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第6話 安全確認1(大雅視点)
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美弥を置いてきた所から、しばらく歩いてきた。
あいつ、一人になるのは不安らしいが、俺のことを信用しすぎじゃないのか……?
美弥は誘拐犯の仲間で、油断させるためにわざとやっているのだろうか。
そういう可能性もなくはない。だか、美弥の狼狽えぶりは演技には見えなかった。
「懐かれたか……?」
自分はこういう風貌で、喧嘩慣れしている。慕ってくる後輩などもいままでには居たが、美弥もそうなのだろうか。
しかし、自分が今まで関わってきた人間とは違う。
こんな非常事態が起きなければ、なかなか関わることもない世間知らずの女の子のように感じた。
「早く戻ってやんねぇとな……」
美弥を残してきた場所を中心に、ぐるっと見回る。
ここからは美弥は見えない距離になったが、大体この辺だろうという予測で動いている。
まったく検討違いの場所を歩いてなきゃいいが…。
そうなってくると、美弥の元に戻れなくなる。
見回っているうちに、日がどんどん沈んできた。焦りが出てくる。
「くそっ、なに弱気になってんだ」
早く美弥の元へ戻りたい。そう思った。
無意識に早足になっていた。
不意に左足に何かがひっかかった。
否、何かに 捕 ま れ た ような気がした。
「ぐっ……っ!!?」
そのまま倒れそうになるが、なんとか右足に力をいれ、バランスを取った。
だか、踏みしめた右足にまた何かが絡まった。
「なんだ!?誰だっ!」
『えーい!!』
『あら、転んじゃったわ!!』
『つかむ場所が悪いわ!!まず声をかけないと!!』
『でもいきなり声かけるといつもビックリされて逃げられちゃうじゃないっ!!』
自分が転ぶのと同時に甲高い声が複数聞こえてきた。
人がいたのか……!?
「どこにいるっ!」
起き上がりながら、咄嗟にスタンガンをジーパンのポケットから取り出し、警戒体勢をとるが相手の姿は見えない。
『ここよー。お兄さんっ!!』
『足元よっ!!』
その声に導かれるまま、足元を見ると、花がいくつか咲いていた。
『ごめんなさい。転ばせるつもりはなくて』
『止まってほしかっただけなの』
目の前にある光景を信じることができなかった。
「……は!?」
『は?』
まるで人間が話すときに口をパクパクするように、咲いた花がまた閉じるを繰り返し、パクパクと動いている。
「……はっ、花が喋ってる!!!」
間違いない、足元にいる何本かの花が、喋っている。
その光景は非現実的で、今まで歩き回って疲労している自分の頭には特に理解できないものだった。
そしてすごく気持ち悪い。
俺は耐えられなくなり、その場から逃げるように走りだした。
何だここは!?一体どうなっている!!
あいつ、一人になるのは不安らしいが、俺のことを信用しすぎじゃないのか……?
美弥は誘拐犯の仲間で、油断させるためにわざとやっているのだろうか。
そういう可能性もなくはない。だか、美弥の狼狽えぶりは演技には見えなかった。
「懐かれたか……?」
自分はこういう風貌で、喧嘩慣れしている。慕ってくる後輩などもいままでには居たが、美弥もそうなのだろうか。
しかし、自分が今まで関わってきた人間とは違う。
こんな非常事態が起きなければ、なかなか関わることもない世間知らずの女の子のように感じた。
「早く戻ってやんねぇとな……」
美弥を残してきた場所を中心に、ぐるっと見回る。
ここからは美弥は見えない距離になったが、大体この辺だろうという予測で動いている。
まったく検討違いの場所を歩いてなきゃいいが…。
そうなってくると、美弥の元に戻れなくなる。
見回っているうちに、日がどんどん沈んできた。焦りが出てくる。
「くそっ、なに弱気になってんだ」
早く美弥の元へ戻りたい。そう思った。
無意識に早足になっていた。
不意に左足に何かがひっかかった。
否、何かに 捕 ま れ た ような気がした。
「ぐっ……っ!!?」
そのまま倒れそうになるが、なんとか右足に力をいれ、バランスを取った。
だか、踏みしめた右足にまた何かが絡まった。
「なんだ!?誰だっ!」
『えーい!!』
『あら、転んじゃったわ!!』
『つかむ場所が悪いわ!!まず声をかけないと!!』
『でもいきなり声かけるといつもビックリされて逃げられちゃうじゃないっ!!』
自分が転ぶのと同時に甲高い声が複数聞こえてきた。
人がいたのか……!?
「どこにいるっ!」
起き上がりながら、咄嗟にスタンガンをジーパンのポケットから取り出し、警戒体勢をとるが相手の姿は見えない。
『ここよー。お兄さんっ!!』
『足元よっ!!』
その声に導かれるまま、足元を見ると、花がいくつか咲いていた。
『ごめんなさい。転ばせるつもりはなくて』
『止まってほしかっただけなの』
目の前にある光景を信じることができなかった。
「……は!?」
『は?』
まるで人間が話すときに口をパクパクするように、咲いた花がまた閉じるを繰り返し、パクパクと動いている。
「……はっ、花が喋ってる!!!」
間違いない、足元にいる何本かの花が、喋っている。
その光景は非現実的で、今まで歩き回って疲労している自分の頭には特に理解できないものだった。
そしてすごく気持ち悪い。
俺は耐えられなくなり、その場から逃げるように走りだした。
何だここは!?一体どうなっている!!
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