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18章 その手の温もりは何処(いずこ)へ
298話 その身は消えても
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「む?」
前に出した足の向きを走っている方向と垂直になるように、土踏まずを自分に向けるように動かして止まった。土煙が舞い、手で口を押さえて目を閉じ、もう片方の手を埃を払うように振る
土煙が晴れると目を薄く開けて辺りを見回した
「居ない、ようだな……」
後から続いてサラが走って来るがレインは小さく首を振って見せるとサラは頷いて返し、無表情のまま振り返りレンゼを待つ
「はぁ……はぁ……じゃ、じゃあ……逃げられた、訳ですか……」
「そういうことになりますね。しかし帰る場所はある程度特定出来ています」
小さな声で自信ありげに少しだけ背筋を伸ばすとすっと遠くの方を指し示す。そこにはうっすらと、大きな四角形のような形の建物が見える
「やっぱり……そこに行ったんですか……」
「ええ。最近、彼の娘がそこに監禁されたようなので」
それを聞いたレンゼは顔を顰めてレインの方をジッと睨み付ける。それに気にした様子もなく、レインはただ微笑んで返した
「では、行きましょう。掃討しに」
サラはそう言いながら大きく息を吸い、吐き出した。両手を胸の前に持っていくと、掌を体に向けるように開けて目を閉じた。すると淡く光り、レンゼ、レインの体がプスプスと音を立て始め、レンゼは自分の手を見詰めた。その間にもサラの体は段々と強く光っていく
「ッ……!」
レンゼの手が、気泡のような物に包まれて見えなくなっている。レインの方を見ると同時にレンゼの全身が泡に包まれて風に吹かれてしまう
レインも同様に空へと昇っていった
レンゼ達が居た場所にはもう、誰も残っていない
少し経ち、その場に急ぎ足で男がやって来た
「はぁ……はぁ……クソっ! あいつら……光ったからもしやと思ったが……やっぱり居ねえのか……? なあ、皆ぁ……ッ!」
「はあ……」
手を開閉しながらそれを見詰め、もう一度溜め息を吐いて椅子に腰掛けてテーブルに肘を立てて掌に頬を乗せた。テーブルは一瞬だけ軋んで音を立てるが気にした様子もなく口を開いた
「とは言ったものの……知り合いは居ますが……早急に片付けないと……とはいえもう黄昏どき……非常に大事ですが今日は終わりにしましょう」
コンコンッ
ノック音が鳴り、サラは腰を上げて玄関へ歩いて行く。少し重い足取りで向かって行く。その背にはレンゼがベッドで横たわっていた
「どうされましたか?」
ドアを小さく開けて伺うように外へ顔を覗かせる。そこに立っていたのは──
「ママっ! やっぱり帰って来てたのね!」
「ソラ、奥で人が寝ています。静かにしなさい」
ソラがドアの間から奥を覗こうと背伸びをするとサラが横に移動して邪魔をする。一瞬、唇を尖らして見せるもすぐに首を振って小さく息を吐いた
「何処に行ってたの?」
「少し、スラムまで」
「嘘っ!? だってあそこ封鎖されてるんだよ!? ぁ……」
すぐに両手で口を塞ぎ、周りを確認するソラを見て溜め息を吐くとドアを大きく開け、早く入りなさい。と、小さく言う。それを見て、聞こえていたのかいないのか、不確かではあるがソラは中に入って行った
「……あれ? 一人増えてない? 誰なの。このクソジジイは」
「ソラ。貴女はもう少し協調性を身に着けなさい。あの人も可哀想でしょう?」
「知~らないっ。それにあの子とは上手くいってるも~ん」
耳を塞ぐソラを見て一つ溜め息を吐くと、サラは目を瞑って黙りこくる。そんなサラの異変に気付いたのか、目を瞑ったと同時に耳を塞いでいた耳を離した
「……ママが何をしようとしてるのか誰に聞いても教えてくれないし……ホント何してるんだろ。後つけて行ってもすぐにバレちゃうし──」
ソラがテーブルの上で俯いている隙にレンゼは目を覚まし、首だけを動かして左右を眺めた。左には壁、右にはベッドを背もたれにして項垂れているレイン、その奥には立っているサラと、ソラが居た
「ぁ……そうだ、思い出した」
バッと起き上がりすぐにベッドから降りて玄関へ向かって行く
「どうかしたんですか?」
「ちょっとした用事です。気にしないで下さい」
「あんたさぁ……」
テーブルから顔を上げたソラはレンゼに指を指してこう告げる
バカじゃないの? と……
「はあ、少しは思慮深いのかなぁとか思ったりしたけど、やっぱりただのバカだわ。バカバカ。大バカ。気にするなって言われても余計に気になるだけだしただでさえママに苦労かけてるんだから事情くらい話しなさいよ。それとも何か言えない理由でもあるの?」
そう指摘するソラの顔を見ずに握り締めた拳を震わせて歯軋りさせる。そしてゆっくりと深呼吸をして、同時に拳を解くとソラの方へ向き直る
「……分かった。今から身内に顔を合わせるだけ。これで満足か?」
「私に聞かないでよ。ママに聞いて? あんたの事なんかどうでもいいし」
