復讐の慰術師

紅蓮の焔

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6章 喜びの楽園

69話 前兆

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「おい! どうしたんだ!」
グリードがレンゼを前後に振るが状態は良くならず、身体が焼ける様な痛みと左目が鋭利な物で何度も刺される激痛、頭は割れる様な痛み、そしてそれと同時に催す吐き気に、ついには嘔吐物にまみれて全身と言う全身から汗、涙、小便、体中から体液と言う体液が流れ出る
「おい! くそっ! どうなってやがる!」
「ボス! 布巾持ってきやした!」
「あぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁああぁぁああぁぁぁあぁあぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁぁぁ…!」
レンゼが頭を押さえて泣き叫ぶが全身から隈無く吹き出る体液にまみれてベッドの上をもがき苦しんでいた
「チッ…」
グリードの体中から黒い手が溢れ出て来て、トメイルの持ってきた大量の布巾を掴むとレンゼの体液を一瞬にして拭き取った
「…お前ら、少し出てろ」
「ボス! 新人くんは「出てろって言ってるんだ」」
少し威圧して言うとアイシス達はレンゼの部屋から出ていった
(なんだこの症状は…今日は殆どアイシスと一緒にいた筈…アイシスに出てないのならレンゼの友人達にも何かが?)
そんな事を考えているとレンゼの悲鳴が止んだ。それで考えるのを止めてレンゼを見ると…目が萎み、髪は荒れ、体が水分の持たない様な…まるでミイラの様な見た目と化していた
「ヒュゥ~……ヒュゥ~……」
虫の息のレンゼを見詰めてどうやれば治してやれるかを考え込んだ
(落ち着け…落ち着け…早くしないとレンゼに残された時間は…)
頭の中が『死』と言う単語に埋め尽くされ考えられなくなったグリードは1度自分の頬を殴った
(落ち着け…慌てても得られる物は何一つとして無い。今までみたいに考えれば良い……まず、なぜこんな事になったのか…例え病原菌だとしてもアイシスは感染していない。それより前ならこんな夜に発病するのはおかしい…時間が経ち過ぎてる。ならなんだ? 突然こんな狂った様に体液をぶちまける病気? んな事ぁ聞いた事がねぇ…)
グリードは目の前で弱っていくレンゼを見詰めて下唇を噛んだ
(止めろ…思い出すな…! 今はレンゼの事に集中だ…)
深呼吸をして再び思考に没頭する
(…こんな状態になってるヤツを見るのは初めてだ…どうすれば…せめて俺の『何か』を少しでも削って飲ませれば…だからなんとかなるかも知れねぇのに…! この時間じゃ病院も開いてねぇ…せめて俺にもっと知識があれば…風邪程度の知識ならあるのに…くそっ! 早く…早く答えを導き出せ!)

コンコン

グリードは突然聞こえてきたノック音に今までの思考を吹っ飛ばされ、拳を強く握り締めた
「邪魔するな!」
グリードが怒鳴ると再びノック音が聞こえてくる
「チッ…誰だよ!」

ガチャ

「久し振りね…グリード…」
「…ゼパ…いや、まさかラスト…か?」
目の前に立っていたゼパイアの姿をした女性を見て明らかな警戒の色を見せるグリード
「何の用だ…言っとくがな…俺は絶対にあいつの命令なんか聞かねぇからな…」
「あら、今日はそこの坊や…レンゼ? だったかしら、その子に用があるのよ…」
ラストが奥で寝ているミイラを指差し、グリードはその手を叩いた
「帰れ…お前にで「坊やを治せる方法なら知ってるわよ?」」
「っ!」
ラストの言葉にグリードは驚いた表情を表した
「でもこれはあの人とは関係の無い…唯の約束の為…あの子を殺すのはなんだから…」

パチンッ!

ラストが指を鳴らすとラストの後ろからレンゼと同じ位の背丈に、似た顔立ちの少女が出てきた
「つまりレンゼを『治せる』んだな?」
「えぇ、行きなさい」
「はい…」
少女はグリードの横を通り過ぎ、レンゼの横まで行った
「…あんたは私が殺す…例え死んでも、どんな手段を取っても…あんたの事は私が必ず殺す…」
そして少女はレンゼと額を合わせた
すると赤く激しい光が2人を覆い、それを中心に旋風が巻き起こった
「何が…」
「これはあの子の意思と私の約束、この2つのお陰で坊やは生き長らえた…彼女は言ったわ…『あいつだけは私が必ず葬り去る』と…」
「そんな事は絶対にさせねぇ…」
「ふふ…精々足掻きなさい、あの人に逆らった者には罰を…行くわよ…ラース…」
話している間に旋風が止んでいて、ラースと呼ばれた虚ろな目の少女はラストと共に部屋を出ていった
「レンゼ!」
グリードがレンゼに駆け寄ると、レンゼの姿は既に元に戻っていた
「良かった…」
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