THIEF -シーフ-

SIVA

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名探偵 レニー

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男はレニーを抱えながら女の方に視線をやると、女は首で曲げ先を指した。


それを見て深く頷くとレニーの尻をバシッと叩いて、歩き始めた。レニーは悲鳴を上げながら、足をジタバタとさせた。


「誰だ?あの女」


女の後ろに長身な、見事なまでの寝癖を付けた状態の男が立っていた。
その姿を見て一瞬言葉を失っていたが「何でもないわよ。それよりライト、お父様が呼んでたわよ」と気怠そうに話した。


「あ?面倒くせぇ」男はぼさぼさの短い髪の毛をガリガリかきむしりながら、露骨にいやな顔をした。


「あなた、また単独行動したんですって?」

腕を組みながら、女も露骨に嫌な顔をしている。
この二人の会話はとげとげしい。

「俺には、俺のポリシーがあるんだよ。あいつには関係ない事だ」


「でも縄張りで、そんなの事をしていたら、怒られても当然でしょう?」


 「縄張り縄張りって……ここは元々難民地帯だろ?縄張りなんてつくってどうすんだ」


「お金を頂戴するのよ」


「弱い人間からな。そのやり方が気に食わないんだよ」


 女、ベスと長身な男、ライトは向き合った。


「俺は、もっと金持ちを狙って儲けたいね。どうせそういう奴らが持ってる金は、きれいな金じゃないんだ」


「あら、よく言うわ。自分の家だって金持ちなのに」


「だな……。んじゃ、手始めに実家を狙うってのもありだな」


ベスは、眉をひそめ、首をかしげた。


「手始め?」


「お前に言ってなかったか?」


ベスは、ライトを睨みつけながら首を振った。


「俺たち、組織を作ったんだ」


「俺たち?」オウム返しのように、聞き返すベスをよそに、いつになく上機嫌のライトは両手を広げ「ベス。お前もこいよ」満面な笑みでベスに手を差し出した。


 「ち、ちょっと待って。じ、じゃあ、今ウォルトが女を連れていった場所って……」


 「あぁ、俺たちのアジトだ」

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