歌の光花

古川優亜

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まぶしい笑顔と明るい夏

君らと共に アモンside

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俺は死ねない。
死ぬことができない。
一生不死身で、生きてきた僕は少しづつ自分に興味がなくなってきた。
そんな、時だった。
一人の女の子が男の子を助けるために魔力を開放するのを見て。
僕は少しだけ興味が湧いた。
男の子はずっと女の子の名前を呼んでいて。
人が死ぬのは久しぶりに見るから楽しみにしていた。
それなのに。
走ってきた女の人を見た瞬間。
泣くこともせず悲しみながらも動く彼女は。
どこか強く、弱く見えて。
どうしようもなく興味が湧いた。
だから、思わず彼女に教えたんだ。
どうすれば女の子が助かるのかを。
女の子を助けた彼女は僕に微笑んで口パクでこう言ったんだ。
「教えてくれてありがとうね。」
それだけで温かくなった。
思わず彼女の後を追いかけてずっと彼女のそばにいた。
彼女の作る料理は温かくて。
久しぶりに何かを温かいと感じた。
彼女なら。
彼女なら俺にかかった呪いを解いてくれるかもしれない。
そう思った。
そんなある日、突然彼女は俺を持ち上げ回りだした。
楽しかった。
彼女の手は温かくて。
たくさん笑った。
笑うこと自体久しぶりで。
失った名前を彼女は新しい名前をくれた。
それから、ウカ姉さんといる毎日はとても楽しいものだった。
他の子供も姉さんにとても懐いていて。
甘えれば優しく受け止めてくれる。
いたずらをすれば笑って許してくれる。
大きなけがをすれば涙が出そうなほど心配してくれて。
怪我をするような危ないことをすれば、つのが生えそうなほど怒ってくる。
姉さんは俺たち子どものことを考えて毎日動いてくれる。
そんな、姉さんが嫌というほど好きになった俺は。
今日も今日で姉さんの様子をただ観察する。
姉さんの魔法は独特で面白い。
姉さんが魔力を開放するときは絶対に近くに行く。
姉さんが好きだ。
ここにいる奴全員大好きだ。
ずっとここにいたい。
皆と一緒にいたい。
嫌われたくない。
だから話さなきゃいけない。
それはわかってる。
呪いのことを話して年が取らないことを説明すればみんなどんな反応する?
また、怯えられるのか?
嫌われるのか。
そんなの嫌だ。



「アモン。」
ある夜。
いつものように姉さんが子守唄を歌ってくれた後に俺に話しかけてきた。
「どんな話でもしっかり聞くよ。だから、そんな顔しないで。」
姉さんの優しい声が聞こえ俺は驚いた。
ずっと気づいてたんだ。
「姉さん。」
気が付けば俺は姉さんの腕の中で全てを話していた。
誰も起こさないように姉さんの部屋で俺は泣きながら。
今まであったこと。
呪いのこと。
吐き出すように。
ずっと姉さんに話していた。


「そっかぁ。」
姉さんは俺の背中をさすりながら。
笑った。
何故笑うのか。
俺にはわからない。
でも、姉さんは嬉しそうに笑い、こう言ったんだ。
「アモンは私より年上かもしれないんだぁ。何か不思議。」
ずっと可笑しそうにくすくす笑いながらも姉さんは手を休めない。
「みんなにはどう説明する?」
「俺が伝えたい。」
「じゃぁ、みんなにわかるように説明考えようか。」
「うん!!」
あぁ、姉さんでよかった。
ここにきてよかった。
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