7 / 7
第七話 ししょーとお出掛け
しおりを挟む
夢を見た。
ししょーと初めて会った時の夢。
すべてが怖かったあの時の夢。
ししょーは今でこそいつも優しく微笑むのであるが、初めて見たときはまるで幽霊さんみたいだったのである。
目の奥が冷たくて、とても暗い。まるで吾輩を追いかけていたあのお化けのようであった。
ししょーはあの時何と言っていたのであろうか。もしかしたら今のように優しく話しかけてくれていたのであろうか。
「まだ世界を見てみたい。まだいろいろなものを知りたい」
何も聞こえぬ体で吾輩は鳴いた。
吾輩の小さな体では限界があった。この弱い体では...
ついには目の前が暗くなり何も感じなくなった。
そして気が付いたら吾輩はししょーの膝の上で眠っていた。
優しくて暖かな師匠の手が吾輩をなでる。
「もう大丈夫よ。あなたはひとりではないわ」
そうつぶやき吾輩をなで続ける。
ああ...あの時の感覚はこの時のものだったのであるな。
お天道様はを怒らせ何も感じなくなったあの感覚。
それでも常に吾輩を優しく包み込んでくれたあの優しい暖かさ。
あれはきっと...
-------
目が覚めるとそこは昨日寝ていたはずのかごの中ではなかった。
とてもやわらかで温かいものの上。
「あらもう起きたのね?気分はどう?」
おお ししょーのお膝の上であったか!!
「これは失礼したのである!紳士である吾輩がししょーの膝をお布団にするなんて...」
吾輩ちょっぴり反省なのである。
...うむ? なぜ吾輩はししょーのお膝で眠っているのであろうか?
「どうしたのフィラム?まだどこか苦しい?」
苦しい? 吾輩は自身の体を見回す。
「何もないのである!!元気いっぱいなのである!!」
そういってししょーのお膝で元気であることを証明する。
「フィラムくすぐったいわ!元気なのはわかったからちょっと止まって頂戴!!」
おお!!ししょーはなんだか嬉しそうなのである。ししょーが嬉しいと吾輩もうれしいのである!!
「大丈夫だとは思うけど念のために、今日は私と一日一緒にいて頂戴?」
ししょーと一緒であるか!!ならばあそこに行きたいのである!!
「吾輩のお気に入りの場所に案内するのである!!」
そう言って吾輩はししょーのお膝から飛び降り、玄関へ向かおうとする。
しかし降りたところで吾輩の体が宙に浮く。
なんであるか!?ししょーのほうを向くとまだ座っているので抱っこされているわけではない。
なのに吾輩の体が宙に浮くとはどういうことであるか!?
「あらダメよフィラム。今日は一日一緒って言ったでしょ?」
そう言うとししょーは手を前に出し、手招きをすると吾輩の体がししょーの方へ移動し始める。
「これはししょーの魔法であるか!?」
吾輩は脚をパタパタ揺らしながらししょーに聞く。
「この魔法が気になるかしら?なら今日はおとなしく私と一緒にお出かけしましょうね?そうしたらこの魔法も教えてあげるわ」
ほんとであるか!!ならば吾輩はおとなしくししょーに抱っこされてるのである!!
「わかったのである!!」
「...フフッ 魔法のことになると急にお利巧さんになるのね?」
吾輩は紳士なのでいつもお利巧さんなのである!! なぜか最近皆が吾輩のことを騒がしいと言ってくるのである。吾輩ちゃんといつもお利巧さんにしているのであるが...
「さあ、今日はまずお肉屋さんへ行こうかしら?貴女用のお肉ももうすぐなくなってしまうし」
おお 吾輩のご飯であるな!! ということはいつものお肉の人の場所であるか!!
「それじゃあ準備してくるから大人しくここで待っていて頂戴ね?」
そう言うとししょーは椅子から立ち上がり我輩を椅子の上に置いた。 ちょっと温かいのである。
「わかったのである!!」
吾輩の返事を聞き少し笑うとそのまま奥の部屋へと入っていった。するとお店のチリンチリンが鳴る。
おおこれはあれであるな! えーと…なんであったか…
「なんだまた猫助しかいねえのか。デジャブってやつか?」
そう言いながら玄関から先日も見た全身黒服の人が入ってきた。やはり間違いない。
「夜空に人よそれである!!」
「なんだ朝っぱらから元気なやつだな。それよりアリシアはどこだ…ってお前に言ってもどうしようもねえか」
どうしようもないとはどういうことであるか!
