THIEF -シーフ-

事件発生

5-10

「確認が取れました。清掃時間は、２時間と聞いていますが・・・」



 「に、２時間！？」


チップが思わず声を上げた。



バシッと後ろからひざ蹴りを食らうと、ウッと唸った。




「はい２時間です。終わり次第こちらに顔を出せばいいですか？」


すかさずライトが返答をする。


「屋敷の中に案内がいます。あとはそれに従ってください」



 「わかりました。ありがとうございます」そう言って、ライトは、チップの肩を叩いて、車を発進させるよう促した。



車は、あっさりとモリス邸に入る事が出来た。




 「わかってると思うが・・・」



チップに向かって人差し指を立てたライトは、顔を近づけて来たチップに驚いた。



 「大丈夫だ。今回はミスはしない。ちゃんと事前調査もした」



ライトは、しばらく固まっていたが「お前のその自信過剰なところが心配だ」と言って車を降りて行った。



勢いに任せて何か言い返してやろうかと思ったが、なにも思いつかずハンドルに手をかけため息をついた。


＊＊＊


「ウォルト。これを」



ライトが渡したのは、小さなカメラだった。




「わかった」



「それから・・・」



もうひとつウォルトに手渡したそれは、一枚の写真だった。



「今回は、これ？」



写真に視線を落としながらつぶやくと「これが、そんなに価値のあるものだとは、思えないけど・・」と言った。