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第9章 鉄道攻防戦
第64話 アシの問題
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~~~~~ 第8章のあらすじ ~~~~~
記憶を取り戻した鏡花の口から語られた真実————それは我々の想像を遥かに超えるものであった……‼︎
仇と信じていた月代善磨が、人ならざる人『鏡人』に姿を写し取られ殺害されていたこと……! 佑を逃し、単身『鏡人』に挑んだ鏡花もゼンマの不意打ちにより命を断たれていたこと……‼︎
————しかし、佑を想う鏡花の愛が奇跡を起こした。
死の間際に『鏡人』キョウカに自らの思念を移した鏡花はゼンマに深傷を負わせ、共に深き眠りにつき西国へと渡ることになった。
十年後、記憶を失くしたキョウカは導かれるように佑の前に現れ鏡花とミロワの人格を融合させたことで、『主』の思念を受け付けぬ唯一の『鏡人』となった。
その『鏡人』や『晄石獣』を産み出し、人類の滅亡を企む『主』————『母』の正体とはなんとこの惑星そのものであることが発覚したが、それでも改めて打倒を誓う佑たちと、神の如き存在に立ち向かうことを恐れたジャンは道を分かつことになってしまった……‼︎
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
相棒・ジャンと頭脳・ジゼルと別れたタスクたち三人は重い表情でジゼルの屋敷を後にした。
「————さあ、いつまでも暗い顔しとったらいけん! ウチらにはやらんといけんことがあるんじゃ!」
暗い雰囲気を嫌ったリンファが努めて明るく振る舞うと、タスクとミロワは示し合わせたようにうなずいた。
「……そうだな————」
路地から通りに出たところでタスクの言葉が途切れ、後に続くミロワとリンファも眼前の光景に息を飲んだ。
後世まで『血の日曜日』として語り継がれることとなった事件で街が受けたダメージは大きく至るところに惨劇の爪痕が残っている。道端にはいくつもの花束が供えられ、被害者の関係者であろうかすすり泣く人の姿も見える。
この痛ましい光景にタスクは拳を握る力をグッと強めた。
「……いつまでも悲しんでいる場合じゃない。リンファの言う通り、俺たちにはやらなければならないことがある……!」
「そうね……。確かに間違いを犯す人もいるかも知れないけれど、全人類を等しく粛清しようとする『鏡人』と『地母神』を私たちは止めなければいけない……!」
「そうじゃ、そうじゃ!」
「ピッ!」
「ブルル!」
シュウとヘイワンを含めた全員で決意を新たにしたが、不意にタスクが口元に手を当ててつぶやく。
「……しかし、ジャンが離脱したとなると『グロンダン』とやらへの足をどうするかだな」
「最近、開通した列車という物があるそうだけど……」
「トラン? なんじゃ、ソレ?」
「荷車を百足のように繋げて走る乗り物よ。聞いたところによると数百人もの人を乗せて走れるらしいわ」
「そりゃあええがな! その列車にヘイワンは乗れるんか⁉︎」
「分からないけど、大きな荷物も運ぶらしいから許可を取れればいけるのかも……」
「決まりじゃ! その列車で行こう!」
未知の乗り物にテンションの上がるリンファとは対照的にタスクは落ち着いた様子で答える。
「……俺は止した方がいいと思う」
「なんでなん、タスク⁉︎」
忙しなく表情を変えるリンファにタスクは冷静な眼差しを向ける。
「その列車とやらには数百の人間が乗るのだろう? 俺たちが一緒に乗ることで『鏡人』の標的になるんじゃないかと思ってな」
「あ……! そりゃあ、いけんな……。それじゃ、やっぱりウチの愛馬に乗って行くしかないな」
たてがみを撫でながらリンファが言うと、ヘイワンは彼女の頬をペロリと舐めた。
「でも、いくらヘイワンでも私たち三人を乗せては走れないでしょう?」
「何を言うとるんじゃ。ヘイワンにはウチとタスクが二人で乗るに決まっとるがな」
「それじゃあ、私はどうするの? 走ってついて行けとでも言うの?」
「お前はその肩に止まっとる自分の愛鳥に乗せてもらやあええがな」
「ピ?」
リンファにイタズラな視線を向けられたシュウがギラリと睨みつける。
「……ピィィ……!」
「悪い冗談は止して。シュウに人を乗せられる訳がないでしょう」
「ピッピ!」
「そうなん? シュウじゃったら大丈夫かと思うたわ」
険悪な雰囲気になり掛けるのを察知したタスクが二人の間に分け入った。
「やめろ、二人とも。長距離を相乗りしているとヘイワンが潰れてしまう。なんとか馬を二頭手に入れよう」
「タスクとの相乗りは楽しそうじゃけど、ヘイワンのことを考えたら確かにそうじゃな……」
「馬を手に入れるのは賛成だけど、列車に付いて行くのはいいと思うわ」
「どういうことだ、ミロワ?」
タスクに尋ねられたミロワはうなずいて答える。
「列車の動力源は『晄石』。それに数百人もの人間が乗っているとなると私たちが乗らなくとも『ミロワール』に狙われても不思議じゃない。それに列車の轍を辿れば、グロンダンへ迷わずに行けると思うの」
「なるほどな。さすがだ、ミロワ。よし、さっそく馬を探そう」
