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名探偵 レニー
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「俺たちは、弱いものにとっては正義の味方。悪い奴らには敵」
言われたレニーは、素っ頓狂な顔をしている。
「何、言ってるの?」
「『knock』は、これから世界的に有名になる、窃盗団だ」
余計と意味がわからない。
ウォルトの言葉にレニーは、顎の骨が外れるかと思うくらい、口を開けていた。
「ウォルト。しゃべりが過ぎるぞ」
ライトはウォルトをにらみながらレニーの前に立ち「警察に戻ったら、報告するんだろう?」と言った。
「あ、当たり前でしょ。新米とは言え、私は刑事よ」
ライトは視線を離しフッと笑った。
「な、何がおかしいのよ!!」
「いや。そんな目をした女を昔見たなって思って」
レニーには、また何を言っているのかわからなかった。
「ウォルト。ここを案内してやれ」
「え?」
「いいのか?」
レニーは、背後に立つウォルトに視線をやった。
ウォルトも少し驚いた顔をしている。
「あいつらに、宣戦布告だ」
ライトは、そう言ってその場を離れて行った。
レニーは、ライトが言った『あいつらに、宣戦布告だ』という言葉が、頭から離れなかった。
神妙な面持ちをしているレニーを見たウォルトは「あんた、ホントにラッキーだ。アンラッキーな奴らばかりなのに、あんたはホントにラッキーだ」と言った。
表情を緩めウォルトを見上げると、ウォルトは優しく微笑んだ。
「あの人が言っている、あいつらって誰の事なの?警察?」
「警察じゃない。多分、おやじさんの事じゃないかな?」
「あいつの父親って?」
「こういう場所を、酷く嫌う人。金のない人間はゴミ同然。
表社会にいられない奴らが、ここに集まってるんだけど、ライトのおやじさんは、表社会にもここにも精通してるから、結構な権力を持ってるんだ」
「そんな人の息子がこれじゃ、父親が怒るのも無理ないわね」
「ライトは、おやじさんのやり方に不満を持ってる。ワンマンで、傲慢。名前くらいは聞いたことあるだろう?“エリコムコーポレーション”」
レニーは少し考え頷いた。
名前くらいはと言わず、どんな組織かも知っているし、エリコムコーポレーションはかなりの富豪だ。
「その会社のトップが、ライトのおやじさん。たださっきも言ったように、金のない人間はゴミ扱い。だからライトが、そんな人達の為に逃げ場を作ったんだ。この倉庫の外は、ほぼライトのおやじさんの息がかかってる。言ったろう?見つかったら生きては帰れないって」
もはや、返事すら返せないレニー。
「あ、聞いてなかったな。あんた、名前は?」
ウォルトは話を打ち切るように、眉間に皺を寄せているレニーの顔を覗き込んだ。
「レ、レニー……サリマン……」
「レニーか。いい名前だ。俺はウォルト。で、あそこにいるのがーーーー「ライトね」レニーはすぐに答えた。
「そうライト。んでもって、その隣にいるのがベス。あの二人の関係は……聞くなよ?」
ウォルトは、両手をあげて首を振った。
「ここで、何をしてるの?」
言われたレニーは、素っ頓狂な顔をしている。
「何、言ってるの?」
「『knock』は、これから世界的に有名になる、窃盗団だ」
余計と意味がわからない。
ウォルトの言葉にレニーは、顎の骨が外れるかと思うくらい、口を開けていた。
「ウォルト。しゃべりが過ぎるぞ」
ライトはウォルトをにらみながらレニーの前に立ち「警察に戻ったら、報告するんだろう?」と言った。
「あ、当たり前でしょ。新米とは言え、私は刑事よ」
ライトは視線を離しフッと笑った。
「な、何がおかしいのよ!!」
「いや。そんな目をした女を昔見たなって思って」
レニーには、また何を言っているのかわからなかった。
「ウォルト。ここを案内してやれ」
「え?」
「いいのか?」
レニーは、背後に立つウォルトに視線をやった。
ウォルトも少し驚いた顔をしている。
「あいつらに、宣戦布告だ」
ライトは、そう言ってその場を離れて行った。
レニーは、ライトが言った『あいつらに、宣戦布告だ』という言葉が、頭から離れなかった。
神妙な面持ちをしているレニーを見たウォルトは「あんた、ホントにラッキーだ。アンラッキーな奴らばかりなのに、あんたはホントにラッキーだ」と言った。
表情を緩めウォルトを見上げると、ウォルトは優しく微笑んだ。
「あの人が言っている、あいつらって誰の事なの?警察?」
「警察じゃない。多分、おやじさんの事じゃないかな?」
「あいつの父親って?」
「こういう場所を、酷く嫌う人。金のない人間はゴミ同然。
表社会にいられない奴らが、ここに集まってるんだけど、ライトのおやじさんは、表社会にもここにも精通してるから、結構な権力を持ってるんだ」
「そんな人の息子がこれじゃ、父親が怒るのも無理ないわね」
「ライトは、おやじさんのやり方に不満を持ってる。ワンマンで、傲慢。名前くらいは聞いたことあるだろう?“エリコムコーポレーション”」
レニーは少し考え頷いた。
名前くらいはと言わず、どんな組織かも知っているし、エリコムコーポレーションはかなりの富豪だ。
「その会社のトップが、ライトのおやじさん。たださっきも言ったように、金のない人間はゴミ扱い。だからライトが、そんな人達の為に逃げ場を作ったんだ。この倉庫の外は、ほぼライトのおやじさんの息がかかってる。言ったろう?見つかったら生きては帰れないって」
もはや、返事すら返せないレニー。
「あ、聞いてなかったな。あんた、名前は?」
ウォルトは話を打ち切るように、眉間に皺を寄せているレニーの顔を覗き込んだ。
「レ、レニー……サリマン……」
「レニーか。いい名前だ。俺はウォルト。で、あそこにいるのがーーーー「ライトね」レニーはすぐに答えた。
「そうライト。んでもって、その隣にいるのがベス。あの二人の関係は……聞くなよ?」
ウォルトは、両手をあげて首を振った。
「ここで、何をしてるの?」
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