復讐の慰術師

紅蓮の焔

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9章 計画当日

110話 大統領とプライド

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(なんだ…? 今の…音…)
痛みは無いのに何故か音だけ聞こえ少し不安に思うも、すぐに体勢を立て直した合成獣が再び引き裂こうとして来た
「オラァ!」
再び蹴る

ブチィ!

「ッ!」
左脚のふくらはぎと太腿の間、膝の裏の所で音が鳴り激痛が走った
「レンゼ! だいじょ…!」
漸く駆け付けて来たアベルはレンゼの前に回り込み、その満身創痍の姿に驚いて一瞬、呼吸をやめた
「グァァァ…」
首を振って、意識をはっきりさせると再び襲う。今度はレンゼでは無く、その前に立っているアベルに襲い掛かった
「てめぇ…!」
飛んできた合成獣の爪を左腕で受けると右腕に唸りを付けて合成獣の、獅子の顎に思いっきり拳を食らわせた
「グルァ…!」

ダンダンダン!

それと同時に合成獣が後方に倒れ、アベルは左腕に力を入れて合成獣の歯を離さない
そのまま胸骨を右腕で殴ると再び後方から銃弾が飛んでいく


その頃、部屋の隅では
「レンゼ、どうなってるの? ここからじゃ見えない~…! かと言って行っても無駄だろうし…それにここ何処?」
アリサは瓦礫の後ろでこっそりと戦況を見守っていた
(うぅ~…やっぱり見えない…瓦礫邪魔!)
そんな事を考えていると髪が揺れた
「ん?」
髪を押さえてみるが、それは治まらない
(もしかしてあの叔父さんと女の子が…ひゃ~! 皆凄いわね~。最近はああ言うのが流行なのかな?)
プライド達を見詰めてアリサはギョッとした
(何…? もう人間かも怪しくない?)


数分前…
「出来る物ならどうぞ…」
プライドが氷柱を生成し、大統領に弾く
「…つまり、貴様は私と戦うと? やめておけ。貴様では私には勝てん」
腰から刀を抜き取り氷柱を中心から真っ二つに斬る

ドオォン!

突然小さな爆発が起こり、大統領の腕に氷柱の破片が突き刺さる
「そう言えば自己紹介がまだでしたね。わたくしはプライド。どうぞお見知り置きを…」
「なら、私も言わせて貰おう。私の名はレイン=ハデス。覚えて置きなさい」
そう言い、レインは音を立てて近付いて行った
「おやおや、近付いて来るのですか…やはり人は無様ですね。勝てないと分かっておきながらそうする他、術が無いとは…」
やれやれと首を横に振ると冷たい目でレインを見詰めた
「…いい加減にしてください。この小さな国が滅ぶだけで他の人間は助かるのですよ?」
「しかしそれは一時凌ぎでは無いのかね?」
「例え一時凌ぎでも宜しいでは無いですか。それで一生を終えられる者だって居るのですから」
「その様な影に怯える暮らしは人の暮らしでは無い。家畜の生き様だ」
「人は家畜です。『賢者の石』としてずっと扱き使われるかすぐに殺されるか、はたまたは他の命を断つ為に合成獣として生き永らえるか、この三択しか無いのです」
「それ以外にも方法ならばある…!」
レインの怒気の籠もった言葉にプライドは笑った
「ほう。それはどの様な方法で?」
「その元凶を断つのだ」

ガギンッ!

「っ!」
突然速度が上昇し、プライドの目の前で刀を振り下ろしたが、腕に張っていた氷を盾に攻撃を防いだ
「げ、元凶はわたくしでは無くお父様なのですが?」
それを弾き返すと再び氷柱を生成してレインに弾く
「同じ手は通用せんよ…」
スルリと避けて氷柱が脇の下を潜る
「分かっています。ですので…」

ドォォォン!

脇の下でまた小さく爆発した
「何故…!?」
「簡単です。氷柱の中に振動させて高温状態の水を入れ、氷柱が溶け、水蒸気がそこに上がる。水蒸気は水の約1700倍にも及ぶ体積ですので後は溶かしつつ弱った部分から出ようとする空気の圧に負けて氷柱が壊れれば先程と同じ様に爆発が起こります。しかし火気が無いので火は上がりませんが…」
「間抜けめ。ネタが分かれば後はそれ相応に対応出来るわ…!」
「面白い。ではやっ「う、うぁぁぁぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁああぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁああぁぁぁあぁあぁあぁあぁあぁぁぁぁ…!」」
突然の叫び声に驚いてレインは振り返った
(貰いましたよ…!)
その隙を狙って氷柱をレインに向かって乱射した
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