34 / 74
第4章 見つけた
01 イリスとモーザ
しおりを挟む
・・・四十七日目・・・
「あのコースケ様」
「ん?」
朝食後、ミュゼリアが何か申し訳なさそうに功助に声をかけてきた。
「あの、急で申し訳ないのですが」
「うん」
「本日の午前中だけでいいのですが、えと今から、あの、少しお休みをいただきたいのですが」
「今から?」
「はい。午後には戻ってきますので申し訳ないのですが」
「うん。いいよ。午前中は魔法師隊の訓練があるから気にしないでいいけど。何か用事?」
「はい。兄上と両親の墓前に婚姻承諾の儀式の報告をしに行きたいのですが」
「それはいい!午前だけと言わず昼からもゆっくりしてきてもいいんだぞミュゼ」
「い、いえ。午前だけで充分です。ありがとうございます」
と頭を下げる。
「そうか。でも俺のことは気にしないでいいんだけどな」
苦笑する功助。
「はい。ありがとうございます。でもやっぱり午前で戻ってきますね」
「ははは。わかったよ。ご両親もハンスさんとミュゼが一緒に行けばきっと喜んでくれるよ。それと俺のこともよろしく言っておいて」
功助はそう言うと微笑んだ。
「はい。わかりました。両親にコースケ様のことよく言っておきますね。黒髪の英雄って」
ミュゼリアはうふふと笑い功助はおいおいと突っ込みを入れた。そして功助は喜んでミュゼリアを送り出した。
ミュゼリアを送り出してすぐに魔法師隊の隊員が二人で功助を迎えにきた…。
「おー、おーっ、おっはようございましゅ隊長っ!おおおお迎えに参りまちたぁ!」
「ちょっとイリス、噛みまくりっ、失礼よっ」
とイリスと呼ばれた少女を肘で突っつくもう一人の少女。
「だ、だって緊張してるんでしゅもにょ私。モーザもでしょ」
「そうだけどさぁ。また噛んだ。って隊長の前よ今」
「あ、ああ。もも申し訳ありません!さ、さあ隊長、訓練に参りまちょ……」
なんか初々しい二人だと苦笑する功助。そしてほんのちょっといじわる心が。
「ところで、二人は誰?迎えに来たって。それに訓練?どこの誰かもわからない人に着いて行こうとは考えないかなあ」
そう言ったとたん二人の顔色が変わった。
「す、すすすみましぇん。わたわたわた私、私、私えとえとえと」
右側の少女。確か左の少女がイリスと呼んでた少女が顔面蒼白だ。
「ああああああのあのあの。わわわ私たちは、えと、あの、先日魔法師隊に配属になった見習いの、えと、あの、私がモーザと申します。それと、こっちがあの。ちょっと、わたわたしてないで自己紹介しなさいよ!」
「えっ、私、私」
と自分を指さしている。
「そうよ。あんたよあんた」
「え、は、はい。あの、私は、魔法師隊にこの前配属になった、あの、みらないの、って噛んだ。えと見習いのイリスと申しまちゅ。ってまた噛んだ」
なんか初々しくて笑ってしまいそうになるのを我慢する功助。我慢しすぎて険しい顔になっていたようで二人の顔がだんだんと強張って今にも泣きだしそうだ。
でもなんとかしようと左側のモーザと呼ばれた少女が必死に話かけてきた。
「あ、あの。ラナーシア副隊長が私たちにコースケ隊長を及びして来いとの命令で、あの、えと、二人でお迎えにやってきた次第でありまして、な、なのであの、ぜひご一緒に訓練に、あの」
口をパクパクし続く言葉が出ないようだ。ちょっといじわるしすぎたかと口を開こうとした時。右側のイリスが頑張った。そう頑張った。
「コ、コ、コースケ隊長。くくくく訓練に、に、に、に、行くでござる」
「うっ、うくく。あはは、あはははは」
功助はついに笑い出してしまった。
「「へ?」」
目を真ん丸にして驚き、そしてみるみる蒼白になる魔法師隊の少女二人。
「あわあわあわあわ」
「どどどどどうしよどうしよ」
少女二人は互いの手を取り合ってブルブル震えていた。
功助の方を見てどうやら震えてるようだ。これはまずい。もしかして怖がられてるのかと二人を見る功助。
「え、えと、迎に来てくれてありがとう。さあ一緒に訓練に行こうか。えーとイリスとモーザ、だったかな」
功助はなるべくさわやかに、明るく、笑顔でそう言った。
「は…」
「へ…」
