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第一部 ライアス編
カルスラの森
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国王から充分に武器と防具、旅の路銀をもらったライアス、マリア、そして宿屋の酒場で待っていてくれたクラウドの三人は聖林寺に向かう。
三人はエルド王国から東の砦を抜けてカルスラの森を目指した。この森を抜けて北上する予定だ。
「すごいわ。この大木…樹齢何千年なのかしら?」
「本当だね。まるでこの世界の始まりから全てを見てきたようだね。」
「人と魔族の戦争っていう、くだらないものを見せられて…嫌だろうね。」
「クラウドさん…。」
「おっと…悪いね、嬢ちゃん。それよりこの森は狼や熊といった獣が魔物化した狂暴な奴らが出るし、ゴブリンが群れで襲ってくるぜ。気を付けな!」
「!?」
「ライアス?どうしたの?」
「クラウドさんが言ってた狼が来るようだ!」
「へへっ…数は、ざっと20って所かな。」
「中に一匹…デカイのがいますね。マリア!いつでも魔法の準備を!」
「分かったわ!」
マリアが返事をしたのと同時くらいにクラウドがマリアに向かって短剣を数本投げた!
「えっ!?」
ギャャウン~!ギャッ!
短剣はマリアを通り過ぎ襲い掛かろうとした狼三体に突き刺さる!!一撃で三体の急所を狙い仕止めた。
「ぜやぁぁぁ~、はぁ!」
ライアスが前方から飛び掛かってきた狼の群れを切り伏せる。すかさずマリアに呼び掛ける!
「マリア!僕の方に向かってファイアーボールを打つんだ!」
「分かったわ!」そう言うとすかさずライアスに向けて放った!エルローズの村での戦い以降、練習を重ねたお陰で詠唱速度と威力は以前より増していた。
そしてライアスはすぐに真上に跳んだ!
その瞬間に巨大な狼…ダークウルフが茂みから飛び出して来たが、ライアスの指示によって放たれたファイアーボールが直撃した。
「ギャャウゥゥン~」
ダークウルフはたまらず天を仰いだ…
次の瞬間!
上空に跳んだライアスがダークウルフの頭に剣を突き刺した。
「やるねぇ~!こんなデカイのを簡単に仕止めるとは。」
マリアが振り向くとクラウドが既に残りの狼を倒していた。
「さあ、次が来ない内に移動しようぜ。」そう言ってクラウドは歩き出した。
クラウドは手練れの冒険者だ、察知能力に攻撃の先読み、そして的確な攻撃にマリアは驚いた。
「クラウドさん、このまま森を進むのですか?」
「いや、この森は広くてねぇ…抜けるのに2~3日は掛かるかな。まぁ途中に村があったから今日はそこで休みたいねぇ」
「こんな広大な大森林の中に村があるのね…。」
「そこは人間とエルフが共生していてねぇ。自然と共に暮らしているのさ。」
「人間とエルフが…!?」
「エルフつっても、みんながみんな人間を嫌ってるわけじゃないのさ。ごく一部の奴らだぜ。」
ライアスとマリアはなるほどな~とクラウドの話を聞いていた。
「まぁ二人とも若いんだから、これから世界で何が起こっているのかをよ~く見ておいた方がいいぜぇ。」
「クラウドさんは世界を旅されたのですか?」マリアが尋ねた。
「そうだねぇ~。色々見て回ったかな…。」
空を見上げながら呟くように返ってきた返事はとても明るい声ではなかった。
しばらく森を進むと遠くから煙が上がっているのに気が付いた。
「あれは!?」
「マズイねぇ…ありゃあトーラの村がある所だ!」
「急ごう!」そう言うとライアスは煙の方へ向かった!
途中に魔族が飛び出して襲い掛かるも察知能力に優れたライアスとクラウドには不意打ちは通じない!瞬く間に斬り倒されていった。
三人は茂みから燃えている木造の建物が見えた!だんだんと怒号や悲鳴が聞こえてくる!
魔族だ!村を攻めている!
ライアスは真っ直ぐに敵の本隊と思われる群れに斬り込む!
