復讐の慰術師

紅蓮の焔

文字の大きさ
214 / 315
13章 前哨戦

208話 憂鬱

しおりを挟む
「……ハァ……私もやらないといけないのかぁ……ハァ……」
押していた車椅子に座っていた様で、それから立ち上がるとレンゼを見下した
「ねぇ。私達さぁ。ちょっとワケアリで一つの体に成りたい訳なの。だから邪魔しないで貰えるとありがたいんだけど……邪魔はやめて大人しくしてくれる?」
「黙れ……! ロゼを人質に取ったり俺の知り合いの記憶を改ざんしやがって……! 挙句の果てに俺の標的と繋がってるだぁ? 絶対に……」
拳を握り締め、女の眼光を睨み付けた
「許サナイ!」
「ハァ……正直言って私も面倒なんだよね……こんな面倒臭い事……乗り気もしないし退屈でホント……憂鬱……」
しゃがみ込んで自分の掌に顎を乗せて大きな溜め息を吐いた女を一瞬だけ見て、レンゼは女の足首を狙って腕を横に振った
「ほい」
女に脳天を突かれた途端に事切れた様に焦点の合わない虚ろな眼をしながら倒れた
「ッ! ゴホッ! ゴホッゴホッ!」
咳き込みながら腕を支えに立ち上がろうとする

ズルっ!

「ッ!?」
当然の如く、脚に力が入らずに再び倒れる
「いつの間に!?」
女を見上げて驚愕の表情を浮かべたレンゼは少しでも距離を取る為に後ろに這いずり始めた
「クッ……マジかよ……」
つま先が何か大きな穴の上に浮かび、冷や汗を流し始めた
「それで……殺すのもやる気出ないしかと言ってこのまま話すのも疲れるし……ハァ……憂鬱……」
「さっきからハァハァ五月蝿いんだよ! そんなに憂鬱なら寝てろ!」
「……命令聞くのも嫌だし肩も思いし……ハァ……」
項垂れてレンゼを半目で睨んだ
「それに……いい加減にしてよ? 早く戻りたいしこんな事……動くの自体あんまり好きじゃないの。なのに貴方のせいでわざわざここに連れて来られて……詰まんない事ばっかり聞かされて……憂鬱以外の何物でもない! ……ハァ……」
もう一度溜め息を吐くとレンゼの髪を掴んで顔を上げさせた
「もう一度聞くけど……もう私達の邪魔せずに死んで?」
「こっちにもやる事はあんだよ……! ここでてめぇをブチ殺して野郎をグチャグチャにしてから業火で焼く! それと並行してロゼをシンのクソガキから取り戻す! その後にお前らは全員始末! 分かったかよ……ただ……静かに……暮らしたかっただけなのに……お前の仲間のせいで……母さんは……ロゼは……皆は……!」
「五月蝿い」
女はレンゼの脳天を人差し指で突こうと素早く動かした
「ッ!」
それを両手で持ってなんとか指が当たらずに済んだ
「なんだ? 目潰しか? そんな安い手に簡単に引っ掛かってちゃ何も出来やしねぇ……!」
「ハァ……」
レンゼの髪を離して床に落とすと女はレンゼの胸ぐらを掴んで持ち上げた
「静かにしてくれないかな? 全然スッキリしないんだけど……こう、心の中がモヤモヤしてる感じ……だから落ち着きたいのよ……」
「……へぇ~。因みにそれはどんな時に起こるの?」
「誰かと長時間話してると」
「じゃあ話さずに眠れば? モヤモヤもしないし何もしなくて良いんだから」
胸ぐらを離して暫く考えるとハッとしたように目を見開いてレンゼを落とした
「いてっ!」
足で着地してしまい、まだ痛む脚を折り曲げ、四つん這いになった
「あ、貴方……今……」
女は階下に飛び降りて去っていった
「……にしても奴の能力は一体なんだったんだ? 頭を触ろうとしたから……記憶に関する事……?」
手袋の指の先が破れて電球の光が反射する灰色の爪が合間から見える
「一応追い払う事は成功したけど……」
散乱した部屋の中を見詰め、性悪な笑みを浮かべた
「これだ……!」
床を爪で引っ掻いて魔術式を画くと、その上に脚を置き、両手を翳す
青く発光し、自然治癒力を促進させる
「……? 昔より長い気がする……もしかして使ってないと腕が落ちるのか?」
首を傾げながら魔力を止めると脚が動かせる事を確認し、部屋を走って出て行った
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

コンバット

サクラ近衛将監
ファンタジー
 藤堂 忍は、10歳の頃に難病に指定されているALS(amyotrophic lateral sclerosis:筋萎縮性側索硬化症)を発症した。  ALSは発症してから平均3年半で死に至るが、遅いケースでは10年以上にわたり闘病する場合もある。  忍は、不屈の闘志で最後まで運命に抗った。  担当医師の見立てでは、精々5年以内という余命期間を大幅に延長し、12年間の壮絶な闘病生活の果てについに力尽きて亡くなった。  その陰で家族の献身的な助力があったことは間違いないが、何よりも忍自身の生きようとする意志の力が大いに働いていたのである。  その超人的な精神の強靭さゆえに忍の生き様は、天上界の神々の心も揺り動かしていた。  かくして天上界でも類稀な神々の総意に依り、忍の魂は異なる世界への転生という形で蘇ることが許されたのである。  この物語は、地球世界に生を受けながらも、その生を満喫できないまま死に至った一人の若い女性の魂が、神々の助力により異世界で新たな生を受け、神々の加護を受けつつ新たな人生を歩む姿を描いたものである。  しかしながら、神々の意向とは裏腹に、転生した魂は、新たな闘いの場に身を投じることになった。  この物語は「カクヨム様」にも同時投稿します。  一応不定期なのですが、土曜の午後8時に投稿するよう努力いたします。

魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん
ファンタジー
 誰もが魔力をもち魔法が使える世界で、アンナリーナはその力を持たず皆に厭われていた。  運命の【ギフト授与式】がやってきて、これでまともな暮らしが出来るかと思ったのだが……  与えられたギフトは【ギフト】というよくわからないもの。  だが、そのとき思い出した前世の記憶で【ギフト】の使い方を閃いて。  これは少し歪んだ考え方の持ち主、アンナリーナの一風変わった仲間たちとの日常のお話。  冒険を始めるに至って、第1章はアンナリーナのこれからを書くのに外せません。  よろしくお願いします。  この作品は小説家になろう様にも掲載しています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...