ふかし

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 お風呂上がり、あなたはお酒を飲み、私はジュースを飲みながら、一服をした。
 「ねえ、明日は?」と尋ねられたので、「俺は大丈夫。君は?」と尋ね返した。
 「私は休み! ねぇ、泊まろうよ」とあなたは目をランランとさせた。
 「いいよ。でも、休憩で入っちゃったから宿泊に変更できるか訊くよ」と私が受話器に手を伸ばすと、それを制するように「あつしさんの家に行きたい」とあなたが言った。
 「なんもないよ。楽器持ち込みが出来るマンションで、歌の練習にちょうどいいから住んでるだけで、想像してるような綺麗なところじゃない」と私。
 「それでも~」とあなたは縋る。
 「じゃあ、君の家に行こう」と私。
 「それはまた今度」とあなた。
 「今度って何分後?」とキスをした。
 「も~う、あつしさんの家いきたいのに!」とあなたは声を上げた。
 「いつかね」と私は逃げた。
 「あ~、女のひといるんでしょ? ほんとは結婚してたりして」とあなたは探ってきた。
 「独身です。女のひとは何人かいるかもしれないけどね」と私は笑った。
 「ねぇ、私もその他おおぜい?」とあなたは更に探ってきた。
 「ひとりひとり違うから、大勢って考え方は感心しないねぇ」と私はまた笑った。
 「もぅ、それでもいいけど、私、大ファンだし! もう夢みたい! ってこういうのも何回も言われてきた?」とあなたはまた探ってきた。
 「ひとりひとり自分の言葉選びで話すからねぇ、複数とは考えないよ」とまた私はキスをした。
 「なんだか、悪い男みたい」とあなた。
 「卑怯かもしれないね。悪い男は嫌い?」と髪を撫でた。
 「嫌いじゃないかも」とキスしてくれた。

 ホテルを出、広い道までゆき、タクシーを拾った。
 「ホテルご馳走になったから、ここは私に任せてね」と言いながら、あなたは後部座席へ乗り込んだ。
 あなたの耳許で、「俺も色んなものご馳走になったけど?」と囁いた。
 「もぅ!」と言いながら、私の膝を叩いた。
 S駅周辺は遅い時間だというのに、人で溢れかえっていた。
 「ねぇ、芸能関係のひとと関係もったことある?」とあなたは私の耳に囁いた。
 私は眠ったふりをした。
 「あるってことでしょ? ねぇ、誰? 音楽関係?」とあなたは再び囁いた。
 
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