと震えていた
数分後…
「や、やっとだいじょうぶになってきた~…」
ロゼが額の汗を拭うとてくてくと走っていった
(うそだろ! こんな凄い酸っぱさに慣れた!? 化け物か!)
レンゼはその後暫くプルプル震えた後、漸く慣れてきた
(慣れたと言うか味が無くなってきた…よかった~)
レンゼは額の汗を拭うと中の柔らかい球体を噛んでしまい、そこから再び酸っぱさが襲ってきた!
「っっっ!!??」
しかも先程よりも強い刺激が襲ってきて涙が流れ始めた
(しゃ、しゃっきよりしゅっぱい…)
必死で口を押さえて吐き出すのだけは押さえようとしているがそれでも物凄い刺激が口の中を迸る
更に数分後…
(やっと落ち着いた…)
レンゼは1度手に吐き出し、固い球体を取り出すと飲み込んだ
「ごほっごほっごほっ!」
咳き込んで口に再び恐怖を植え付けられた球体が出てきそうになったので無理をして飲み込んだ
「はあ…はあ…」
レンゼは壁に手を当てて息を整えると階段の所まで移動して固い球体を光に当てた
「たね?」
そしてそれをあらゆる角度から観察していると視界の端にプルプル動く物を見つけた
「ロゼ?」
種をズボンのポケットに入れながらプルプル震えているロゼに近寄る
「どうしたの?」
レンゼがロゼの顔を覗き込むように見るとロゼは口を押さえて涙をツーッと流していた
「…噛んじゃったんだ……」
レンゼはそんなロゼをよしよしと慰めると先程の壺を封印しようと蓋を掴むと壺の上に置いた
(封印完了!)
そして蓋に何かが貼られていたのでそれを見ると…
『西暦834年』
(…あの壺だったんだ……)
レンゼは苦笑して他の所も見渡そうとした
「レンゼ! ロゼ!」
突如、階上から聞こえてきた声に驚いて上を見上げた
「よかった~……少しそこで静かにしててね」
リゼがウィンクをして口元に人指し指を立てて言うともう平気になったのかロゼはレンゼの隣に来た
「何があっても静かにしててね…」
最後に冷たく言うと階段の蓋を閉じた
その瞬間真っ暗になり何も見えなくなった
「レンゼぇ…」
今にも泣きそうな声でロゼが呟くとレンゼはロゼの手を握った
「大丈夫…かーしゃんが来るまで待っていよ?」
「うん…」
ロゼとレンゼは2人で手を繋いで吐息の音でお互いを確認しながらリゼが戻ってくるのを待った
ドタドタドタ…
突然階上から響いてくる沢山の足音に驚いて声を出しそうなロゼの手を強く握り少しでも小さな声で届く様に一旦手を離して抱き寄せ、耳元に顔を持っていく
「まだ声を出しちゃだめだよ…」
コクコクコク…
首が縦に動いたのを確認すると手を繋ぎ直して階段を手探りで探し、見つけるとゆっくり登っていく
そして…板に耳をくっ付けた
「この家に本当にそんなお宝があるんですかい?」
「あの方の命令は絶対だ! この前目の前で殺された奴を見たろ! 分かったら黙って根刮ぎ奪え! それに昇格もさせてくれんだろ? 一石二鳥じゃねえか!」
「「「おう!」」」
(4人か…)
ドタドタドタ…
足音がしなくなるとレンゼはロゼに耳打ちした
「俺の声が聞こえたらここの板を閉めて絶対に声をだしゃないで…いい?」
コクりと、人型の影が頷いたのを確認すると手を離してゆっくり…音を立てないように板を外す
子供部屋には今まであった、玩具や小道具が無くなっていた
(…気配を消すのはかくれんぼやおにごっこで必要不可欠だったから得意なんだ…なめんなよ…)
レンゼは音を立てないように慎重に子供部屋に上がった
そして床に耳を付けてどの方向から音が聞こえるかを集中して聞き取る
(リビング…)
レンゼはそーっとリビングまで、床の軋まない所を選んで廊下を通っていき、軈てリビングに着いて顔だけをリビングの中を覗くように出す
(っ!)
