96 / 127
疑念
9-14
しおりを挟む
一瞬だが、自分のいる場所と同じ音が、電話越しにも聞こえた気がした。
「あなた、今近くにいるわね」
『近くって?』
「とぼけないで。私はあなたたちの近くまで来ていると思ってるわ。あ、ちなみに…あなたたちといったのは、そこには、あなたの弟もいると思ってる」
ライトは、まゆをあげた。
口角を上げながらレニーの背中を見たライトは『後ろにいると言ったら?』と含むような口調で言った。
レニーは、勢いよく振り返った。
「よぉ」
とぼけた口調で片手をあげながらレニーの表情を伺う。
あまりの突然さに、言葉を失ったレニー。
電話を耳につけたまま、目の前にいるライトを見上げた。
「あれ、固まってる。せっかく出向いてやったのに?その反応。つまんないねぇ。この前みたいにここに血管が浮くくらい激怒してくれないの?」
レニーの目の前に手を振り続けながら首をかしげてとぼけた。
レニーは、口がぱくぱくと開いてるだけで話にならない。
ライトもそれを真似して、ぱくぱくとしてみた。
「まるで、金魚だな」
ケラケラ笑ったあと、真顔になると「親父の差し金か?」と携帯を拳銃代わりにレニーの前に差し出した。
その姿を見たレニーは、眉間にしわを寄せた。
「あ、俺を逮捕する?ま、できれば、だけど?」
このニヤついた顔がレニーを苛立たせる。
「逮捕します」
「へぇ。逮捕ねぇ。できるの?警察官じゃないあんたが、俺を?」
「何を企んでいるの?」
「企む?何を?」
首を傾げた向こう側に、ライトと同じ顔がもう一つ見えた。
レニーも少し首を傾げ「後ろにいるの、あなたの弟ね。憎らしい顔が二つになって、ますますムカつくわ」と言って、向こうに視線を向けた。
「あれは、関係ない。通りすがりだ」
「そぉかしら。私は彼の後をつけていたのよ」
「あっそ。まぁどうでもいいけど」
ライトは少し後ろを見た。
「さて。どうするか」
「なに?逃げるの?」
「あなた、今近くにいるわね」
『近くって?』
「とぼけないで。私はあなたたちの近くまで来ていると思ってるわ。あ、ちなみに…あなたたちといったのは、そこには、あなたの弟もいると思ってる」
ライトは、まゆをあげた。
口角を上げながらレニーの背中を見たライトは『後ろにいると言ったら?』と含むような口調で言った。
レニーは、勢いよく振り返った。
「よぉ」
とぼけた口調で片手をあげながらレニーの表情を伺う。
あまりの突然さに、言葉を失ったレニー。
電話を耳につけたまま、目の前にいるライトを見上げた。
「あれ、固まってる。せっかく出向いてやったのに?その反応。つまんないねぇ。この前みたいにここに血管が浮くくらい激怒してくれないの?」
レニーの目の前に手を振り続けながら首をかしげてとぼけた。
レニーは、口がぱくぱくと開いてるだけで話にならない。
ライトもそれを真似して、ぱくぱくとしてみた。
「まるで、金魚だな」
ケラケラ笑ったあと、真顔になると「親父の差し金か?」と携帯を拳銃代わりにレニーの前に差し出した。
その姿を見たレニーは、眉間にしわを寄せた。
「あ、俺を逮捕する?ま、できれば、だけど?」
このニヤついた顔がレニーを苛立たせる。
「逮捕します」
「へぇ。逮捕ねぇ。できるの?警察官じゃないあんたが、俺を?」
「何を企んでいるの?」
「企む?何を?」
首を傾げた向こう側に、ライトと同じ顔がもう一つ見えた。
レニーも少し首を傾げ「後ろにいるの、あなたの弟ね。憎らしい顔が二つになって、ますますムカつくわ」と言って、向こうに視線を向けた。
「あれは、関係ない。通りすがりだ」
「そぉかしら。私は彼の後をつけていたのよ」
「あっそ。まぁどうでもいいけど」
ライトは少し後ろを見た。
「さて。どうするか」
「なに?逃げるの?」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる