復讐の慰術師

紅蓮の焔

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13章 前哨戦

210話 軟派

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「……居たよ? 居たけど……」
レンゼは小さな子供に遊ばれていた
ある子は頬を引っ張り、またある子は髪を引っ張り。そしてまたある子は飛び付いたり……と、ある種の拘束を受けていた
「ねーねー、おねーちゃん?」
その中の小さな男の子が首を傾げてレンゼの髪を引っ張った
「な、何?」
「おっきいのにどーしていりゅの?」
「お、お母さんとはぐれちゃったんだ~」
「へぇ~。ぼくのおかーしゃんはまいごなんだよ~! つれてきてくりぇたひとがまいごっていってたかりゃまちがいないよ!」
胸を張って両手を腰に、自信満々に鼻から空気を吐き出した
「へ、へぇ~……君のお母さんはおっちょこちょいなんだね~」
頬を引き攣らせながら答えると少年はレンゼの隣に座った
「おねーちゃんのおかーしゃんは?」
「う~ん……遠い所……かな?」
遠い所を見詰めながら微笑んでそう答えるレンゼを見て少年は無邪気に首を傾げた
「じゃあじゃあ! おねーちゃんのおかーしゃんとおかーしゃんがくりゅまであしょぼ!」
「……うん。遊ぼっか」
チラッと部屋の隅で微笑みながら瞑目して座っている男を視界の端に、少年に微笑んだ





「リズさん。奴ら、何処に居ると思いますか?」
「多分この建物の、商会の中枢となる部分に居ると思う」
デパートの中を人混みに紛れて二人で歩いていると目の前に人だかりが出来ていた
「リズさん。ちょっと見てくるね」
「……ええ。奴らもこの中じゃ攻撃はしてこないと思うし良いわよ」
「何か良いものがあれば買って来るよ!」
ジョンは手を振って人だかりの中に埋もれて行った
「……さて、人数が少ないからとはいえ……レンゼくん……大丈夫かしら?」
自分が借りている部屋の方を見詰め、首を振った
「大丈夫……よね……あんな化物なんかが来ても逃げる位は出来る……よね? でもあの男の子が来たら逃げずに戦いそう……」
そう呟きながら人だかりを見ていると隣に男が立った
金髪で口にピアスを付けた男だ
「この人だかり。一体何か、ご存知ですか?」
「いいえ。一応、私の友人が先行して見に行っています」
「では待っている間少し茶でもどうです?」
素敵に微笑む男と、掌で壁を作って少し距離を取って答えた
「お断りします」
即答すると男は苦笑した
「そんなこと言わないでさ~。良いじゃん。ちょっとだけ! 本当にちょっとだからさ!」
言い寄ってくる男に対し、眉間にシワを寄せて露骨に嫌悪感を漂わせて見ると男は動きを止めた
その後も何度か言い寄って来るものの全て断った
「……友人が戻って来た様なのでそろそろ行きます」
小さく手を振って人だかりの中へ入って行った
「ちょっとすみません……あ、ごめんなさい。通して下さい」
謝りながら進んで行くとその人だかりの中心に来た
「くっ……!」
「どうなってるの?」
人だかりの中心で何故かレインとジョンが闘っていたのだ





少し前
「ふぅ……やっと抜けれた……」
人だかりを抜けたジョンは闘っている男を見て近くの人に聞いた
「すみません。アレって何してるんですか?」
「ん? アレは決闘してるんだよ。イベントらしくてね。勝てばある飲食店で使える無料券を二枚貰えるらしいんだけど……」
「グワッ!」
青黒い髪をした中年の男性の下に白目を向いている筋骨隆々な男が倒れていた
「けっちゃーく! 他に誰か挑戦する人は居ないか~! 参加料はたった5セシュルだよ!」
「なんだ? あんちゃんも受けるのかい?」
「勝てばリズさんとデート……」
瞑目して微笑んでいると無意識に手を挙げていた
「では5セシュルです!」
声を掛けられ、一瞬戸惑った
「え? あ……はい!」
すぐにポケットから財布を取り出して銅貨を五枚、手を伸ばしてきた少女に手渡す
「ではでは! 準備が出来ましたら手を挙げて下さい!」
手袋を嵌めて前に出ると男を見詰めた
「お久し振りです。先代様」
「久しいな」
挙手すると少女は少し距離を取った
「それでは始め!」
少女が叫ぶと同時にレインが物凄い速度で拳を唸らせながら迫って来た
「くっ……!」
その拳を躱すと視界の端にリズの姿が見えた
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