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18章 その手の温もりは何処(いずこ)へ
304話 記憶の中に居ないヒト
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嘔吐。そう、吐いたのだ。何度も何度も。一度吐いた時に女はレンゼから距離を取っていた
「……大丈夫?」
「来るなっ!」
息を荒げ、逃げる
「はぁっ……! はぁっ……! はぁっ……!」
逃げても逃げても闇ばかり。闇、闇。闇ヤミやみ……闇。闇ばかりだ。それでも走る。知り合いかどうかも分からない女の為に。どこまでも走って行く。走る走る走る。走り続ける──と、突然止まった
「戻って……る?」
「あらあら、気付いちゃった?」
「てめぇ…………誰だ!」
「アナタもよぉく知ってる人よ? でも、顔も名前も憶えてないんでしょう?」
妖艶な声で近付いて来る声に無我夢中で殴り掛かる
吐き気を飲み込むように、忘れようとせんばかりに、只管に殴り掛かる
だが、それも一瞬の内に終わってしまった。吐いてしまったのだ。再び
拳を入れた回数は一回。相手はただそれを受けただけ
シュゥゥゥウウウウウ……。と音が鳴り、その音で分かった。分からされた。理解させられた
コイツは、敵だと
「どぉ? 苦しいでしょ? 教えて欲しい? どーしよっかなぁー。う~ん……分かった! 教えてあげる。アナタの吐き気の理由はアナタの心の問題。アナタの心は別の女のモノ。それを私へと上書きしようとして……あぁら不思議。その心が抵抗しちゃってそれに伴い吐き気を催す。これがホントの理由」
カチッ
女が言い終わると同時に電球に光が灯っていく
「あたしの名前はルクシラよ。宜しくね」
「ルクシラ……? ルクシラ……。ぁっ。お前は、アレか? サラさんの言ってた……」
「へぇ、サラのこと知ってるんだ。でも、関係ないけど」
レンゼは歯軋りさせながらニヤッと笑う。凶悪な笑みを浮かべているのだ。それも、今までで一番と言えるほどの──
「お前を倒せばこの、吐き気は治まる。そういう事だな?」
立ち上がり、黒く変色している髪をギュッと握る。膝裏まで伸びているそれを両手に握り締め、ルクシラを睨み付けた
「なら、お前をブッ殺して終わらせる!」
「そ? 異性である以上、無理だと思うけど?」
不敵に笑う。嘲笑う。口元に手を当てがい、レンゼを見詰めながら、笑う
それに対して歯軋りしながら口の中に含まれてしまった液体を吐き出す。唾と、胃液と、血の混じった、紅と透明の混沌としている液体を
それに映ったレンゼの後ろ姿は弱々しく、悲しくもあった
「がっ!?」
腹部を殴打され、よろけて後退する。瞳孔を震わせ、嘔吐を再開。少し黄色掛かっている。胆汁が混じっているのだ
「ほら、ね? 言ったでしょう?」
そう言いながら腰を折り、笑みを作る。嘲笑っている。宛ら、甘い蜜のような笑みを浮かべて
「ハッ……! それが、どした……!」
と、笑みを作って返す。白い笑みで。今にも泣きそうな笑みを。頭の上からも、弱々しい鳴き声が聞こえてきた
「弱いッ……!」
『い』に濁点を付けたような声を発して後ろに倒れた。血が、脳天から吹き出した。風穴が、空いたのだ。誰かが撃った。銃器で。足音が近付いて来る
そして、レンゼの真後ろで止まった。影に覆われたレンゼの髪から、ふしゃー! と鳴き声が聞こえる
「ようやく、見付けたぜ?」
「……ジャック?」
「言っただろ? 俺にも、やることがある。ってな」
レンゼの背後から銃口をルクシラに向ける。三発。撃った。傷口から薄い白煙が上がる。ルクシラは動かない
「悪ぃな。さっきまで見させてもらってた。コイツは、たしか異性に対して心を奪うとかそういう能力。だろ? なあルクシラさんよぉ。聞いてたんだぜ?」
頭を潰す。ルクシラに跨り、両手をギュッと握り締めて上に振り上げ、ドッと。グシャ。バキッ。と、そんな感じの音が混ざり、グギャッ。みたいな音が鳴った