「これ以上やらせはしないねぇ!」クラウドは敵の魔法使い目掛けてマジックブーメランを放つ!!魔力を込めれば術者が自在に操れる武器だ!
「ぐわぁぁぁぁぁ~」魔法使い達を一掃する!
「一人で斬り込んで来るとは!バカめ!一斉にかかれ!!」魔族がライアス目掛けて突進したその時!
群れの中心に光弾が降り落ちた!
「なんだと!あの忌々しいエルフめ!」
魔族を率いているリーダー格が後ろを振り向く。
そこには村の城壁の上に一人のエルフが立っていた。そして振り向いて隙を見せた瞬間…
光弾により半分が倒され、負傷した残りの魔族を斬り倒したライアスがリーダー格に襲い掛かる!!
「連環剣!!」ライアスがリーダー格の懐にまで攻撃する。剣を胸に突き刺し蹴り飛ばす、すかさず追いつき左下より切り上げ喉元に突き刺す!まさに瞬殺であった。
「退却!」残りの魔族がそう言うと村に攻め込もうとしていた者達は一斉に逃げだした!
「ファイアーストーム!」ここまで魔力を溜めていたマリアの魔法が魔族の残党を攻撃する!その名の通り炎の嵐が魔族を焼き付くす!
「どうやら終わったようだねぇ。それにしても嬢ちゃん、すごい魔法を使えるんだねぇ。」クラウドがいつものヘラヘラした感じでマリアに話し掛けた。
「ハァ、ハァ…ま、魔法を発動させるのに、時間が掛かるのが欠点ですけどね。」
「嬢ちゃんも大したもんだし、ライアスの剣技…確かに、この世界を何とかしてくれるんじゃないかって思っちまうねぇ。」
「はい、ライアスならきっと世界を救ってくれます!」そう言ってライアスを見つめていた。
ライアスは村の入り口まで突撃し魔族を連環剣で斬り倒した。老師より教わった聖林寺の技の一つで流れるような連続攻撃が特徴である。
剣を収めるとライアスに一人の少女が近寄って来た。先程の光弾を放ったエルフの少女だ。
少女はニコっと微笑むと手を伸ばし村へ招く仕草をした。三人はトーラの村に到着したのであった。
三人はエルド王国から東の砦を抜けてカルスラの森を目指した。この森を抜けて北上する予定だ。
「すごいわ。この大木…樹齢何千年なのかしら?」
「本当だね。まるでこの世界の始まりから全てを見てきたようだね。」
「人と魔族の戦争っていう、くだらないものを見せられて…嫌だろうね。」
「クラウドさん…。」
「おっと…悪いね、嬢ちゃん。それよりこの森は狼や熊といった獣が魔物化した狂暴な奴らが出るし、ゴブリンが群れで襲ってくるぜ。気を付けな!」
「!?」
「ライアス?どうしたの?」
「クラウドさんが言ってた狼が来るようだ!」
「へへっ…数は、ざっと20って所かな。」
「中に一匹…デカイのがいますね。マリア!いつでも魔法の準備を!」
「分かったわ!」
マリアが返事をしたのと同時くらいにクラウドがマリアに向かって短剣を数本投げた!
「えっ!?」
ギャャウン~!ギャッ!
短剣はマリアを通り過ぎ襲い掛かろうとした狼三体に突き刺さる!!一撃で三体の急所を狙い仕止めた。
「ぜやぁぁぁ~、はぁ!」
ライアスが前方から飛び掛かってきた狼の群れを切り伏せる。すかさずマリアに呼び掛ける!
「マリア!僕の方に向かってファイアーボールを打つんだ!」
「分かったわ!」そう言うとすかさずライアスに向けて放った!エルローズの村での戦い以降、練習を重ねたお陰で詠唱速度と威力は以前より増していた。
そしてライアスはすぐに真上に跳んだ!
その瞬間に巨大な狼…ダークウルフが茂みから飛び出して来たが、ライアスの指示によって放たれたファイアーボールが直撃した。
「ギャャウゥゥン~」
ダークウルフはたまらず天を仰いだ…
次の瞬間!