一瞬だけ顔を引き攣らせるが首を振り、深呼吸をする。そしてサラの顔を見上げて答えを求めると、どうぞ。と返ってきたのでそのまま退室して行った
前に出した足の向きを走っている方向と垂直になるように、土踏まずを自分に向けるように動かして止まった。土煙が舞い、手で口を押さえて目を閉じ、もう片方の手を埃を払うように振る
土煙が晴れると目を薄く開けて辺りを見回した
「居ない、ようだな……」
後から続いてサラが走って来るがレインは小さく首を振って見せるとサラは頷いて返し、無表情のまま振り返りレンゼを待つ
「はぁ……はぁ……じゃ、じゃあ……逃げられた、訳ですか……」
「そういうことになりますね。しかし帰る場所はある程度特定出来ています」
小さな声で自信ありげに少しだけ背筋を伸ばすとすっと遠くの方を指し示す。そこにはうっすらと、大きな四角形のような形の建物が見える
「やっぱり……そこに行ったんですか……」
「ええ。最近、彼の娘がそこに監禁されたようなので」
それを聞いたレンゼは顔を顰めてレインの方をジッと睨み付ける。それに気にした様子もなく、レインはただ微笑んで返した
「では、行きましょう。掃討しに」
サラはそう言いながら大きく息を吸い、吐き出した。両手を胸の前に持っていくと、掌を体に向けるように開けて目を閉じた。すると淡く光り、レンゼ、レインの体がプスプスと音を立て始め、レンゼは自分の手を見詰めた。その間にもサラの体は段々と強く光っていく
「ッ……!」
レンゼの手が、気泡のような物に包まれて見えなくなっている。レインの方を見ると同時にレンゼの全身が泡に包まれて風に吹かれてしまう
レインも同様に空へと昇っていった
レンゼ達が居た場所にはもう、誰も残っていない
少し経ち、その場に急ぎ足で男がやって来た
「はぁ……はぁ……クソっ! あいつら……光ったからもしやと思ったが……やっぱり居ねえのか……? なあ、皆ぁ……ッ!」
「はあ……」
手を開閉しながらそれを見詰め、もう一度溜め息を吐いて椅子に腰掛けてテーブルに肘を立てて掌に頬を乗せた。テーブルは一瞬だけ軋んで音を立てるが気にした様子もなく口を開いた
「とは言ったものの……知り合いは居ますが……早急に片付けないと……とはいえもう黄昏どき……非常に大事ですが今日は終わりにしましょう」
コンコンッ
ノック音が鳴り、サラは腰を上げて玄関へ歩いて行く。少し重い足取りで向かって行く。その背にはレンゼがベッドで横たわっていた
「どうされましたか?」
ドアを小さく開けて伺うように外へ顔を覗かせる。そこに立っていたのは──
「ママっ! やっぱり帰って来てたのね!」
「ソラ、奥で人が寝ています。静かにしなさい」
ソラがドアの間から奥を覗こうと背伸びをするとサラが横に移動して邪魔をする。一瞬、唇を尖らして見せるもすぐに首を振って小さく息を吐いた
「何処に行ってたの?」
「少し、スラムまで」
「嘘っ!? だってあそこ封鎖されてるんだよ!? ぁ……」
すぐに両手で口を塞ぎ、周りを確認するソラを見て溜め息を吐くとドアを大きく開け、早く入りなさい。と、小さく言う。それを見て、聞こえていたのかいないのか、不確かではあるがソラは中に入って行った
「……あれ? 一人増えてない? 誰なの。このクソジジイは」
「ソラ。貴女はもう少し協調性を身に着けなさい。あの人も可哀想でしょう?」
「知~らないっ。それにあの子とは上手くいってるも~ん」
耳を塞ぐソラを見て一つ溜め息を吐くと、サラは目を瞑って黙りこくる。そんなサラの異変に気付いたのか、目を瞑ったと同時に耳を塞いでいた耳を離した
「……ママが何をしようとしてるのか誰に聞いても教えてくれないし……ホント何してるんだろ。後つけて行ってもすぐにバレちゃうし──」
ソラがテーブルの上で俯いている隙にレンゼは目を覚まし、首だけを動かして左右を眺めた。左には壁、右にはベッドを背もたれにして項垂れているレイン、その奥には立っているサラと、ソラが居た
「ぁ……そうだ、思い出した」
バッと起き上がりすぐにベッドから降りて玄関へ向かって行く
「どうかしたんですか?」
「ちょっとした用事です。気にしないで下さい」
「あんたさぁ……」
テーブルから顔を上げたソラはレンゼに指を指してこう告げる
バカじゃないの? と……
「はあ、少しは思慮深いのかなぁとか思ったりしたけど、やっぱりただのバカだわ。バカバカ。大バカ。気にするなって言われても余計に気になるだけだしただでさえママに苦労かけてるんだから事情くらい話しなさいよ。それとも何か言えない理由でもあるの?」
そう指摘するソラの顔を見ずに握り締めた拳を震わせて歯軋りさせる。そしてゆっくりと深呼吸をして、同時に拳を解くとソラの方へ向き直る
「……分かった。今から身内に顔を合わせるだけ。これで満足か?」
「私に聞かないでよ。ママに聞いて? あんたの事なんかどうでもいいし」
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