吾輩はししょーを呼ぶくらいでくらいできるのである!!
「でも吾輩ここで待つよう言われていたのであった。呼びに行っても良いのであろうか?」
うーむ、悩むのである。
む…これも前にやったのである。ならば。
「フィラム誰か来たのかしら?」
そう言いながししょーが店の奥から出てきた。
やはりそうであった! 今のもデジャブと言うやつであるな!!
「誰じゃねえよ。昨日開店する頃に来るって言ってたろ?」
「あらカースいらっしゃい。魔導具はもうそこのカウンターに置いてあるわよ」
そう言うとししょーはカウンターへ指をさす。
「仕事は早えから良いんだけどなんだかなあ… よし問題なさそうだな。代金はここに置いておくぞ?」
「ええ大丈夫よ…なんか代金が多い気がするんだけど?」
「急遽やってもらったからな。少し色を付けておいた。お前は人としてヤベえが、仕事に関しては信頼している」
「ちょっと流石に聞き捨てならないのだけど?」
「そう思うなら今までの行いを顧みることだな」
「私そんなに酷いことしていたかしら…」
「こいつ…まあいい要件は済んだから俺は帰るぞ」
そう言って夜空の人は扉の向こうへと消えていった。
「うーむ やはり夜空の人は外に行くと消えるのであるな?」
「相変わらず見事な影渡りねぇ」
ししょーが言っている影渡とは何であろうか?もしや夜空の人が消えるのは魔法なのであるか!?
「ししょー影渡とは何であるか!」
「あら ごめんなさいねフィラム。もう準備できたからお出かけするわよ」
そう言って吾輩を抱き上げる。
ししょー違うのである!影渡とは何であるか知りたいのである!! あ ししょーに撫でられた!!
「ししょーの手は暖かくて気持ち良いのである!!」
先程までの疑問は撫でられた瞬間に何処かへと吹き飛んでいった。
「さあ。フィラムと二人での外出楽しみね?」
「吾輩はししょーと一緒なら何処でも楽しいのである!!」
そんな他愛ない会話をしながらししょーと吾輩は店を出て行くのであった。
ししょーと初めて会った時の夢。
すべてが怖かったあの時の夢。
ししょーは今でこそいつも優しく微笑むのであるが、初めて見たときはまるで幽霊さんみたいだったのである。
目の奥が冷たくて、とても暗い。まるで吾輩を追いかけていたあのお化けのようであった。
ししょーはあの時何と言っていたのであろうか。もしかしたら今のように優しく話しかけてくれていたのであろうか。
「まだ世界を見てみたい。まだいろいろなものを知りたい」
何も聞こえぬ体で吾輩は鳴いた。
吾輩の小さな体では限界があった。この弱い体では...
ついには目の前が暗くなり何も感じなくなった。
そして気が付いたら吾輩はししょーの膝の上で眠っていた。
優しくて暖かな師匠の手が吾輩をなでる。
「もう大丈夫よ。あなたはひとりではないわ」
そうつぶやき吾輩をなで続ける。
ああ...あの時の感覚はこの時のものだったのであるな。
お天道様はを怒らせ何も感じなくなったあの感覚。
それでも常に吾輩を優しく包み込んでくれたあの優しい暖かさ。
あれはきっと...
-------
目が覚めるとそこは昨日寝ていたはずのかごの中ではなかった。
とてもやわらかで温かいものの上。
「あらもう起きたのね?気分はどう?」
おお ししょーのお膝の上であったか!!
「これは失礼したのである!紳士である吾輩がししょーの膝をお布団にするなんて...」
吾輩ちょっぴり反省なのである。
...うむ? なぜ吾輩はししょーのお膝で眠っているのであろうか?
「どうしたのフィラム?まだどこか苦しい?」
苦しい? 吾輩は自身の体を見回す。
「何もないのである!!元気いっぱいなのである!!」
そういってししょーのお膝で元気であることを証明する。
「フィラムくすぐったいわ!元気なのはわかったからちょっと止まって頂戴!!」
おお!!ししょーはなんだか嬉しそうなのである。ししょーが嬉しいと吾輩もうれしいのである!!
「大丈夫だとは思うけど念のために、今日は私と一日一緒にいて頂戴?」
ししょーと一緒であるか!!ならばあそこに行きたいのである!!