上空に跳んだライアスがダークウルフの頭に剣を突き刺した。
「やるねぇ~!こんなデカイのを簡単に仕止めるとは。」
マリアが振り向くとクラウドが既に残りの狼を倒していた。
「さあ、次が来ない内に移動しようぜ。」そう言ってクラウドは歩き出した。
クラウドは手練れの冒険者だ、察知能力に攻撃の先読み、そして的確な攻撃にマリアは驚いた。
「クラウドさん、このまま森を進むのですか?」
「いや、この森は広くてねぇ…抜けるのに2~3日は掛かるかな。まぁ途中に村があったから今日はそこで休みたいねぇ」
「こんな広大な大森林の中に村があるのね…。」
「そこは人間とエルフが共生していてねぇ。自然と共に暮らしているのさ。」
「人間とエルフが…!?」
「エルフつっても、みんながみんな人間を嫌ってるわけじゃないのさ。ごく一部の奴らだぜ。」
ライアスとマリアはなるほどな~とクラウドの話を聞いていた。
「まぁ二人とも若いんだから、これから世界で何が起こっているのかをよ~く見ておいた方がいいぜぇ。」
「クラウドさんは世界を旅されたのですか?」マリアが尋ねた。
「そうだねぇ~。色々見て回ったかな…。」
空を見上げながら呟くように返ってきた返事はとても明るい声ではなかった。
しばらく森を進むと遠くから煙が上がっているのに気が付いた。
「あれは!?」
「マズイねぇ…ありゃあトーラの村がある所だ!」
「急ごう!」そう言うとライアスは煙の方へ向かった!
途中に魔族が飛び出して襲い掛かるも察知能力に優れたライアスとクラウドには不意打ちは通じない!瞬く間に斬り倒されていった。
三人は茂みから燃えている木造の建物が見えた!だんだんと怒号や悲鳴が聞こえてくる!
魔族だ!村を攻めている!
ライアスは真っ直ぐに敵の本隊と思われる群れに斬り込む!
「これ以上やらせはしないねぇ!」クラウドは敵の魔法使い目掛けてマジックブーメランを放つ!!魔力を込めれば術者が自在に操れる武器だ!
「ぐわぁぁぁぁぁ~」魔法使い達を一掃する!
「一人で斬り込んで来るとは!バカめ!一斉にかかれ!!」魔族がライアス目掛けて突進したその時!
群れの中心に光弾が降り落ちた!
「なんだと!あの忌々しいエルフめ!」
魔族を率いているリーダー格が後ろを振り向く。
そこには村の城壁の上に一人のエルフが立っていた。そして振り向いて隙を見せた瞬間…
光弾により半分が倒され、負傷した残りの魔族を斬り倒したライアスがリーダー格に襲い掛かる!!
「連環剣!!」ライアスがリーダー格の懐にまで攻撃する。剣を胸に突き刺し蹴り飛ばす、すかさず追いつき左下より切り上げ喉元に突き刺す!まさに瞬殺であった。
「退却!」残りの魔族がそう言うと村に攻め込もうとしていた者達は一斉に逃げだした!
「ファイアーストーム!」ここまで魔力を溜めていたマリアの魔法が魔族の残党を攻撃する!その名の通り炎の嵐が魔族を焼き付くす!
「どうやら終わったようだねぇ。それにしても嬢ちゃん、すごい魔法を使えるんだねぇ。」クラウドがいつものヘラヘラした感じでマリアに話し掛けた。
「ハァ、ハァ…ま、魔法を発動させるのに、時間が掛かるのが欠点ですけどね。」
「嬢ちゃんも大したもんだし、ライアスの剣技…確かに、この世界を何とかしてくれるんじゃないかって思っちまうねぇ。」
「はい、ライアスならきっと世界を救ってくれます!」そう言ってライアスを見つめていた。
ライアスは村の入り口まで突撃し魔族を連環剣で斬り倒した。老師より教わった聖林寺の技の一つで流れるような連続攻撃が特徴である。
剣を収めるとライアスに一人の少女が近寄って来た。先程の光弾を放ったエルフの少女だ。
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