復讐の慰術師

紅蓮の焔

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6章 喜びの楽園

66話 頭痛

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「まあ部屋は与えたがこの階は教えてなかったからなぁ…」
グリードはレンゼを連れて前回と同じ様にその階を案内していた

ガチャ

「ここが調理場。んで前に貼られてる当番表は今日の当番を表してる。今日はクラークだ」

ガチャ

「ここが風呂場」

ガチャ

「ここがリビング」

ガチャ

「ここがトイレに…後は…そうそう!」
グリードは少し先のドアまで歩いて行き、ドアを開いた

ガチャ

「ここが生活用品の倉庫だ。上の倉庫は店で使う方でここでは調理器具や衣類、家具に個人の物とか色々置いている。そのせいでここ、近い内に広くしないといけないんだがな…」
グリードが苦笑するとレンゼも苦笑した
「それじゃあクラークが飯を作るまで俺は風呂に入るから、タオルならそこにある。使い終わったら風呂場の所にある赤い篭に入れておけ、その日の当番が洗うから」
「本当に何から何までありがとな、グリード。お前の目的が何なのかいまいち良く分からないが本当に感謝する」
タオルが掛けられた物干し竿からタオルを取り、肩に提げて風呂場に向かって行くグリードは足を止めて振り向いた
「言ったろ? 俺は仲間の為ならなんでもする。それは別にお前達に恩を売る為じゃ無くて俺がやりたいからやってるだけだ。別に感謝しなくても良い」
グリードは再び風呂場に向かって足を動かし始めた
(…グリード…あんな言葉どこかで…っ!!)
その瞬間、頭に激痛が襲って来て何かが流れて来る

『ねぇ、君は何をしてみたい?』

そうだな……いつか外に出てみたい…この外に…

『君らしい望みだね、なら僕はその君のお願いを叶える為に頑張るよ』
男がレンゼに向かって笑うとその時思い出した
(たしかこの男、撃たれたんじゃ…)
レンゼの思いを無視して口は勝手に動いていく

ありがとう。母さん

『どういたしまして、我が子よ!』
男が気さくに笑うがレンゼは自分が発した単語に驚いていた
(母さん? こいつって男だろ?)

そこでその場面が流れ込んで来るのが止まった
「はあっ…はあっ…」
それと同時に頭痛が止んでホッとした半面、疲れが滲み出てきて汗が流れ出ていた
(あの男…いや女か…あの女、一体誰だ? それにあの時撃たれた筈なのに俺の口は勝手に動いた…母さん…つまり俺を育てているって訳か…あの夢…いや、夢じゃないな、夢は寝てる時に見る物だ。じゃああれはなんだ? 仮に前世だとしても俺は転生者、自分の前世は分かっている筈だ。俺の前世は田中逃志、クソ親共に嫌がらせの様に中学入学と共に変えられた胸糞悪い名前の筈だ。ならあれはなんだ? 前世のまた前世? だとしたらそんな事をなんで今生になって思い出す? それなら前世の死ぬ瞬間にでも思い出してる筈…だったら夢…ではないけどそれに似たような何かか? でもどこか懐かしい気もしたし…う~ん…)
暫くその場で考え込んでいるとトントンっと肩を叩かれ振り向いた
「ゼパイアさん?」
「よっ! レンゼくん、だっけ?」
ゼパイアがニシシと笑うと曖昧に返事をした
「何を考えてたんだい? そんなに考え込んでるとすぐにタマ落とすよ!」
「…1つ聞いて良いですか?」
真剣な眼差しでゼパイアの顔を見上げるとゼパイアも笑顔を止めて真剣な表情に変えた
「あぁ、良いよ。なんだい?」
「ゼパイアさんは急に頭が痛くなって知らない人、場面が頭の中に流れ込んで来る事ってありますか?」
「さあねぇ…あたしは無いけど…ボスなら何か知ってんじゃ無いのかい? ボスはあたし達とは少し違うからね…かと言うあたし達も少し異常だけどね」
レンゼはゼパイアの言葉を聞くとグリードが入って行った風呂場の所をチラリと見た
「そうですか…ありがとうございます」
「畏まらなくて良いさ! それよか今日の晩飯は覚悟して置いた方が良いよ! なんたって料理がボロクソ下手なクラークの激不味い料理だからね! あっはっはっ!」
ゼパイアはレンゼの頭を撫でてグリードと同じ様に物干し竿からタオルを取ると風呂場の方に向かって歩いて行った
「…異常…か、たしか元暗殺集団だったか…あの人も苦労してんだな…」
そう呟くとグリードに指示された場所に置いている木箱の中にタオルが入っているのを見付けてそれを1枚取ると風呂場に向かった
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