「……えと、あのさ。ご、ごめん。怖がらせるつもりじゃなかったんだけど。ほんとごめん。いたずらが過ぎた。大丈夫二人とも」
と二人の顔を覗き込んだ。すると見習い魔法師の少女はへなへなと床に座り込んでしまった。
二人は互いに目を合わせると小声で何か話している。
「イリス、やさしそうな人じゃないの隊長は。誰よとても怖い人だって言ったの。あんた?」
「ち、違う違うよぉ。副隊長よラナーシア副隊長。無礼なことをしたら消されるぞって。で、それにさっき顔を顰めてたよ隊長」
「そ、そう言えばそうよね。で、でも今は笑ってるわよ」
「そ、そうらね。ほんとは優しい人なんだよきっと。で、でもあの魔族を倒したんだよね。微笑みながら楽しそうに倒したって聞いたよ私」
「そ、そうなの?でも私は高笑いをしてたって聞いたけど…」
「そ、そうなの。で、でもでもでも。ど、どうしよう。私たち不敬罪で首が飛ぶかも。ど、どうしようモーザ。私死にたくないよぉ」
ラナーシア副隊長が何やら吹き込んだようだ。困ったもんだと功助は眉をへの字に下げた。
「な、なあ二人とも。小声で話してるつもりだろうけど、こんなに近いんだから丸聞こえだぞ」
功助は苦笑しながら突っ込んだが、二人は聞かれてるとは思わなかったのだろう。ビクッと跳ねると二人は抱き合って功助の方を見た。
「「す、すみませんすみませんすみませんすみません、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!お許しをお許しをお許しをお許しを!!」」
ブルブルと震えだした。
「あちゃあ。どないしよ」
功助は頭をかくと天を仰いだ。
それから二人をなだめるのがちょっと大変だった。でも、ドアを開けてたのが幸いしたようだ。
なんとシオンベールが偶然にも功助の部屋の前を通った。
すみませんすみませんと連呼している黒ローブを着た少女が功助に頭を下げているのが不思議だったようだ。それに功助も困ったような顔をしていたのがわかったのだろう。声をかけてきた。
「どうしたのですかコースケ様?」
「あっ、シオン。いいとこに来てくれた」
功助はホッとした声を出した。
「はい?」
と小首を傾げるシオンベール。
「「へ?」」
魔法師隊の見習い二人は、急に後ろから聞こえた声に思わず振り向きそして見上げた。その先には、ほんのりと輝くプラチナブロンドの髪の高貴なオーラを放つ美少女がいた。魔法師隊見習いの二人は声もなくその美少女に見とれた。
「き、綺麗…」
「う、うん。綺麗…。で誰?」
するとシオンベールの後ろから副侍女長のライラが鋭いまなざしで二人の見習い魔法師を見た。
「あなたたち無礼ですよ。シオンベール王女様の御膳です。控えなさい」
「「へ…?!おおおお王女様ぁぁぁぁぁ!!」」
二人はあわててシオンベールから少し離れると膝立ちをして両手を胸の前で組み頭を下げた。
「すすすすみましぇん。わたわたわた私、わたち、あのれすね…」
「申し訳ございませんシオンベール王女様。どどどうかぶぶぶ無礼をお許しください」
二人は深く深く頭を下げる。もう床に付きそうなくらいに。
「そんなに頭を下げなくてもよいのですよ。それでコースケ様これはいったい?」
「あ、ああ。実は…」
功助はどうしてこうなったかのいきさつを話した。
「ふう。コースケ様。いたずらが過ぎます」
とあきれるシオンベール。
「いや、面目ない」
「それからあなたたち」
いまだに臣下の礼をとっている二人に声をかける。
「「は、はいっ!」」
二人の前まで歩いてくると見上げている少女二人にやさしく微笑んだ。そして二人と目線を合わせるためにしゃがむシオンベール。
「姫様。そのようなことせずとも良いのでは」
とライラが言うがシオンベールはいいのですよと微笑む。
「お二人に行っておきますが、コースケ様はとても素敵なお方です。恐ろしいだなんてことは決してありません。とてもお優しく、強く、とても立派なお方です。この白竜城の皆がお慕いしているお方なのです。そのようなお方が危害を与えるだなんてことは絶対にありません。よろしいですか?」
「「は、はいっ!申し訳ございません」」
