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第2章 それぞれの望み
03 魔法師隊臨時隊長
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・・・13日目・・・
次の日の早朝、シャリーナはセントラル・マギシティーに向かった。
国王トパークスにも許可状をすんなりともらえ何事もなく旅立った。
最初は海路で向かうつもりだったようだが、魔法師隊の新入隊員の中にカレットという竜族の少女がいて、その少女の背中に乗っていくことになった。
カレットは濃いグレーの髪に髪と同じような色の瞳の少女だった。少しおっとりとしているように見え、可愛いというより綺麗と言った方が合うような美人だ。
出発の時に初めて功助に会ったカレットは非常に緊張していた。だが、その緊張をほぐすためなのかシャリーナはあたしたちにまっかせなさいとたわわな胸を叩いた。たゆんたゆんと揺れる胸をカレットは目を見開いて凝視しチラッと自分の胸を見ると首をプルプルと振っていた。そしてシャリーナはパチンと功助にウインクすると頑張りましょうねとカレットの背中をペシッと叩いた。緊張のほぐれたカレットは功助にペコリと頭をさげた。
国王に言われていたフログス伯爵の監視はラナーシアがすることになった。しかし治癒術師が24時間体制で診ているのでラナーシアはすることがないのが原情だ。フログス伯爵が覚醒次第連絡はくるようになっているので特に問題はない。
フェンリルと魔族討伐の懸賞金は昨日のうちにバスティーアから受け取ったが大金貨が120枚だった。しかし貨幣価値がわからなく実感はない。
バスティーアによると親子四人の平民の平均は月金貨1~2枚ほどだそうだ。宿屋の経営している食堂での一回の食事代は銀貨1枚。となると食事はたぶん1000円ぐらいだとして、銀貨は1000円。これを他に当てはめると小銅貨は10円、銅貨は100円、銀貨1000円、大銀貨は1万円、金貨は10万円、大金貨は100万円となる。
ということは大金貨120枚は……1億2千万。俺って金持ちだったと功助はポカンと口を開けていた。
シャリーナにはその中から大金貨を50枚渡す。これだけあれば大丈夫だろうとシャリーナも受け取った。
あとは待つだけだと、しかしそれがいつになるかわ誰にもわからない。功助たちの予想は最短でも一ヶ月はかかるだろうとみている。
その間功助は臨時隊長として魔法師隊と訓練をすることとなった。
『気をつけええぇぇぇ!」
魔法師隊詰所前の広場。凛としたラナーシア副隊長の声が早朝の天空に響き渡った。
「本日よりシャリーナ・シルフィーヌ隊長が王命により数週間ないし数ヶ月不在となる。その間ここにおられるコースケ・アンドー殿が魔法師隊臨時隊長として着任される。皆も知ってのとおりコースケ殿はあのフェンリルを倒しわが白竜城とともにシオンベール王女様をもお救いくださったお方である。そのコースケ殿が臨時とはいえ我が魔法師隊の隊長として着任されることは比類なき光栄である」
一同を見渡すラナーシア副隊長。
「シャリーナ・シルフィーヌ隊長帰還までのわずかな間だがコースケ隊長とともに日々精進し鍛錬に励むよう期待する」
そして功助に目で呼びかけると数歩横に移動した。功助はそれまでラナーシア副隊長が立っていた場所に進むと全員を見渡した。見習い魔法師を含め全員で約50名。みんながみんな黒いローブを羽織っている。直立不動で気をつけをしているが、驚くことに全員女性だ。
「え、えーと、俺はコースケ・アンドーです。シャリーナ隊長が不在の間だけですが皆さんと一緒に訓練…、鍛錬に励みたいと思います。どうぞよろしくお願いします」
そう挨拶をすると間髪入れずにラナーシア副隊長が一声した。
「敬礼っ!!」
ザッという音とともに全員が右拳を左胸に当てて敬礼をした。それを見た功助も同じように右拳を左胸に当てた。
「それでは鍛錬開始っっ!散会っ!!」
ラナーシア副隊長が支持をすると全員この広場に広がり準備運動をし始めた。
「コースケ隊長。しばらくの間ですがよろしくお願いします」
とラナーシア副隊長は頭を下げた。
「あ、いえ。俺の方こそよろしくお願いしますラナーシアさん」
「コースケ隊長。私のことはラナーシア、もしくはラナーシア副隊長などとお呼びください」
と少し苦笑した。
「あ、はい。ラナーシア副隊長」
功助はたどたどしく返事をした。頭を下げた功助を見て微笑するラナーシア副隊長。
