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第7話 安全確認2(大雅視点)
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『待って!!行かないで!!私たち動けないから!』
『だってお花だからねっ!!』
『お兄さーん、こっちにおいで!』
後ろで声が聞こえるが、とにかく走った。
「ハァ、ハァ」
暫く走り、後ろを何度か確認したが、花達は追ってこないようだった。
俺は頭がおかしくなったのか?
喋る花なんて、地球上に存在したか?
昼間、草原で目が覚めてから、ずっと非日常を味わっている。
俺が住んでた東京にこんな大草原や森はあったか?
だいたい喋る花なんて存在するはずもない。
とても嫌な予感がする。
そういえば、自分は嫌な予感程当たるんだよな……と考えていると、ハッとした。
「美弥ー!どこだっ!返事してくれ」
美弥の居場所を大体で把握しながら、歩いてきたのに今ので大分外れてしまった。
喋る花達を見てから、俺はどういう方向を走った?
花達にも気づかれるかもしれないが、こんなところで、連れとはぐれる方がもっと最悪だ。
思いきって、大声を出す。
「美弥ー!!」
何度か叫びながら、付近を探し回った。
「ックソ!!」
辺りはもう真っ暗だ。
だが、ここで諦めたら二度と会えないような気すらしてきて必死に叫んだ。
暫く、歩き回った。
俺は来るときは、こんなに移動してたのか?
すると先程の花達の甲高い声とは違う、女の声が聞こえた。
「……こですか……」
「……京極さーん!」
美弥の声だ。
「美弥っ!!」
声がした方向へ走っていくと、木の根もとから二、三歩離れた場所に美弥が立っていた。
ペットボトルをぎゅっと両手でもって、不安そうにこちらを見ている。
木の根もとには鞄とスプレー缶が転がっている。
よくやく、戻ってこれた。
「京極さん、どうしました?大丈夫ですか?」
美弥は心配そうに側に駆け寄ってきて、指先で俺の額にそっと触れる。
「真っ青です」
美弥の手は暖かくて、自分の乱れた息が楽になるような気がした。
「美弥……」
「お水飲んでください。ずっと飲んでないですよね?」
美弥に言われるまま、カラカラだった喉を潤した。
「……お前は?」
「え?」
「大丈夫か……?」
問いかけながら、ペットボトルを美弥に返すと、ムッとした表情で答えた。
「私は大丈夫です。でも京極さん、大分遠くに行っていたでしょう?真っ暗になっても帰ってこないし、心配しました。あとお水……」
美弥の話を聞きながら、俺はその場に座り込んだ。
酷く疲れて、足が痛い。
「怪我したんですか!!」
「ちょっと、転んで捻っただけだ。これくらい一晩で治る。大丈夫だ……それより……」
美弥はしょんぼりしながら俺の足を見た後、ハッとして鞄の方に駆け寄り、カサゴソと探している。恐らく絆創膏か何かを探しているんだろう。
その姿を見ながら、考える。
美弥のいう通り、俺は大分遠くまで見回っていたのだろう。
帰りの感覚では、叫んで探さないと戻ってこれないような距離を来た気がする。
辺りは真っ暗で、自分は怪我をしている。
それに、ここら辺は花は咲いてない。
そして、あの花達は動くことはないようだった。
美弥がこちらに戻ってきた。
「今日はここで野宿だ。」
『だってお花だからねっ!!』
『お兄さーん、こっちにおいで!』
後ろで声が聞こえるが、とにかく走った。
「ハァ、ハァ」
暫く走り、後ろを何度か確認したが、花達は追ってこないようだった。
俺は頭がおかしくなったのか?
喋る花なんて、地球上に存在したか?
昼間、草原で目が覚めてから、ずっと非日常を味わっている。
俺が住んでた東京にこんな大草原や森はあったか?
だいたい喋る花なんて存在するはずもない。
とても嫌な予感がする。
そういえば、自分は嫌な予感程当たるんだよな……と考えていると、ハッとした。
「美弥ー!どこだっ!返事してくれ」
美弥の居場所を大体で把握しながら、歩いてきたのに今ので大分外れてしまった。
喋る花達を見てから、俺はどういう方向を走った?
花達にも気づかれるかもしれないが、こんなところで、連れとはぐれる方がもっと最悪だ。
思いきって、大声を出す。
「美弥ー!!」
何度か叫びながら、付近を探し回った。
「ックソ!!」
辺りはもう真っ暗だ。
だが、ここで諦めたら二度と会えないような気すらしてきて必死に叫んだ。
暫く、歩き回った。
俺は来るときは、こんなに移動してたのか?
すると先程の花達の甲高い声とは違う、女の声が聞こえた。
「……こですか……」
「……京極さーん!」
美弥の声だ。
「美弥っ!!」
声がした方向へ走っていくと、木の根もとから二、三歩離れた場所に美弥が立っていた。
ペットボトルをぎゅっと両手でもって、不安そうにこちらを見ている。
木の根もとには鞄とスプレー缶が転がっている。
よくやく、戻ってこれた。
「京極さん、どうしました?大丈夫ですか?」
美弥は心配そうに側に駆け寄ってきて、指先で俺の額にそっと触れる。
「真っ青です」
美弥の手は暖かくて、自分の乱れた息が楽になるような気がした。
「美弥……」
「お水飲んでください。ずっと飲んでないですよね?」
美弥に言われるまま、カラカラだった喉を潤した。
「……お前は?」
「え?」
「大丈夫か……?」
問いかけながら、ペットボトルを美弥に返すと、ムッとした表情で答えた。
「私は大丈夫です。でも京極さん、大分遠くに行っていたでしょう?真っ暗になっても帰ってこないし、心配しました。あとお水……」
美弥の話を聞きながら、俺はその場に座り込んだ。
酷く疲れて、足が痛い。
「怪我したんですか!!」
「ちょっと、転んで捻っただけだ。これくらい一晩で治る。大丈夫だ……それより……」
美弥はしょんぼりしながら俺の足を見た後、ハッとして鞄の方に駆け寄り、カサゴソと探している。恐らく絆創膏か何かを探しているんだろう。
その姿を見ながら、考える。
美弥のいう通り、俺は大分遠くまで見回っていたのだろう。
帰りの感覚では、叫んで探さないと戻ってこれないような距離を来た気がする。
辺りは真っ暗で、自分は怪我をしている。
それに、ここら辺は花は咲いてない。
そして、あの花達は動くことはないようだった。
美弥がこちらに戻ってきた。
「今日はここで野宿だ。」
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