再生していく。潰す。潰す。潰す。潰す潰す潰す潰す潰す潰す
潰し続けた
もう、ルクシラは動かない。動けない。脳が、魂が、無いのだから──
「……大丈夫?」
「来るなっ!」
息を荒げ、逃げる
「はぁっ……! はぁっ……! はぁっ……!」
逃げても逃げても闇ばかり。闇、闇。闇ヤミやみ……闇。闇ばかりだ。それでも走る。知り合いかどうかも分からない女の為に。どこまでも走って行く。走る走る走る。走り続ける──と、突然止まった
「戻って……る?」
「あらあら、気付いちゃった?」
「てめぇ…………誰だ!」
「アナタもよぉく知ってる人よ? でも、顔も名前も憶えてないんでしょう?」
妖艶な声で近付いて来る声に無我夢中で殴り掛かる
吐き気を飲み込むように、忘れようとせんばかりに、只管に殴り掛かる
だが、それも一瞬の内に終わってしまった。吐いてしまったのだ。再び
拳を入れた回数は一回。相手はただそれを受けただけ
シュゥゥゥウウウウウ……。と音が鳴り、その音で分かった。分からされた。理解させられた
コイツは、敵だと
「どぉ? 苦しいでしょ? 教えて欲しい? どーしよっかなぁー。う~ん……分かった! 教えてあげる。アナタの吐き気の理由はアナタの心の問題。アナタの心は別の女のモノ。それを私へと上書きしようとして……あぁら不思議。その心が抵抗しちゃってそれに伴い吐き気を催す。これがホントの理由」
カチッ
女が言い終わると同時に電球に光が灯っていく
「あたしの名前はルクシラよ。宜しくね」
「ルクシラ……? ルクシラ……。ぁっ。お前は、アレか? サラさんの言ってた……」
「へぇ、サラのこと知ってるんだ。でも、関係ないけど」
レンゼは歯軋りさせながらニヤッと笑う。凶悪な笑みを浮かべているのだ。それも、今までで一番と言えるほどの──
「お前を倒せばこの、吐き気は治まる。そういう事だな?」
立ち上がり、黒く変色している髪をギュッと握る。膝裏まで伸びているそれを両手に握り締め、ルクシラを睨み付けた
「なら、お前をブッ殺して終わらせる!」
「そ? 異性である以上、無理だと思うけど?」
不敵に笑う。嘲笑う。口元に手を当てがい、レンゼを見詰めながら、笑う
それに対して歯軋りしながら口の中に含まれてしまった液体を吐き出す。唾と、胃液と、血の混じった、紅と透明の混沌としている液体を
それに映ったレンゼの後ろ姿は弱々しく、悲しくもあった
「がっ!?」
腹部を殴打され、よろけて後退する。瞳孔を震わせ、嘔吐を再開。少し黄色掛かっている。胆汁が混じっているのだ
「ほら、ね? 言ったでしょう?」
そう言いながら腰を折り、笑みを作る。嘲笑っている。宛ら、甘い蜜のような笑みを浮かべて
「ハッ……! それが、どした……!」
と、笑みを作って返す。白い笑みで。今にも泣きそうな笑みを。頭の上からも、弱々しい鳴き声が聞こえてきた
「弱いッ……!」
『い』に濁点を付けたような声を発して後ろに倒れた。血が、脳天から吹き出した。風穴が、空いたのだ。誰かが撃った。銃器で。足音が近付いて来る
そして、レンゼの真後ろで止まった。影に覆われたレンゼの髪から、ふしゃー! と鳴き声が聞こえる
「ようやく、見付けたぜ?」
「……ジャック?」
「言っただろ? 俺にも、やることがある。ってな」
レンゼの背後から銃口をルクシラに向ける。三発。撃った。傷口から薄い白煙が上がる。ルクシラは動かない
「悪ぃな。さっきまで見させてもらってた。コイツは、たしか異性に対して心を奪うとかそういう能力。だろ? なあルクシラさんよぉ。聞いてたんだぜ?」
頭を潰す。ルクシラに跨り、両手をギュッと握り締めて上に振り上げ、ドッと。グシャ。バキッ。と、そんな感じの音が混ざり、グギャッ。みたいな音が鳴った
再生していく。潰す。潰す。潰す。潰す潰す潰す潰す潰す潰す
潰し続けた
もう、ルクシラは動かない。動けない。脳が、魂が、無いのだから──
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