そして二人で鍛錬をしている隊員たちに混ざり運動を始めた。
「お疲れ様でしたコースケ隊長」
魔法師隊の詰所にある隊長室で鍛錬で疲れた身体を椅子に預け冷たい水を飲む。この水も魔法によって冷やされキンキンに冷えた水だ。その冷たさが運動で熱を帯びた身体の隅々にまでうるおいを届けてくれる。
それに加え功助の斜め後ろには専属侍女のミュゼリアが風魔法で清涼な微風を送ってくれている。至れり尽くせりの気配りのできる侍女に感謝する功助。
「ふう、お疲れ様ですラナーシア副隊長」
「隊長初日はいかがでしたか?」
とほほ笑むラナーシア。
「ははは。なんか精神的に疲れました。なんせ女性ばかりでドキドキでしたから。たまに目のやり場に困ることもありましたからね」
「申し訳ありません。女ばかりで鍛錬を続けているので少し羞恥心が乏しく…」
とまた頭を下げるが功助は苦笑し頭を上げてもらうと役得ですよと笑った。
「あのコースケ隊長、ひとつお尋ねしたいことがあるのですが?」
「はい。なんですかラナーシア副隊長」
「シャリーナ隊長から聞いたのですが、シャリーナ隊長がマギシティーの図書島に行くのはコースケ隊長の頼みだと聞いています。さしつかえなければ内容をお聞きしたいのですが?」
「私も知りたいです。コースケ様のことはすべて知っておきたいのですが」
と後ろからミュゼリアも知りたいと言ってきた。
「あ、ああ。そうだな。隠すようなことじゃないから教えてもいいけど、ただしシオンには絶対に内緒にしてもらえますか?」
と二人を見る。
すると間髪入れずにミュゼリアが功助の目の前までくると左胸に右拳を当てた。
「ご安心ください。私はコースケ様のおっしゃる通り絶対に内密にいたします」
「私もお約束いたします」
ラナーシア副隊長も左胸に拳を当てた。
「ありがとう二人とも。シャリーナさんに頼んだのは俺が元の世界に戻る方法についてだ」
そして功助は何を調べて欲しいと頼んだか二人に話した。
「で、ラナーシア副隊長。このあとは俺は何をすればいいですか?」
「そうですね。事務的なことは私がやりますのであとは特にしていただくこともないので今日は上がってください。何かありましたらすぐにご連絡いたしますので。また明日よろしくお願いいたします」
そういうとビシッと敬礼をして扉まで行くとサッとドアを開ける。
「はい。わかりました。ではミュゼ、戻ろうか」
「はい」
ミュゼリアはそういうとラナーシア副隊長に一礼し功助の後に続いて部屋を出た。
功助たちは詰所を出て広場の方を見た。そこには居残りの隊員たちが自主練習をしていた。
’お疲れ様でした!’
と全員が敬礼をする。功助は片手を上げて、
「お疲れさん」
と返すとみんなキャーキャー言って喜んでいた。
自室に戻り国王家族との会食までまだ少し時間があり軽く風呂に入った。さっぱりとして休んでるとミュゼリアがそろそろですと声をかけてきた。
「そうか。んじゃ行こうか」
部屋を出ると二人は専用の食堂に向かった。
しかし、そこには国王と王妃がいるだけだった。一番会いたかったシオンベールの姿がない。功助が少しキョロキョロしてるとルルサ王妃がすまなさそうに口を開いた。
「ごめんなさいねコーちゃん。シオンったら夕食は自室で採るって言ってきてね、ほんとあの子ったら何を考えてるのやら。コーちゃんに喜んでもらえるように頑張ってますなんて言うのよ。どういうことなのかあたしにはわからないけど。ほんとどうしたのかしらね」
「あ、…いえ」
功助は何も言えず下を向くだけだった。
食事は淡々と進み、魔法師隊の臨時隊長はどうだったとか庭園に綺麗な花が咲いたとか。功助にはどうでもいい話題ばかりだった。
そして食事の時間は何事もなく過ぎていきお開きとなった。
自室に戻るとベッドで両手を枕に仰向けになり天井を見つめる。
壁の時計は間もなく22時半になろうかとしていた。
ミュゼリアは21時半を過ぎたころに自室に戻った。今頃はすでに夢の仲かもしれない。この城内の人たちの就寝時間は早い。夜遅くまで起きるということは明かりを使うということ。明かりは魔石を使うが当然魔石に含まれる魔力がなくなれば明かりはつかない。最初に魔力を注いで明かりを灯すがそれは単なるスイッチ替わりのようだ。魔石も安いものじゃないらしいし早く寝てしまうのが節約になるんですよとミュゼリアがいつも言っていた。
もう一度時計を見る。
「22時半ちょうどか…」
再び天井を見て考える。
「見つけられるかな、シャリーナさん。あればいいんだけど、もしなければどうしたらいいんだろ俺…」