その中に広がっていた光景はリゼが腹を斬られて仰向けに倒れて血が流れ出ている
(かあさん…)
そしてその周りに4人の男が色々袋に詰めてリビングのあちこちに置いている姿だった
一番左にいる男は唇にピアスを付けている
その隣の男は額に十字傷を負っている
右から2番目の男は左腕がない
一番右の男は棒を持っていて目を閉じている
(お前ら…覚悟してろよ…)
レンゼがリビングに飛び込もうとすると服の裾を引っ張られた
(っ!?)
振り向くとそこにはブレイブがお座りをしていた
「ブレイブ…」
「おい! 今、声が聞こえたぞ!」
「っ!」
「わんっ!」
ブレイブは「自分の後ろへ行くように」と言わんばかりに首を少し動かした
「このがきゃ!」
見つかって殴られそうになるとブレイブが男の足に噛み付いた
「ごめん…ブレイブ…」
「おい! あいつを捕まえろ!」
レンゼが子供部屋へ走り出すと男達が追い掛けてくる音が聞こえてくるがそれも「いてっ!」や「ぐわっ!」等の声で止まる
(ごめん…ごめん…)
レンゼはポケットに入れていた種を子供部屋の窓に思いきり叩き付けて窓を割ると地下室に飛び込むと板を嵌め直した
すると子供部屋でドタドタと音がした
「おい! ガキを探せ!」
「どこだ! 絶対に見つけ出せ!」
上で大きな音が聞こえるがレンゼは気配を消してロゼを宥めながらその場で待機していた
「ちっ…いねぇな…燃やすぞ!」
「「「おう!」」」
ボッボッボッ
そこから引火していく音が聞こえてくる
「そろそろ火もヤバくなってきたな…おい! 引き上げるぞ!」
男の一人が怒鳴るとドタドタと音がして鳴り止むと張り詰めていた表情を和らげた。それと同時に涙が頬を伝う
「くしょっ…」
レンゼは流れる涙を拭うと板を開けようとした
しかし板を持ち上げると何かが落ちてきてレンゼの力では持ち上げられなくなり、板は再び嵌まってしまった
「ロゼ!」
ロゼを呼ぶが返事がない
「う、うしょ…」
階上で燃える音と、蒸し熱くなって来て汗をダラダラと掻いた
「しょ、しょうだ…」
レンゼはフラフラと階段を降りて何かを踏んでしまった
「ん? …ロゼ?」
人の様な形をしている物をロゼと思い、手探りで部屋の隅に行き、壺を運ぼうとしたが重すぎて運べなかった
「しょ…んな…」
ここで意識が途切れた
「どうしたの?」
先程まで落ち込んでいたレンゼが鼻唄混じりで子供部屋に来た事に首を傾げた
「かーしゃんに褒められたんだ~!」
「ずる~い! わたしも褒めてもらう~!」
ロゼがドアに向かって走り出すと何かに躓いてこけてしまった
「ん~? いた~い!」
「あ! 何かある!」
ロゼの足下の床が少しずれていてその下に階段が見える
ロゼも鼻を擦りながらレンゼの方を見て、その視線の先を見た
「「おお! 地下室!」」
レンゼは階段の上の板を外して、傍に置くと階段を降りていく
「おお! しゅごい!」
レンゼの目の前には色々な箱や壺があちこちに置いてあり、壺に貼られている紙に何か書かれている
「ん~?」
『西暦834年』
(せいれき834年? 意味わからん)
レンゼとロゼは次々と中を探索していく
「おお!」
現在、レンゼの目の前には樽に入れられたボロボロの剣があった
それを持ってみようと思って触ろうとするが身長が足りずに樽から剣を引き抜けなかった
「うぅ…大きくなったらまた来るからな!」
レンゼはグッと拳を作ると再び別の所を探し始めた
「ロゼ~? 何か見付けた~?」
目の前でしゃがみ込んでいるロゼに話し掛けるとその隣にある壺を指差した
それの蓋は壺の隣に転がっていて開いているので、レンゼはその中を見た
(? なにこれ?)
