THIEF -シーフ-

決着の時

10-10

不安げな顔をしていたかと思うと、突然フルフルと笑いだした。

 「あぁ……レニー？」

ダンは、レニーの顔をうかがった。


 「私、ほんとおかしいわね。どうして、あんな泥棒の言葉を信じて動いてるの？散々、捕まえようとしてきてる、因縁の奴なのに……今は……あなたと同じ顔をしてるあいつを、頼ってる……」

レニーはダンに視線を向け「ほんとに憎たらしい顔」と、苦笑いをした。


 「そうですか？なかなか、イケてると、思うんですけど？」


フッと笑い、視線を屋敷に向けると「お話はここまで。あの人が来たわ」

 体を低くさせ、身を隠した。


 「ライト。あの手紙を信じたみたい。あの人が来た。ダンを送り込む」


 小声で、インカムに話しかけると、しばらくしてから『了解』と低い落ち着いた声が耳に響いた。 


レニーは、ダンを見ると、ダンは無言でうなずいて、そっと車から降りて屋敷に向かっていった。


 「ダン」


ダンは、車にいるレニーの方を見た。


 「気を付けて」

ダンは、小さくうなずいた。