「ウチも! ウチもそう思うとった!」
ミロワに対抗心を燃やすリンファがハイハイと手を挙げた。
記憶を取り戻した鏡花の口から語られた真実————それは我々の想像を遥かに超えるものであった……‼︎
仇と信じていた月代善磨が、人ならざる人『鏡人』に姿を写し取られ殺害されていたこと……! 佑を逃し、単身『鏡人』に挑んだ鏡花もゼンマの不意打ちにより命を断たれていたこと……‼︎
————しかし、佑を想う鏡花の愛が奇跡を起こした。
死の間際に『鏡人』キョウカに自らの思念を移した鏡花はゼンマに深傷を負わせ、共に深き眠りにつき西国へと渡ることになった。
十年後、記憶を失くしたキョウカは導かれるように佑の前に現れ鏡花とミロワの人格を融合させたことで、『主』の思念を受け付けぬ唯一の『鏡人』となった。
その『鏡人』や『晄石獣』を産み出し、人類の滅亡を企む『主』————『母』の正体とはなんとこの惑星そのものであることが発覚したが、それでも改めて打倒を誓う佑たちと、神の如き存在に立ち向かうことを恐れたジャンは道を分かつことになってしまった……‼︎
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
相棒・ジャンと頭脳・ジゼルと別れたタスクたち三人は重い表情でジゼルの屋敷を後にした。
「————さあ、いつまでも暗い顔しとったらいけん! ウチらにはやらんといけんことがあるんじゃ!」
暗い雰囲気を嫌ったリンファが努めて明るく振る舞うと、タスクとミロワは示し合わせたようにうなずいた。
「……そうだな————」
路地から通りに出たところでタスクの言葉が途切れ、後に続くミロワとリンファも眼前の光景に息を飲んだ。
後世まで『血の日曜日』として語り継がれることとなった事件で街が受けたダメージは大きく至るところに惨劇の爪痕が残っている。道端にはいくつもの花束が供えられ、被害者の関係者であろうかすすり泣く人の姿も見える。
この痛ましい光景にタスクは拳を握る力をグッと強めた。
「……いつまでも悲しんでいる場合じゃない。リンファの言う通り、俺たちにはやらなければならないことがある……!」
「そうね……。確かに間違いを犯す人もいるかも知れないけれど、全人類を等しく粛清しようとする『鏡人』と『地母神』を私たちは止めなければいけない……!」
「そうじゃ、そうじゃ!」
「ピッ!」
「ブルル!」
シュウとヘイワンを含めた全員で決意を新たにしたが、不意にタスクが口元に手を当ててつぶやく。
「……しかし、ジャンが離脱したとなると『グロンダン』とやらへの足をどうするかだな」
「最近、開通した列車という物があるそうだけど……」
「トラン? なんじゃ、ソレ?」
「荷車を百足のように繋げて走る乗り物よ。聞いたところによると数百人もの人を乗せて走れるらしいわ」
「そりゃあええがな! その列車にヘイワンは乗れるんか⁉︎」
「分からないけど、大きな荷物も運ぶらしいから許可を取れればいけるのかも……」
「決まりじゃ! その列車で行こう!」
未知の乗り物にテンションの上がるリンファとは対照的にタスクは落ち着いた様子で答える。
「……俺は止した方がいいと思う」
「なんでなん、タスク⁉︎」
忙しなく表情を変えるリンファにタスクは冷静な眼差しを向ける。
「その列車とやらには数百の人間が乗るのだろう? 俺たちが一緒に乗ることで『鏡人』の標的になるんじゃないかと思ってな」
「あ……! そりゃあ、いけんな……。それじゃ、やっぱりウチの愛馬に乗って行くしかないな」
たてがみを撫でながらリンファが言うと、ヘイワンは彼女の頬をペロリと舐めた。
「でも、いくらヘイワンでも私たち三人を乗せては走れないでしょう?」
「何を言うとるんじゃ。ヘイワンにはウチとタスクが二人で乗るに決まっとるがな」
「それじゃあ、私はどうするの? 走ってついて行けとでも言うの?」
「お前はその肩に止まっとる自分の愛鳥に乗せてもらやあええがな」
「ピ?」
リンファにイタズラな視線を向けられたシュウがギラリと睨みつける。
「……ピィィ……!」
「悪い冗談は止して。シュウに人を乗せられる訳がないでしょう」
「ピッピ!」
「そうなん? シュウじゃったら大丈夫かと思うたわ」
険悪な雰囲気になり掛けるのを察知したタスクが二人の間に分け入った。
「やめろ、二人とも。長距離を相乗りしているとヘイワンが潰れてしまう。なんとか馬を二頭手に入れよう」
「タスクとの相乗りは楽しそうじゃけど、ヘイワンのことを考えたら確かにそうじゃな……」
「馬を手に入れるのは賛成だけど、列車に付いて行くのはいいと思うわ」
「どういうことだ、ミロワ?」
タスクに尋ねられたミロワはうなずいて答える。
「列車の動力源は『晄石』。それに数百人もの人間が乗っているとなると私たちが乗らなくとも『ミロワール』に狙われても不思議じゃない。それに列車の轍を辿れば、グロンダンへ迷わずに行けると思うの」
「なるほどな。さすがだ、ミロワ。よし、さっそく馬を探そう」
「ウチも! ウチもそう思うとった!」
ミロワに対抗心を燃やすリンファがハイハイと手を挙げた。
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