リミット

SIVA

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1.目覚め

1-3

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《ガガガッ》
《ザザッザザッ》
《ザザッ》


(どこだ?)
(音は、どこからするんだ?)


気を落ち着かせ、耳を済ませた。


《ガガガッ》
《ザザザザッ》


(上?)


天井を見上げたが、スピーカーらしきものはない。


見上げたまま、辺りを見回した。


音は小さく、聞き取りにくい。


何かの中に入っている。


音の元は、この二段ベッドの上の方から聞こえてきた。


大樹は、音のする場所をしばらく見つめた。  


大きく深呼吸をして、ゆっくりと数段の梯子を登り、上にある布団を握り締めた。


ガサッ

勢いよく、布団をめくった。 


そこには、無線機らしきものがあった。


だが、それ以外にももう一つ・・・


「誰だよ・・・」


無線機と一緒に、女の子が横たわっていた。 


自分一人だと思っていた大樹は、少々混乱しながら、一端ベッドから離れた。 


「落ち着け。落ち着くんだ」


握りこぶしを、太ももにあてながら、唇をかみしめた。


狭い空間を行ったり来たりした後、ベッドに視線を戻した。


ゆっくりと、数段の梯子を上り、そこにいる人物を見た。

《ガガガ・・・》
《ザザザッ》


無線機は、雑音だけ発していた。


大樹は、ゆっくりと無線機を取り、ズボンのポケットに押し込めた。
そして、そこにいる、女の子の体を軽くゆすった。


女の子は、全く動かなかった。


(死んでる?)


 一瞬よぎったが彼女がうめき声を上げて、すぐにその答えを打ち消した。

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