そんなことを考えてると知らぬ魔に寝てしまっていた。
そしてまた朝がきた。
次の日の早朝、シャリーナはセントラル・マギシティーに向かった。
国王トパークスにも許可状をすんなりともらえ何事もなく旅立った。
最初は海路で向かうつもりだったようだが、魔法師隊の新入隊員の中にカレットという竜族の少女がいて、その少女の背中に乗っていくことになった。
カレットは濃いグレーの髪に髪と同じような色の瞳の少女だった。少しおっとりとしているように見え、可愛いというより綺麗と言った方が合うような美人だ。
出発の時に初めて功助に会ったカレットは非常に緊張していた。だが、その緊張をほぐすためなのかシャリーナはあたしたちにまっかせなさいとたわわな胸を叩いた。たゆんたゆんと揺れる胸をカレットは目を見開いて凝視しチラッと自分の胸を見ると首をプルプルと振っていた。そしてシャリーナはパチンと功助にウインクすると頑張りましょうねとカレットの背中をペシッと叩いた。緊張のほぐれたカレットは功助にペコリと頭をさげた。
国王に言われていたフログス伯爵の監視はラナーシアがすることになった。しかし治癒術師が24時間体制で診ているのでラナーシアはすることがないのが原情だ。フログス伯爵が覚醒次第連絡はくるようになっているので特に問題はない。
フェンリルと魔族討伐の懸賞金は昨日のうちにバスティーアから受け取ったが大金貨が120枚だった。しかし貨幣価値がわからなく実感はない。
バスティーアによると親子四人の平民の平均は月金貨1~2枚ほどだそうだ。宿屋の経営している食堂での一回の食事代は銀貨1枚。となると食事はたぶん1000円ぐらいだとして、銀貨は1000円。これを他に当てはめると小銅貨は10円、銅貨は100円、銀貨1000円、大銀貨は1万円、金貨は10万円、大金貨は100万円となる。
ということは大金貨120枚は……1億2千万。俺って金持ちだったと功助はポカンと口を開けていた。
シャリーナにはその中から大金貨を50枚渡す。これだけあれば大丈夫だろうとシャリーナも受け取った。
あとは待つだけだと、しかしそれがいつになるかわ誰にもわからない。功助たちの予想は最短でも一ヶ月はかかるだろうとみている。
その間功助は臨時隊長として魔法師隊と訓練をすることとなった。
『気をつけええぇぇぇ!」
魔法師隊詰所前の広場。凛としたラナーシア副隊長の声が早朝の天空に響き渡った。
「本日よりシャリーナ・シルフィーヌ隊長が王命により数週間ないし数ヶ月不在となる。その間ここにおられるコースケ・アンドー殿が魔法師隊臨時隊長として着任される。皆も知ってのとおりコースケ殿はあのフェンリルを倒しわが白竜城とともにシオンベール王女様をもお救いくださったお方である。そのコースケ殿が臨時とはいえ我が魔法師隊の隊長として着任されることは比類なき光栄である」
一同を見渡すラナーシア副隊長。
「シャリーナ・シルフィーヌ隊長帰還までのわずかな間だがコースケ隊長とともに日々精進し鍛錬に励むよう期待する」
そして功助に目で呼びかけると数歩横に移動した。功助はそれまでラナーシア副隊長が立っていた場所に進むと全員を見渡した。見習い魔法師を含め全員で約50名。みんながみんな黒いローブを羽織っている。直立不動で気をつけをしているが、驚くことに全員女性だ。
「え、えーと、俺はコースケ・アンドーです。シャリーナ隊長が不在の間だけですが皆さんと一緒に訓練…、鍛錬に励みたいと思います。どうぞよろしくお願いします」
そう挨拶をすると間髪入れずにラナーシア副隊長が一声した。
「敬礼っ!!」
ザッという音とともに全員が右拳を左胸に当てて敬礼をした。それを見た功助も同じように右拳を左胸に当てた。
「それでは鍛錬開始っっ!散会っ!!」
ラナーシア副隊長が支持をすると全員この広場に広がり準備運動をし始めた。
「コースケ隊長。しばらくの間ですがよろしくお願いします」
とラナーシア副隊長は頭を下げた。
「あ、いえ。俺の方こそよろしくお願いしますラナーシアさん」
「コースケ隊長。私のことはラナーシア、もしくはラナーシア副隊長などとお呼びください」
と少し苦笑した。
「あ、はい。ラナーシア副隊長」
功助はたどたどしく返事をした。頭を下げた功助を見て微笑するラナーシア副隊長。
そして二人で鍛錬をしている隊員たちに混ざり運動を始めた。
「お疲れ様でしたコースケ隊長」