「吾輩のお気に入りの場所に案内するのである!!」
そう言って吾輩はししょーのお膝から飛び降り、玄関へ向かおうとする。
しかし降りたところで吾輩の体が宙に浮く。
なんであるか!?ししょーのほうを向くとまだ座っているので抱っこされているわけではない。
なのに吾輩の体が宙に浮くとはどういうことであるか!?
「あらダメよフィラム。今日は一日一緒って言ったでしょ?」
そう言うとししょーは手を前に出し、手招きをすると吾輩の体がししょーの方へ移動し始める。
「これはししょーの魔法であるか!?」
吾輩は脚をパタパタ揺らしながらししょーに聞く。
「この魔法が気になるかしら?なら今日はおとなしく私と一緒にお出かけしましょうね?そうしたらこの魔法も教えてあげるわ」
ほんとであるか!!ならば吾輩はおとなしくししょーに抱っこされてるのである!!
「わかったのである!!」
「...フフッ 魔法のことになると急にお利巧さんになるのね?」
吾輩は紳士なのでいつもお利巧さんなのである!! なぜか最近皆が吾輩のことを騒がしいと言ってくるのである。吾輩ちゃんといつもお利巧さんにしているのであるが...
「さあ、今日はまずお肉屋さんへ行こうかしら?貴女用のお肉ももうすぐなくなってしまうし」
おお 吾輩のご飯であるな!! ということはいつものお肉の人の場所であるか!!
「それじゃあ準備してくるから大人しくここで待っていて頂戴ね?」
そう言うとししょーは椅子から立ち上がり我輩を椅子の上に置いた。 ちょっと温かいのである。
「わかったのである!!」
吾輩の返事を聞き少し笑うとそのまま奥の部屋へと入っていった。するとお店のチリンチリンが鳴る。
おおこれはあれであるな! えーと…なんであったか…
「なんだまた猫助しかいねえのか。デジャブってやつか?」
そう言いながら玄関から先日も見た全身黒服の人が入ってきた。やはり間違いない。
「夜空に人よそれである!!」
「なんだ朝っぱらから元気なやつだな。それよりアリシアはどこだ…ってお前に言ってもどうしようもねえか」
どうしようもないとはどういうことであるか!
吾輩はししょーを呼ぶくらいでくらいできるのである!!
「でも吾輩ここで待つよう言われていたのであった。呼びに行っても良いのであろうか?」
うーむ、悩むのである。
む…これも前にやったのである。ならば。
「フィラム誰か来たのかしら?」
そう言いながししょーが店の奥から出てきた。
やはりそうであった! 今のもデジャブと言うやつであるな!!
「誰じゃねえよ。昨日開店する頃に来るって言ってたろ?」
「あらカースいらっしゃい。魔導具はもうそこのカウンターに置いてあるわよ」
そう言うとししょーはカウンターへ指をさす。
「仕事は早えから良いんだけどなんだかなあ… よし問題なさそうだな。代金はここに置いておくぞ?」
「ええ大丈夫よ…なんか代金が多い気がするんだけど?」
「急遽やってもらったからな。少し色を付けておいた。お前は人としてヤベえが、仕事に関しては信頼している」
「ちょっと流石に聞き捨てならないのだけど?」
「そう思うなら今までの行いを顧みることだな」
「私そんなに酷いことしていたかしら…」
「こいつ…まあいい要件は済んだから俺は帰るぞ」
そう言って夜空の人は扉の向こうへと消えていった。
「うーむ やはり夜空の人は外に行くと消えるのであるな?」
「相変わらず見事な影渡りねぇ」
ししょーが言っている影渡とは何であろうか?もしや夜空の人が消えるのは魔法なのであるか!?
「ししょー影渡とは何であるか!」
「あら ごめんなさいねフィラム。もう準備できたからお出かけするわよ」
そう言って吾輩を抱き上げる。
ししょー違うのである!影渡とは何であるか知りたいのである!! あ ししょーに撫でられた!!
「ししょーの手は暖かくて気持ち良いのである!!」
先程までの疑問は撫でられた瞬間に何処かへと吹き飛んでいった。
「さあ。フィラムと二人での外出楽しみね?」
「吾輩はししょーと一緒なら何処でも楽しいのである!!」
そんな他愛ない会話をしながらししょーと吾輩は店を出て行くのであった。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる