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第5話 世界一の編み棒を君に
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三日後の朝。
「ニニィアネ、こちらへ」
アス様に呼ばれて工房へ向かった。お屋敷に併設されている魔道具を作る場所だと聞いている。普段はあまり立ち寄るところではない。
「あの、アス様? ここで何を……」
「これを見てほしい」
差し出されたものを見て、息を呑んだ。
「編み棒……!」
それは、確かに母の編み棒だった。でも、以前とは少しだけ違う。全体に細かな銀の装飾が施され、ところどころに小さな宝石が鏤められている。折れていた部分は、魔法銀で丁寧に繋ぎ合わされていた。元の形状を大事に大事に残し、そして、新しい命を吹き込んでくれたような、そんな作り。
「直して……くれたの?」
「ただ直しただけではない」
アス様が優しく説明してくれた。
「魔法金属で補強し、永続の術式を刻んだ。もう二度と壊れることはない。それに——」
編み棒を手渡される。持った瞬間、温かい感触が手に伝わった。
「これは……」
「温もりの魔法だ。君の母上の思い出と、私の君への想いを込めた」
「……っ!」
涙が、溢れてきた。
「うわああああん!」
子供の体だからかな。感情が抑えられない。アス様の胸に飛び込んで、声を上げて泣いた。
「あ、ありがとうございます……! ありがとうございます……!」
「泣くな、ニニィアネ。いや、泣いてもいい。私がいるから」
大きな手が、背中をぽんぽんと優しく叩いてくれる。
「アス様、大好き……」
「あぁ。私も君を、世界で一番愛している」
アス様の声が、いつもより低く、甘い響きを帯びていた。顔を上げると、赤い瞳がじっと私を見つめている。
「ニニィアネ、君は本当に綺麗で……いや、私は待つと決めた。今言うことではないな」
「?」
よく分からないけど、アス様の頬がほんのり赤い。
しばらく泣いた後、落ち着いてから改めて編み棒を見た。
装飾は美しいけれど、編み物の邪魔にならないよう考えられている。重さも、以前とほぼ同じ。
「すごい……前より使いやすくなっているかも……」
「そうだろう? 私も頑張ったのだ」
「アス様が、自分で?」
「当然だ。君の大切なものなら、私が直々に手をかける」
なんてことだろう。また涙が出そうになった。
「あ、あの! お礼に、何か編ませてください!」
「お礼など必要ない」
「でも、作りたいの! アス様のために!」
真剣にそう伝えると、アス様は優しく微笑んでくれた。
「では、好きなものを編んでくれ。君の作るものなら、何でも宝物だ」
「はい!」
よーし! とびきり可愛いものを作ろう!
心を込めて、愛情を込めて、最高の作品を!
書庫に戻って、さっそく編み始めた。編み棒は、よくなじみ、本当に使いやすい。まるで手の一部みたい。
「何を作ろうかな……?」
アス様は強くて優しくて、いつも私を守ってくれる。だから、今度は私がアス様を守る何かを作りたい。
「守護のお守り……いや、でも指輪とかたくさんあるし……あ!」
閃いた!
小さな騎士の編みぐるみはどうだろう? アス様を守る、小さな守護者。
「うん! これだ!」
灰色の毛糸で鎧を、茶色で小さな体を編んでいく。
顔は……ネズミさんにしよう。可愛いから。小さな剣と盾も編んで、立派な騎士の完成!
「できた~!」
手のひらサイズの、ネズミの騎士。つぶらな瞳が可愛い。
「アス様を守ってね」
ぎゅっと抱きしめて、心を込める。願いと祈りをしっかりと織り込んで。
その瞬間だった。
ピカッ!
編みぐるみが、光った。
「え?」
そして——
「はっ!」
ネズミの騎士が、動いた!?
「ええええええ!?」
手のひらの上で、小さな騎士がきょろきょろと辺りを見回している。そして、私と目が合った。
「我が主よ!」
喋ったああああああ!?
「この騎士チューベエ、主にお仕えいたします!」
「ちゅ、チューベエ?」
「はっ! 我が名前でございます!」
覗き込むと、小さな騎士——チューベエは、ぴしっと敬礼した。
「主よ、ご命令を! 誰を斬ればよろしいですか!」
「き、斬らなくていいです!」
「敵はいずこ! いざゆかん!」
「え、えーと……?」
混乱していると、扉が開いた。
「ニニィアネ、新しい編み棒の調子は……ん?」
アス様が、固まった。
「こ、これは……?」
「あ、あのー! 違うのー! 急に動き出してなにがなにやらー!」
慌てて弁明すると、チューベエがアス様に気づいた。
「むっ! 怪しい奴! 主から離れろ!」
ちっちゃい剣を構えて、威嚇している。
「うわぁ! チューベエ! その人はアス様! 私の大切な人!」
「なんと! 貴公がアスタロト様でございましたか! これはこれは、失礼いたしました!」
今度はアス様に向かって敬礼するチューベエ。アス様は、呆然とした顔で呟いた。
「式神……ではないか……それも、自律型の……」
「し、式神?」
「魂を持つ物質型の使い魔だ。作れる者は、上位の魔族でも一握り。それを、編み物で……?」
アス様が私を見る目が、また変わった。尊敬と、驚きと、そして深い愛情が混じった眼差し。
「ニニィアネ、君という子は……」
そして、アス様は編み棒を見つめた。
「わかってはいたが、編み棒に魔法がかかっているわけではなかったのだな。編み棒に手を入れても、君の才能は変わらず輝く。君自身が魔法陣を編み上げる、類稀なる才能を持っているのだ」
「え、あ、でも編んでいるだけなのに……」
「編み物で魔法陣を作る……これは服に魔法を忍ばせられるということ。実はこれ自体は古の失われし技術として文献が残る。だが、いまその陣を織るものはいない」
アス様の声が震えている。
「いや、魔法陣自体、今は描く者が稀だというのに。さらに式神生成だなんて、最上位の高等魔術……いったい君の才能は、どこまで……そして、それをこんなに、優しく……ネズミの騎士、か。はは、本当に素晴らしい子だ」
アス様がチューベエに手を差し出した。
「初めまして、小さな騎士。私はアスタロトだ」
「アスタロト様! 主がお世話になっております!」
ちっちゃい手で握手するチューベエ。その姿が可愛すぎて、アス様も頬を緩めた。
「して、小さな騎士よ。君の使命は?」
「はっ! 主の大切な人、アスタロト様をお守りすることです!」
「ほう?」
「主が、そう願いを込めました! 『アス様を守ってね』と!」
アス様が私を見た。その瞳に、深い感動が浮かんでいる。
「ニニィアネ……」
「わ、わー……チューベエ、そういうのはね、その、内緒にしておいてほしいの……」
恥ずかしくてうつむいた。すると、大きな手があごをそっと持ち上げた。
「君は本当に……」
アス様の顔が、近い。赤い瞳に、私の姿が映っている。
「愛おしい」
額に、そっとキスをされた。
「きゃっ!」
「すまない。つい」
でも、全然謝ってる顔じゃない。むしろ、とても幸せそう。
横で、チューベエが胸を張った。
「うむ! やはり願いに間違いなし! このチューベエ、この命に代えても、アスタロト様をお守りしますぞ!」
「ふはは、頼もしいな。よろしく頼む」
「はっ!」
その時、セバスが慌てた様子で入ってきた。
「アスタロト様! 大変です!」
「どうした?」
「隣国から使者が……どうやら、ニニィアネ様の才能の噂が広まっているようで」
「……!」
嫌な予感に目を見開く。でも、アス様は冷たく笑って断言した。
「はっきりと断れ。ニニィアネは渡さん」
「しかし、相手は大国です。下手をすれば——」
「誰にも負ける気はしない」
アス様が私を抱き上げた。
真剣な眼差しで私を見つめる。
「君の才能は、確かに世界を変える力だ。だからこそ、守らねば」
「アス様……」
チューベエが剣を掲げた。
「ご心配なく! この騎士チューベエがいる限り、誰も手出しはさせませぬー!」
「おや、小さいのに頼もしい」
「ええ、このチューベエ、小さくとも立派な騎士ですからな! 剣捌きをご覧に入れましょうぞ!」
「はは、なかなか良い動きだ」
賑やかで、でも少し不安な夜。私の編み物は、本当に特別なものらしい。でも、大丈夫。
アス様がいて、チューベエがいて、皆がいる。
「アス様」
「なんだ?」
「私、もっと編んでみたい。皆を守れるような、素敵なものを。ずっと皆と笑っていられるように」
「ああ、いいとも。私が必ず、君の夢を守る」
窓の外には、優しい風が吹いている。
新しい物語が、始まろうとしている予感がした。
「ニニィアネ、こちらへ」
アス様に呼ばれて工房へ向かった。お屋敷に併設されている魔道具を作る場所だと聞いている。普段はあまり立ち寄るところではない。
「あの、アス様? ここで何を……」
「これを見てほしい」
差し出されたものを見て、息を呑んだ。
「編み棒……!」
それは、確かに母の編み棒だった。でも、以前とは少しだけ違う。全体に細かな銀の装飾が施され、ところどころに小さな宝石が鏤められている。折れていた部分は、魔法銀で丁寧に繋ぎ合わされていた。元の形状を大事に大事に残し、そして、新しい命を吹き込んでくれたような、そんな作り。
「直して……くれたの?」
「ただ直しただけではない」
アス様が優しく説明してくれた。
「魔法金属で補強し、永続の術式を刻んだ。もう二度と壊れることはない。それに——」
編み棒を手渡される。持った瞬間、温かい感触が手に伝わった。
「これは……」
「温もりの魔法だ。君の母上の思い出と、私の君への想いを込めた」
「……っ!」
涙が、溢れてきた。
「うわああああん!」
子供の体だからかな。感情が抑えられない。アス様の胸に飛び込んで、声を上げて泣いた。
「あ、ありがとうございます……! ありがとうございます……!」
「泣くな、ニニィアネ。いや、泣いてもいい。私がいるから」
大きな手が、背中をぽんぽんと優しく叩いてくれる。
「アス様、大好き……」
「あぁ。私も君を、世界で一番愛している」
アス様の声が、いつもより低く、甘い響きを帯びていた。顔を上げると、赤い瞳がじっと私を見つめている。
「ニニィアネ、君は本当に綺麗で……いや、私は待つと決めた。今言うことではないな」
「?」
よく分からないけど、アス様の頬がほんのり赤い。
しばらく泣いた後、落ち着いてから改めて編み棒を見た。
装飾は美しいけれど、編み物の邪魔にならないよう考えられている。重さも、以前とほぼ同じ。
「すごい……前より使いやすくなっているかも……」
「そうだろう? 私も頑張ったのだ」
「アス様が、自分で?」
「当然だ。君の大切なものなら、私が直々に手をかける」
なんてことだろう。また涙が出そうになった。
「あ、あの! お礼に、何か編ませてください!」
「お礼など必要ない」
「でも、作りたいの! アス様のために!」
真剣にそう伝えると、アス様は優しく微笑んでくれた。
「では、好きなものを編んでくれ。君の作るものなら、何でも宝物だ」
「はい!」
よーし! とびきり可愛いものを作ろう!
心を込めて、愛情を込めて、最高の作品を!
書庫に戻って、さっそく編み始めた。編み棒は、よくなじみ、本当に使いやすい。まるで手の一部みたい。
「何を作ろうかな……?」
アス様は強くて優しくて、いつも私を守ってくれる。だから、今度は私がアス様を守る何かを作りたい。
「守護のお守り……いや、でも指輪とかたくさんあるし……あ!」
閃いた!
小さな騎士の編みぐるみはどうだろう? アス様を守る、小さな守護者。
「うん! これだ!」
灰色の毛糸で鎧を、茶色で小さな体を編んでいく。
顔は……ネズミさんにしよう。可愛いから。小さな剣と盾も編んで、立派な騎士の完成!
「できた~!」
手のひらサイズの、ネズミの騎士。つぶらな瞳が可愛い。
「アス様を守ってね」
ぎゅっと抱きしめて、心を込める。願いと祈りをしっかりと織り込んで。
その瞬間だった。
ピカッ!
編みぐるみが、光った。
「え?」
そして——
「はっ!」
ネズミの騎士が、動いた!?
「ええええええ!?」
手のひらの上で、小さな騎士がきょろきょろと辺りを見回している。そして、私と目が合った。
「我が主よ!」
喋ったああああああ!?
