キミがまた笑える日が来るまで

第一章：僕らに慣れるまで

第一章：第九話【一緒に帰ろう】

～～前書き～～

どもう！　期日を守れず結局一週間お預けにしてしまった空野そらでございます
本当に申し訳なく思ってはいます。ハイ
だけど、疲労が凄かったんです！　え？　関係ないって？　そうですね！！！！！！！
これからも一杯書いていきますんで、そして一杯遅れていきますんでよろしくお願いします！
それでは本編へどうぞ！

～～～～～






　——————【殴られたの.........】


　その言葉は目の前にいる少女の震える口から放たれた。それはもう消え入りそうな程小さな声だったが、静寂に包まれていた部屋の中には十分と思えるほどに響いた。
　少女に目を向けてみれば手は小刻みに震え、表情は怖い程に強張っている。過去のトラウマがフラッシュバックしている、その言葉が綺麗ぴったりに当てはまりそうなくらい。

　俺はそれを聞いて何もしてやれていない自分に嫌気が差し、目の前の少女から目を逸らしてしまう。それがその彼女にどれほどの影響を与えたかは分からない。しかし、彼女は俺の行動に気付くや否やヨロっとたぢろぎながら立つと、突然大きな音を立てながら走って部屋を出て行ってしまった。
　走り去る背中に視線を飛ばしはするも、声を上げるにはあと一つ勇気が足りない。
　少しすると、下の方から智美紀ちみきの驚くような声が聞こえてきて、俺はどこか呆けていた意識をハッキリさせる。
　俺も続くように急いで立ち上がると、駆け足で一階まで降りる。だが、一階に降りた時にはもうこの家に彼女の姿はなくなっていた。
　彼女が出て行ったのであろう玄関扉はゆっくりと軋む音を立てながら閉じようとしていた。
　それが完全に閉じ切ってしまったら俺と彼女を繋ぐ糸が千切れてしまうような気がする。さすれば二度と会えなくなってしまいそうな感じがして、どうにかしないといけないのだが、接点なんてないに等しかった俺なんかが助けることができるのかと、一歩踏み出すのを躊躇ってしまう。


（助けるって、何度も何度も思って、考えて、伝えただろっ！）


　いざとなった時に何も行動に移すことができない自分へ苛立ちを覚え、拳に力を籠めると力強く膝へ落とす。
　両手を膝に置き、視線を落として歯を食い縛っていると方にほんのりと暖かい感触が現れる。それは良く昔に感じていたモノと同じで、安心できるモノ。俺はぎこちなさを醸し出しながら振り向くと怒りと困りが混ざり合ったかのような表情をしている智美紀がいた。


「何があったか分からないし、聞きもしないけど、後悔したくないんだったら早く行きなさい。......私には、あの時よりも苦しそうに、見えたわよ」
「......でも、俺にアイツのこと助けれるなんて......」
「口答えするなー！　もうとっとと行きなさい！」
「て、おいっ！」


　智美紀は俺の背中を両手でバシバシと叩き、押し出すようにして俺を土間にまで連れて行く。そのままの勢いで足を靴の中に入れると踵を踏んだまま玄関扉の傍に立つ。玄関扉の取っ手部分に手を置いて体の支えとしながらも、閉じるのを何とかギリギリで防ぐことができた。
　俺は驚いたように目を見開き、智美紀へ訴えかける視線を飛ばすがシッシッと早く行けと言わんばかりに手を振っている。その行為に渦巻き状になっていた思考を一つの結論にへと半ば強制的に導くと、足を少しずつ動かしていく。

　支えとしていた扉を開けてみる。

　今日は特に暑い日だ。夏休みが明けてから少し経ったというのに天から刺してくる暑さに衰えを感じない。少し陽に当たっただけだというのに頬に汗が滲み出ている。
　何とかすると言ってもどこにいるのか全く見当が付かない。接点がなかったし、何が好きでよくどこに行くかなんてもの全く知らない。
　手あたり次第探すしかないのだが、取り敢えず感覚で行きそうなところを考えて言ってみることにする。


「あそこ、行ってみるか」





　何の考えもせず生きたことはあるだろうか。
　ただ自室で殻に閉じ籠り、ボーッと生きる。
　それはとても辛く、苦しいことだ。なんたって私は実体験がある、少し前の事だ。だから鮮明に覚えている。
　誰も助けてくれなくて、もう傷つきたくなかったから。そんな自分勝手な理由だけど、私はしんどかった。
　そんなだった私を助けてくれた人がいる。相沢あいざわ家の人たちだ。
　ボロボロだった私を何も言わずに受け入れて身の回りの世話してくれた。私はその恩をしっかりと返さなければならないのに、今仇で返すようなことをしてしまった。
　私の事を助けようとしてくれた零紀れいきから逃げるように家を飛び出してしまった。
　私は激しく打ち付ける鼓動と、悲観的な考えをする頭を冷やすために目に入った公園で休んでいた。


（やっぱり、私は生きてちゃ......）


　そうやってとある公園のベンチに膝を抱えながら座っていると、いきなりとある声が耳に届く。


「ゆ～やけこやけ～の～　あかとんぼ～♪　......って柄にもないことをするもんじゃないな。我ながらキモイ」
「......！！」
「もう幼稚園の頃だったっけ？　好奇心に駆られて遠い公園に来た時、防災無線から赤とんぼが流れてきて焦ったよな」
「ごめん。そんな不思議なものを見る目で見ないでくれ」
「......ごっ！　ん...さい」
「ん？」
「......ご、めん...なさい」
「......ごめんなさいって、何が？　別におま......菜美なみが何か俺らにした訳ではないだろ？　それを言うなら俺の方だよ。無責任にガツガツと踏み込んで」


　彼はキョトンとした顔で私が勇気を出して言葉を自分に非があるように扱う。


「俺はどこかの主人公みたいにカッコイイこととか名言なんて一切言えない。だから同居人として言わせてくれ」


　俯く私の顔を覗き込むようにしゃがむと優しい声色で、温かい心の籠った言葉を私にくれた。


「一緒に、帰ろう」




～後書き～～

何なんだあの前書きはと思った方が沢山いらっしゃると思います。ええ、私もその一人ですよ。
多分前任者が疲れているんですよきっと
前任者が誰なのかは知らない方が得だと思います。
こんな前置きはさて置き、本編へ少し触れていきましょう
まず初めに、一応今回の話で第一章は終わるかなと思います。
しかし後からもう少し書き加えたいとなったら次の話くらいで完璧に終わると思います。
さてさてさ～て、主人公君......本当に柄でもないことするのやめて貰ってもいいですか？
ちょっと、共感性羞恥が......って、主人公君にやれって言ったのは一体どこのどいつなんだ！()
っと、話は少し変わるんですが、こういう女の子って可愛くて性癖をくすぐられますよね
だって頑張って主人公に言葉を届けようとしているんですよ？　そんな女の子絶対応援したくなっちゃうじゃないですか！！！！！

　......突然な性癖発表すみません
ま、まあそんなことは置いてといて......取り敢えず今話で本作は落ち着きました。次の話は少し先に更新になるかもしれませんがご容赦ください。
よし！　締めに入ろう！　締めに！

ぜひこれからも今作をよろしくお願いします！　
そしてTwitterのフォローして頂けると、作品の情報と私の日常を覗けます（興味は全くありませんが......）
では機会があれば次回もお会いしましょう！

～～～～～