復讐の慰術師

紅蓮の焔

文字の大きさ
172 / 315
12章 放浪

167話 特技

しおりを挟む
「う…ごほっごほっ! うぅ…頭いたぁ…」
上体を起こすと辺りを見回した
木造の薄汚れた小屋の様な部屋で、キッチンと窓と今レンゼが寝ているベッド、そして椅子が2つあり、入口には布が掛けられ外から見えない様になっていた
「ヒールゥ…居る?」
「ヴニャアァァ…」
髪の間から出てきたヒールゥを感じるとベッドから降りて立ち上がった
「あ、起きたんだ」
立ち上がると同時に布が退けられ女性が入って来た
「こんにちは?」
「畏まらなくて良いのよ。大丈夫? 痛くない?」
女性が心配そうに声を掛けてくるとコクっと頷いて見せた
「でも風邪引いてるんでしょ? 村の人達はまだ2人が戻って来た事知らないから寝てても良いわよ。それともお腹空いた?」
「…大丈夫です。それよりコート知りませんか?」
ムミの父親に貰ったコートが見当たらないので聞くと女性は手を差し伸べてきた
その手を取るとベッドから立ち上がって女性と共に外に出た
「良いんですか? 外に出て…」
「皆怖がって外に出て来ないから」
「そうですか…」
それが嬉しくも、そして哀しくもなりレンゼは小さく唇を噛んだ
「ここで干してるの。返り血が付いてたから…」
「…怖くありませんか?」
「ううん。人殺しが悪い事なのは…分かってはいるんだけどね…それでも…助けてくれた人を邪険にするのはもっといけないわ…今日は泊まっていってね。お兄ちゃんも…落ち着いたら戻って来るだろうから…良ければ慰めてあげてね…」
ギュッと抱き締められ鼓動がトクン…トクン…と体に伝わってくる
「…分かりました」


そして日も暮れてくると入口の布が退けられ、マルクが中に入って来た
「あ、指揮官殿はお目覚めか?」
「私は指揮官では…て言うか、もう礼儀正しくする必要…ねぇか。俺は、指揮官じゃねぇよ…」
ベッドで寝そべっているレンゼを見付け、マルクは椅子を持って来てそれに座った
「あれ? あいつは?」
「女の人の、事か? あの人なら、少し外に、出てる…」
マルクはチラッと外を見て溜め息を吐いた
「そうか…ん? 指揮官殿はなんで俺って言ってるんだ? 女の子がそんな一人称じゃ好かれねぇぞ?」
マルクにピシッと指差すとマルクはビクッと体を震わせた
「1つ、言っておく。皆、勘違いしてるが…俺は男だ。分かったか? 確かに、俺の双子に、それは可愛い、天使みたいな、容姿の…鬱陶しい奴、が居るが、そいつは俺とは…別に旅に、出てるし…」
「…え? 男? いやいや、どこからどう見ても女だろ?」
「…証拠、見るか?」
「見せられる物なら見せてみろ」
レンゼは起き上がりベッドから降りてフラッと倒れそうになるとマルクが支え、倒れるのを防いだ
「無理するなって指揮官殿。意地張らなくても良いから」
「だから…ヤバっ…力、入らねぇや…悪いけど、ズボン脱がして確かめてくれ…」
(体力の限界が来たか…3日食べるの我慢したり川魚1匹食ってその後1日経って飯を食わして貰ったのは良いけどその分はダイヤと移動で使ったし…腹減った通り越して動けねぇ…)
再びベッドの上に寝転がされマルクは眉間を摘んで溜め息を吐いた
「指揮官殿…あんた確かに心は強いし可愛いよ? けどな、体は弱いわ男みたいな性格だと誰の嫁さんにもなれねぇぞ?」
「あ? 巫山戯ふざけんな…俺は、男だ…ただ、栄養不足なだけで…それ以外は、健全な17歳、だ…」
「そうかそうか…指揮官殿は17ね。後、栄養不足なら後で飯でも作ってやるよ。指揮官殿のお陰でいい特技身に着けたしな…」
マルクの言葉に火照った顔で疑問に思った
「特技って…?」
「あぁ、これだよ」
マルクがレンゼの前に腕を出して力を込める動作をすると、肘まで黒くなった
「…? なんで?」
「保って数分だけど体が丈夫に成るのは良いな。危険な目に遭っても彼女を護れる…因みにこれ出来たの指揮官殿のお陰だぜ? 帰る時に元に戻してくれたろ? あの時の感覚を覚えてそれを逆から試していったら出来たよ。意外と簡単なんだな…」
マルクの超人っぷりにレンゼは苦笑して目を瞑った
「少し…寝るよ…」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

コンバット

サクラ近衛将監
ファンタジー
 藤堂 忍は、10歳の頃に難病に指定されているALS(amyotrophic lateral sclerosis:筋萎縮性側索硬化症)を発症した。  ALSは発症してから平均3年半で死に至るが、遅いケースでは10年以上にわたり闘病する場合もある。  忍は、不屈の闘志で最後まで運命に抗った。  担当医師の見立てでは、精々5年以内という余命期間を大幅に延長し、12年間の壮絶な闘病生活の果てについに力尽きて亡くなった。  その陰で家族の献身的な助力があったことは間違いないが、何よりも忍自身の生きようとする意志の力が大いに働いていたのである。  その超人的な精神の強靭さゆえに忍の生き様は、天上界の神々の心も揺り動かしていた。  かくして天上界でも類稀な神々の総意に依り、忍の魂は異なる世界への転生という形で蘇ることが許されたのである。  この物語は、地球世界に生を受けながらも、その生を満喫できないまま死に至った一人の若い女性の魂が、神々の助力により異世界で新たな生を受け、神々の加護を受けつつ新たな人生を歩む姿を描いたものである。  しかしながら、神々の意向とは裏腹に、転生した魂は、新たな闘いの場に身を投じることになった。  この物語は「カクヨム様」にも同時投稿します。  一応不定期なのですが、土曜の午後8時に投稿するよう努力いたします。

魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん
ファンタジー
 誰もが魔力をもち魔法が使える世界で、アンナリーナはその力を持たず皆に厭われていた。  運命の【ギフト授与式】がやってきて、これでまともな暮らしが出来るかと思ったのだが……  与えられたギフトは【ギフト】というよくわからないもの。  だが、そのとき思い出した前世の記憶で【ギフト】の使い方を閃いて。  これは少し歪んだ考え方の持ち主、アンナリーナの一風変わった仲間たちとの日常のお話。  冒険を始めるに至って、第1章はアンナリーナのこれからを書くのに外せません。  よろしくお願いします。  この作品は小説家になろう様にも掲載しています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

エレンディア王国記

火燈スズ
ファンタジー
不慮の事故で命を落とした小学校教師・大河は、 「選ばれた魂」として、奇妙な小部屋で目を覚ます。 導かれるように辿り着いたのは、 魔法と貴族が支配する、どこか現実とは異なる世界。 王家の十八男として生まれ、誰からも期待されず辺境送り―― だが、彼は諦めない。かつての教え子たちに向けて語った言葉を胸に。 「なんとかなるさ。生きてればな」 手にしたのは、心を視る目と、なかなか花開かぬ“器”。 教師として、王子として、そして何者かとして。 これは、“教える者”が世界を変えていく物語。

処理中です...