THIEF -シーフ-

追跡

8-8

ライトが、店に入ろうとした瞬間に鋭い殺気を感じた。


勢いよく振り返ったライトだが、そこに誰がいるわけでもなく、辺りを見回した。



「この感覚・・・」



「ライト？」



ウォルトに呼ばれたライトだが、しばらく辺りを見回していた。




「どうかしたのか？」



ウォルトが話しかけたが、ライトの視線は外に向けられたままだった。



ウォルトは首をかしげ再び店内へと入って行った。



ジーッと一点を見つめているライト。



視線の先には道路を挟んで路地がある。



その暗い路地の先を見つめるライトは「この感覚・・・アリスがいる」とつぶやいた。




そして、急いで店内へと入ると
「じじぃ！いるか！！」と珍しく大声を上げた。


驚いたウォルトは「どうかしたのか？」と目を丸くしてライトの方を見た。




「アリスに見張られてる」




「え？どうしてアリスがここに？」



「わからないが、この異様な感覚はアリスしかいない・・・おい！！じじぃ！早く出てこい」




少々焦り気味のライトだが、裏からのんびりと腰の曲がった老人が姿を現した。



「相変わらず騒がしい男だの」



「急いで、店の顧客リストを見せてくれ」



「入ってきていきなり営業妨害か！？」



「ライト！唐突過ぎるだろ」



「アリスにここを掴まれたら、俺たちは終わりだぞ？」


「ライトよ。落ち着かんか。気持ちはわかるが、あんな小娘にやられるようなじじぃではないぞ？」


ライトは、ようやく落ち着きを取り戻した。