リミット

SIVA

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1.目覚め

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「ここは、何処なの?」


誰しもその疑問が浮かぶだろう。


大樹は、首を横に振るだけだった。


莉子は、辺りを見回した。
 

大樹が一通りやった事を、莉子はやっていた。


その様子をじっと見ながら、深いため息をついた。


この部屋からすら、出られないのだろうか・・・


こんな密室で、見知らぬ男女がいるなんて考えられない。


髪の毛をくしゃくしゃにすると大樹はポケットに押し込めた無線機の事を思い出した。

 
これを使って、外部と連絡は、取れないだろうか・・・


後ろのポケットから、無線機を取り出すと、再びあの雑音が鳴り響いた。


《ザザザッ》
《ガガガッ》
《・・・れか・・・》
《・・・えますか?・・・》
《ザザザ》


(声?)


大樹は、莉子を呼んだ。


声に驚いた莉子は、ビクッと体を縮めた。


「ごめん・・・」


大樹は謝ると莉子に無線機を見せた。


「君が寝ていた場所に、あったんだ」


大樹は、そういいながら彼女にそれを渡すと鉄の扉まで歩いた。


「さっき、声が聞こえたんだ」
 「今は、聞こえない」


莉子は、無線機をベッドに置いた。


しばらく、様子をうかがうように彼の背中を見つめた。


「あなた、信用できるの?」


大樹が思っていた言葉を彼女は口にした。


扉から目を離し莉子を見るがどうにも怒る気がしなかった。 

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