レンゼはその中に入っている柔らかく、少し平べったくなっている球体を触るが何かは分からない
しかも指で強く押すと中に固い球体が入っている様だった
「これがどうしたの?」
「しゅっぱい…」
「しゅっぱい?」
レンゼはそれをパクッと口に放った
「っ!?」
その瞬間甘酸っぱい様な、しかし物凄い刺激が口の中を襲った
「うっ…」
そしてレンゼもロゼと同じ様に酸っぱさを、目に溜まる涙が流れるのを必死で堪えて、2人はプルプルと震えていた
数分後…
「や、やっとだいじょうぶになってきた~…」
ロゼが額の汗を拭うとてくてくと走っていった
(うそだろ! こんな凄い酸っぱさに慣れた!? 化け物か!)
レンゼはその後暫くプルプル震えた後、漸く慣れてきた
(慣れたと言うか味が無くなってきた…よかった~)
レンゼは額の汗を拭うと中の柔らかい球体を噛んでしまい、そこから再び酸っぱさが襲ってきた!
「っっっ!!??」
しかも先程よりも強い刺激が襲ってきて涙が流れ始めた
(しゃ、しゃっきよりしゅっぱい…)
必死で口を押さえて吐き出すのだけは押さえようとしているがそれでも物凄い刺激が口の中を迸る
更に数分後…
(やっと落ち着いた…)
レンゼは1度手に吐き出し、固い球体を取り出すと飲み込んだ
「ごほっごほっごほっ!」
咳き込んで口に再び恐怖を植え付けられた球体が出てきそうになったので無理をして飲み込んだ
「はあ…はあ…」
レンゼは壁に手を当てて息を整えると階段の所まで移動して固い球体を光に当てた
「たね?」
そしてそれをあらゆる角度から観察していると視界の端にプルプル動く物を見つけた
「ロゼ?」
種をズボンのポケットに入れながらプルプル震えているロゼに近寄る
「どうしたの?」
レンゼがロゼの顔を覗き込むように見るとロゼは口を押さえて涙をツーッと流していた
「…噛んじゃったんだ……」
レンゼはそんなロゼをよしよしと慰めると先程の壺を封印しようと蓋を掴むと壺の上に置いた
(封印完了!)
そして蓋に何かが貼られていたのでそれを見ると…
『西暦834年』
(…あの壺だったんだ……)
レンゼは苦笑して他の所も見渡そうとした
「レンゼ! ロゼ!」
突如、階上から聞こえてきた声に驚いて上を見上げた
「よかった~……少しそこで静かにしててね」
リゼがウィンクをして口元に人指し指を立てて言うともう平気になったのかロゼはレンゼの隣に来た
「何があっても静かにしててね…」
最後に冷たく言うと階段の蓋を閉じた
その瞬間真っ暗になり何も見えなくなった
「レンゼぇ…」
今にも泣きそうな声でロゼが呟くとレンゼはロゼの手を握った
「大丈夫…かーしゃんが来るまで待っていよ?」
「うん…」
ロゼとレンゼは2人で手を繋いで吐息の音でお互いを確認しながらリゼが戻ってくるのを待った
ドタドタドタ…
突然階上から響いてくる沢山の足音に驚いて声を出しそうなロゼの手を強く握り少しでも小さな声で届く様に一旦手を離して抱き寄せ、耳元に顔を持っていく
「まだ声を出しちゃだめだよ…」
コクコクコク…
首が縦に動いたのを確認すると手を繋ぎ直して階段を手探りで探し、見つけるとゆっくり登っていく
そして…板に耳をくっ付けた
「この家に本当にそんなお宝があるんですかい?」
「あの方の命令は絶対だ! この前目の前で殺された奴を見たろ! 分かったら黙って根刮ぎ奪え! それに昇格もさせてくれんだろ? 一石二鳥じゃねえか!」
