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9章 計画当日
111話 靄
しおりを挟むガキンッ! ドォォォォォォオン!
大爆発と共に辺りに砂煙が…舞わなかった。爆発が1箇所に凝縮されて行き、氷柱の破片がパラパラと崩れ落ちた
「本気を出さねば敗北しかねんとは…もうそろそろ歳…かな?」
「に、人間の癖に中々やりますね…」
(爆発をどうやって…!?)
「これでは耐えられんなぁ…」
その言葉と同時にレインの刀がサラサラと砂の様に崩れた
「っ!? な、何を…?」
「ただ、空気の放出を抑えたのみだが?」
「そ、その様な事…人間に出来る訳「出来るのだよ。生憎と私は人間かどうかも怪しい…武器も無い。本気で行くとしようか…」」
肩を回すと体が、全身が黒い靄に覆われ、顔だけにその靄が掛かっていない黒い人型の様な何かに変貌した
「ど、どうなっているのですか…? その姿…まるで神話の…」
「神は私では無い…さて、そろそろ終わりにしよう…」
そして現在に至る
(あの黒いの…何? なんか…怖い…!)
寒さと怖さで震える肩を押さえてみるが震えは止まらない
「…つまり神は実在する…と?」
「ここからは言葉は無用…」
靄がプライドを取り囲む様に拡がっていく
「この様な事をしても無駄です!」
自分を中心にした半径5mを氷の壁で覆った。しかしその壁も無意味、壁をすり抜けて入ってきた
「ど、どうやって壁を…!?」
「……」
そして黒い靄に覆われると辺りが見えない不可視状態となった
ブワァ…ッ!
それと同時に身体が突然、浮遊感に襲われる
(何が…ッ! 声が…出せない!?)
それが分かった途端に辺りを掻き回すが何かに当たる訳でも無くただ空を切る
(聞こえない…!? 何故…!? 何故!)
恐怖に駆られ、必死で藻掻く
すると靄が更に掛かり手が、腕が、体が見えなくなった
ゾク…ゾクゾクゥ…ッ!
(あ…ぁぁあ…!)
何も見えず、動かしたくてもその感覚も無くなり、目で見える物も無く、完全なる浮遊感に襲われる
恐怖を主張したくても誰もいない、見えない、聞こえない、触れないので何も出来ない
「漸く…か…」
その頃、レインは目の前で虚ろな目から涙を流して倒れる少女を見下ろしていた
「久々に使ったが…肩が凝る…」
肩を回して少女の首を掴んで持ち上げると虚ろな目に光が戻った
「こ…ここは…ハッ!」
涙や鼻水を拭き取り目の前で自分の首を掴んでいる男を睨み付けた
「あれは何なのですか? 少しばかり怖かったですよ?」
「さあ、それは教えかねんね…」
ゴキッ!
「が…! あが…が…!」
床に落とされたプライドは首を押さえてよだれを垂らす
「ぁぁぁぁ…ああ…!」
「この国を侮った事…後悔するが良い…!」
首が赤い光に包まれプライドはよだれを拭き取った
「い、いた…」
ドゴッ!
「がッ!?」
首を蹴られグルグルと数回転すると吹き飛び頭がゴロンと床に落ちた
サラサラ…
頭が灰と化し、砂の様に消えていき、それと同時にプライドの頭が再生される
「痛かったですよ…?」
「久しいな…再生…しかし、我が前では無意味…」
ドシュ!
胸を拳に貫かれ血を吐くが、胸の穴が縮んでいく
ボキッ!
今度は足の骨が折られ苦痛に悶えた
ブチッ!
次は腕が千切られ、血が流れ出る
グシャッ!
そして頭が潰され体が横になる
バキッ!
今度は胸骨を破壊され、それと同時に一瞬だけ再生が止まった
その瞬間レインは胸骨のあった部分を手で貫き中から出てきた赤い石に魅入る
「これが話題の『賢者の石』…か?」
それを見ながら首を傾げるレインの前では、灰と化してサラサラと崩れていくプライドの体があった
ジジジ…
赤い石からスルスルと何か管の様な物が幾つも生え、それの外側に骨が形成されその上に張り付くように繊維が伸びていく
その上に肌色の皮が身体中に伸びていき、それが終わると頭から髪が生えてきた
そこには、レインの手首から先には、裸の栗毛の少女、プライドが存在していた
「取られたのは初めてでしたが…驚きましたよ…?」
ブチッ!
レインの手中にある賢者の石を引き抜くと身体は倒れて再び灰と化してサラサラと消えていった
「なら、これを潰せばどうだね?」
管が生えてくる前に床に叩き付けて踏み付ける
バキッ!
辺りの床がひび割れ、足を退ける
そこには無傷の赤い石が存在していた
「今度は殴り潰せばどうだろう…」
石を真上に小さく投げ、胸の辺りまで落ちてくると両拳で左右から殴り潰す
ボキボキッ!
「っ! 中々厄介…と見た…!」
薬指の骨が折れ、痛みに少し悶えていると賢者の石から同じ様にプライドの身体が形成されていく
「痛いですよ? それに破壊は不可能です。私も先程知りましたがこちらは破壊されない様ですね。つまりあなた方では私には勝てません…」
ニコニコと微笑むプライドにレインはフッと嘲笑した
「再生能力? 例えその様な物があったとしてもそれは無限では無い…何れ終わりは来るのだよ。それに何も殺すだけが勝利では無い。最も、私はお前を許す気は無いがね…」
突如、放たれる殺気にビクッと身体を震わせた
「敵は私だけで無い事を覚えていますか?」
「ああ、覚えているとも。あの異形の化物を忘れる筈無かろう」
「でしたら話は早い。そのまま死を受け入れて下さいね」
「「あっ! 危ない(んだよ)!」」
その声と同時にレインを影が覆った
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