THIEF -シーフ-

疑念

9-9

足早に廊下を歩いているレニーは、左手に持っている写真をくしゃくしゃにした。




 「ルパンの気持ちが少し話わかるわ。だからと言って、奴の行為は認められない…でも…」



くしゃくしゃにした写真をゆっくりと持ち上げ、歯を食いしばると「どうして、テッドが…こんな目に…」と力なく言った。



その写真には男が手足を縛られ酷く出血をしている姿が映っていた。



この写真の状況では生死は不明だが、あの社長のやることだと生きているとは思えなかった。



兎に角今は自分の与えられたことをする…テッドの二の舞にならないように足早にビルを後にした。


 「息子を尾行するってどういう神経よ…」


 社長から渡された携帯を取り出し画面を見ると、赤い丸が点滅している。



 眉間にしわを寄せると「これってGPS？…」とつぶやいた。


レニーは、携帯とあたりを交互に見ながら、ダンの跡を追うことにした。



＊＊＊



ダンは、あたりを警戒しながら細い路地に入った。


 壁に背中をつけると空を見上げ大きく深呼吸をした。


 「ふぅー」


しばらくした後、上着を脱ぐとくしゃくしゃにし、何かを探し始めた。




 上着の確認が終わると、ベルトをはずしズボンを脱ぎ始めた。



そこへ若い女が、路地へ入り込んできた。



ズボンを脱ぎ始めていたダンは一瞬固まり、路地へ入ってきた若い女はダンの姿を見て足を止め固まった。



 「あ、えっと…こ、これは…」



ダンは焦ってズボンを穿き直そうとした。



 若い女は、目を見開き後ずさりをした。


 「あの、僕は…」



キャー！と悲鳴を上げると路地から出て行ってしまった。