魔法師隊の詰所にある隊長室で鍛錬で疲れた身体を椅子に預け冷たい水を飲む。この水も魔法によって冷やされキンキンに冷えた水だ。その冷たさが運動で熱を帯びた身体の隅々にまでうるおいを届けてくれる。
それに加え功助の斜め後ろには専属侍女のミュゼリアが風魔法で清涼な微風を送ってくれている。至れり尽くせりの気配りのできる侍女に感謝する功助。
「ふう、お疲れ様ですラナーシア副隊長」
「隊長初日はいかがでしたか?」
とほほ笑むラナーシア。
「ははは。なんか精神的に疲れました。なんせ女性ばかりでドキドキでしたから。たまに目のやり場に困ることもありましたからね」
「申し訳ありません。女ばかりで鍛錬を続けているので少し羞恥心が乏しく…」
とまた頭を下げるが功助は苦笑し頭を上げてもらうと役得ですよと笑った。
「あのコースケ隊長、ひとつお尋ねしたいことがあるのですが?」
「はい。なんですかラナーシア副隊長」
「シャリーナ隊長から聞いたのですが、シャリーナ隊長がマギシティーの図書島に行くのはコースケ隊長の頼みだと聞いています。さしつかえなければ内容をお聞きしたいのですが?」
「私も知りたいです。コースケ様のことはすべて知っておきたいのですが」
と後ろからミュゼリアも知りたいと言ってきた。
「あ、ああ。そうだな。隠すようなことじゃないから教えてもいいけど、ただしシオンには絶対に内緒にしてもらえますか?」
と二人を見る。
すると間髪入れずにミュゼリアが功助の目の前までくると左胸に右拳を当てた。
「ご安心ください。私はコースケ様のおっしゃる通り絶対に内密にいたします」
「私もお約束いたします」
ラナーシア副隊長も左胸に拳を当てた。
「ありがとう二人とも。シャリーナさんに頼んだのは俺が元の世界に戻る方法についてだ」
そして功助は何を調べて欲しいと頼んだか二人に話した。
「で、ラナーシア副隊長。このあとは俺は何をすればいいですか?」
「そうですね。事務的なことは私がやりますのであとは特にしていただくこともないので今日は上がってください。何かありましたらすぐにご連絡いたしますので。また明日よろしくお願いいたします」
そういうとビシッと敬礼をして扉まで行くとサッとドアを開ける。
「はい。わかりました。ではミュゼ、戻ろうか」
「はい」
ミュゼリアはそういうとラナーシア副隊長に一礼し功助の後に続いて部屋を出た。
功助たちは詰所を出て広場の方を見た。そこには居残りの隊員たちが自主練習をしていた。
’お疲れ様でした!’
と全員が敬礼をする。功助は片手を上げて、
「お疲れさん」
と返すとみんなキャーキャー言って喜んでいた。
自室に戻り国王家族との会食までまだ少し時間があり軽く風呂に入った。さっぱりとして休んでるとミュゼリアがそろそろですと声をかけてきた。
「そうか。んじゃ行こうか」
部屋を出ると二人は専用の食堂に向かった。
しかし、そこには国王と王妃がいるだけだった。一番会いたかったシオンベールの姿がない。功助が少しキョロキョロしてるとルルサ王妃がすまなさそうに口を開いた。
「ごめんなさいねコーちゃん。シオンったら夕食は自室で採るって言ってきてね、ほんとあの子ったら何を考えてるのやら。コーちゃんに喜んでもらえるように頑張ってますなんて言うのよ。どういうことなのかあたしにはわからないけど。ほんとどうしたのかしらね」
「あ、…いえ」
功助は何も言えず下を向くだけだった。
食事は淡々と進み、魔法師隊の臨時隊長はどうだったとか庭園に綺麗な花が咲いたとか。功助にはどうでもいい話題ばかりだった。
そして食事の時間は何事もなく過ぎていきお開きとなった。
自室に戻るとベッドで両手を枕に仰向けになり天井を見つめる。
壁の時計は間もなく22時半になろうかとしていた。
ミュゼリアは21時半を過ぎたころに自室に戻った。今頃はすでに夢の仲かもしれない。この城内の人たちの就寝時間は早い。夜遅くまで起きるということは明かりを使うということ。明かりは魔石を使うが当然魔石に含まれる魔力がなくなれば明かりはつかない。最初に魔力を注いで明かりを灯すがそれは単なるスイッチ替わりのようだ。魔石も安いものじゃないらしいし早く寝てしまうのが節約になるんですよとミュゼリアがいつも言っていた。
もう一度時計を見る。
「22時半ちょうどか…」
再び天井を見て考える。
「見つけられるかな、シャリーナさん。あればいいんだけど、もしなければどうしたらいいんだろ俺…」
そんなことを考えてると知らぬ魔に寝てしまっていた。
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