「この騎士チューベエ、主にお仕えいたします!」
「ちゅ、チューベエ?」
「はっ! 我が名前でございます!」
覗き込むと、小さな騎士——チューベエは、ぴしっと敬礼した。
「主よ、ご命令を! 誰を斬ればよろしいですか!」
「き、斬らなくていいです!」
「敵はいずこ! いざゆかん!」
「え、えーと……?」
混乱していると、扉が開いた。
「ニニィアネ、新しい編み棒の調子は……ん?」
アス様が、固まった。
「こ、これは……?」
「あ、あのー! 違うのー! 急に動き出してなにがなにやらー!」
慌てて弁明すると、チューベエがアス様に気づいた。
「むっ! 怪しい奴! 主から離れろ!」
ちっちゃい剣を構えて、威嚇している。
「うわぁ! チューベエ! その人はアス様! 私の大切な人!」
「なんと! 貴公がアスタロト様でございましたか! これはこれは、失礼いたしました!」
今度はアス様に向かって敬礼するチューベエ。アス様は、呆然とした顔で呟いた。
「式神……ではないか……それも、自律型の……」
「し、式神?」
「魂を持つ物質型の使い魔だ。作れる者は、上位の魔族でも一握り。それを、編み物で……?」
アス様が私を見る目が、また変わった。尊敬と、驚きと、そして深い愛情が混じった眼差し。
「ニニィアネ、君という子は……」
そして、アス様は編み棒を見つめた。
「わかってはいたが、編み棒に魔法がかかっているわけではなかったのだな。編み棒に手を入れても、君の才能は変わらず輝く。君自身が魔法陣を編み上げる、類稀なる才能を持っているのだ」
「え、あ、でも編んでいるだけなのに……」
「編み物で魔法陣を作る……これは服に魔法を忍ばせられるということ。実はこれ自体は古の失われし技術として文献が残る。だが、いまその陣を織るものはいない」
アス様の声が震えている。
「いや、魔法陣自体、今は描く者が稀だというのに。さらに式神生成だなんて、最上位の高等魔術……いったい君の才能は、どこまで……そして、それをこんなに、優しく……ネズミの騎士、か。はは、本当に素晴らしい子だ」
アス様がチューベエに手を差し出した。
「初めまして、小さな騎士。私はアスタロトだ」
「アスタロト様! 主がお世話になっております!」
ちっちゃい手で握手するチューベエ。その姿が可愛すぎて、アス様も頬を緩めた。
「して、小さな騎士よ。君の使命は?」
「はっ! 主の大切な人、アスタロト様をお守りすることです!」
「ほう?」
「主が、そう願いを込めました! 『アス様を守ってね』と!」
アス様が私を見た。その瞳に、深い感動が浮かんでいる。
「ニニィアネ……」
「わ、わー……チューベエ、そういうのはね、その、内緒にしておいてほしいの……」
恥ずかしくてうつむいた。すると、大きな手があごをそっと持ち上げた。
「君は本当に……」
アス様の顔が、近い。赤い瞳に、私の姿が映っている。
「愛おしい」
額に、そっとキスをされた。
「きゃっ!」
「すまない。つい」
でも、全然謝ってる顔じゃない。むしろ、とても幸せそう。
横で、チューベエが胸を張った。
「うむ! やはり願いに間違いなし! このチューベエ、この命に代えても、アスタロト様をお守りしますぞ!」
「ふはは、頼もしいな。よろしく頼む」
「はっ!」
その時、セバスが慌てた様子で入ってきた。
「アスタロト様! 大変です!」
「どうした?」
「隣国から使者が……どうやら、ニニィアネ様の才能の噂が広まっているようで」
「……!」
嫌な予感に目を見開く。でも、アス様は冷たく笑って断言した。
「はっきりと断れ。ニニィアネは渡さん」
「しかし、相手は大国です。下手をすれば——」
「誰にも負ける気はしない」
アス様が私を抱き上げた。
真剣な眼差しで私を見つめる。
「君の才能は、確かに世界を変える力だ。だからこそ、守らねば」
「アス様……」
チューベエが剣を掲げた。
「ご心配なく! この騎士チューベエがいる限り、誰も手出しはさせませぬー!」
「おや、小さいのに頼もしい」
「ええ、このチューベエ、小さくとも立派な騎士ですからな! 剣捌きをご覧に入れましょうぞ!」
「はは、なかなか良い動きだ」
賑やかで、でも少し不安な夜。私の編み物は、本当に特別なものらしい。でも、大丈夫。
アス様がいて、チューベエがいて、皆がいる。
「アス様」
「なんだ?」
「私、もっと編んでみたい。皆を守れるような、素敵なものを。ずっと皆と笑っていられるように」
「ああ、いいとも。私が必ず、君の夢を守る」
窓の外には、優しい風が吹いている。
新しい物語が、始まろうとしている予感がした。
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