「「「おう!」」」
(4人か…)
ドタドタドタ…
足音がしなくなるとレンゼはロゼに耳打ちした
「俺の声が聞こえたらここの板を閉めて絶対に声をだしゃないで…いい?」
コクりと、人型の影が頷いたのを確認すると手を離してゆっくり…音を立てないように板を外す
子供部屋には今まであった、玩具や小道具が無くなっていた
(…気配を消すのはかくれんぼやおにごっこで必要不可欠だったから得意なんだ…なめんなよ…)
レンゼは音を立てないように慎重に子供部屋に上がった
そして床に耳を付けてどの方向から音が聞こえるかを集中して聞き取る
(リビング…)
レンゼはそーっとリビングまで、床の軋まない所を選んで廊下を通っていき、軈てリビングに着いて顔だけをリビングの中を覗くように出す
(っ!)
その中に広がっていた光景はリゼが腹を斬られて仰向けに倒れて血が流れ出ている
(かあさん…)
そしてその周りに4人の男が色々袋に詰めてリビングのあちこちに置いている姿だった
一番左にいる男は唇にピアスを付けている
その隣の男は額に十字傷を負っている
右から2番目の男は左腕がない
一番右の男は棒を持っていて目を閉じている
(お前ら…覚悟してろよ…)
レンゼがリビングに飛び込もうとすると服の裾を引っ張られた
(っ!?)
振り向くとそこにはブレイブがお座りをしていた
「ブレイブ…」
「おい! 今、声が聞こえたぞ!」
「っ!」
「わんっ!」
ブレイブは「自分の後ろへ行くように」と言わんばかりに首を少し動かした
「このがきゃ!」
見つかって殴られそうになるとブレイブが男の足に噛み付いた
「ごめん…ブレイブ…」
「おい! あいつを捕まえろ!」
レンゼが子供部屋へ走り出すと男達が追い掛けてくる音が聞こえてくるがそれも「いてっ!」や「ぐわっ!」等の声で止まる
(ごめん…ごめん…)
レンゼはポケットに入れていた種を子供部屋の窓に思いきり叩き付けて窓を割ると地下室に飛び込むと板を嵌め直した
すると子供部屋でドタドタと音がした
「おい! ガキを探せ!」
「どこだ! 絶対に見つけ出せ!」
上で大きな音が聞こえるがレンゼは気配を消してロゼを宥めながらその場で待機していた
「ちっ…いねぇな…燃やすぞ!」
「「「おう!」」」
ボッボッボッ
そこから引火していく音が聞こえてくる
「そろそろ火もヤバくなってきたな…おい! 引き上げるぞ!」
男の一人が怒鳴るとドタドタと音がして鳴り止むと張り詰めていた表情を和らげた。それと同時に涙が頬を伝う
「くしょっ…」
レンゼは流れる涙を拭うと板を開けようとした
しかし板を持ち上げると何かが落ちてきてレンゼの力では持ち上げられなくなり、板は再び嵌まってしまった
「ロゼ!」
ロゼを呼ぶが返事がない
「う、うしょ…」
階上で燃える音と、蒸し熱くなって来て汗をダラダラと掻いた
「しょ、しょうだ…」
レンゼはフラフラと階段を降りて何かを踏んでしまった
「ん? …ロゼ?」
人の様な形をしている物をロゼと思い、手探りで部屋の隅に行き、壺を運ぼうとしたが重すぎて運べなかった
「しょ…んな…」
ここで意識が途切れた
応援ありがとうございます!
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