と頭を下げる見習い魔法師。
「わかっていただければそれでよいのです」
と微笑んだ。
「それでコースケ様。これから訓練ですか?」
「あ、ああ。もともとこの二人が魔法師隊の訓練に俺を迎えにきてくれたんだ。あの、二人とも、申し訳ない」
功助が軽く頭を下げて謝罪すると、やはり二人ともあたふたしていた。
「い、行こうか。な」
功助は二人に声をかける。
「「はい!」」
と元気よく、でもちょっとぎこちない返事をした。
「ところでシオン。どこかに行く途中だったんじゃないのか?」
「はい。ちょっと図書室へ。返却する本がありまして。それと借りたい本も」
「そうか。助けてくれてありがとう。気をつけて行っといで」
「はい。コースケ様もご無理なさらないよう」
シオンベールは功助の目を見て微笑んだ。
「う、うん。それじゃ二人とも、行こうか」
功助はシオンベールとライラに見送られ魔法師隊見習いの二人のあとに着いていった。
「ほんともう大変でしたよラナーシア副隊長」
「ふふふ。そうでしたか。それは災難でしたねコースケ隊長」
魔法師隊控室で功助はラナーシア副隊長にさっきの出来事を話した。
「俺に無礼をすると消されるってラナーシア副隊長が言ってたってあの二人言ってましたけど。変なこと吹き込まないでくださいよぉ」
「うふふふ。申し訳ない。しかしあの二人、コースケ隊長の噂も知らないとは。ちょっと常法収集が無さすぎですね。それに人を見る目もまだまだで」
そしてあとで締めないととつぶやくラナーシア副隊長。微かに笑っていた。
午前の訓練を終えラナーシア副隊長といくつかのことを話し合い功助は自室に戻ろうと控室を出た。
「午後は十四時からです。よろしくお願いいたします」
後ろからラナーシア副隊長の声をききながら外に出ると見習いたちがいた。
「ラナーシア副隊長は見習いを十人ほど採ったって言ってたな」
午後からはこの魔法師隊見習いたちの訓練をするということだったが見習いたちは自主的に訓練をしているようだった。
さっきのイリスとモーザも隅の方で赤髪と茶髪の少女四人とで魔法の練習をしている。その他にも魔法の練習や体術の訓練をしている少女たちを見て微笑む。
「なかなか自主的でいいな」
功助がそんなことを思いながら見ているとやはりというかイリスとモーザがいち早く功助がいることに気付いたようだ。
とてとてと走ってきた。そうタタッとかザザッという効果音ではなく’とてとて’という効果音がピッタリな足音だと功助は苦笑する。
「お疲れ様です。コースケ隊長」
モーザがぎこちないが笑顔だ。
「おちゅかれ様です。コーシュケ隊長」
やはりイリスはイリスだ。
「ちょっとイリス。隊長の名前噛んでどうするの!」
「あっ、すみません。あの、コースケ隊長」
「あ、ああ。お疲れ。自主訓練してたの?」
「「はい」」
と今度は元気よく返事した。
ふと視線を感じ周りを見ると功助がこの二人と話しているのが不思議だったのかみんなちらちらと見ていた。
「そうか。まずは練習あるのみだから」
「「はいっ!」」
周りからはなんとも言えない視線を感じる。功助はわざと周囲を大きく見渡す。
「見習いの隊員たち。昼食を採ったら十四時からみんなの訓練があるから。お昼をちゃんと食べて訓練に備えるように」
「はいっ!」
全員が気お付けをして一斉に返事をした。
功助は大きく頷く。
「では午後に。お疲れ」
「お疲れ様でした」
また一斉に返事が返ってきた。
功助はそれじゃと手を振り自室に戻った。
自室に戻りシャワーを浴びてからタオルを首にかけたままソファーに座った。
コンコンコン。
ドアを叩く音がした。
「ミュゼリアです。只今もどりました」
「あ、お帰り。開いてるよ」
「はい。失礼します」
ミュゼリアがドアを開けて入ってきた。
「コースケ様。午前中はありがとうございました。兄上と両親の墓前に婚約承諾の儀式の報告ができました」
ペコッと頭を下げてとてもうれしそうだ。
「そうか。それはよかった。俺のことも伝えといてくれた?」
功助が微笑みながら言うとミュゼリアもうれしそうに微笑む。
「はい。とても素敵なお方の専属侍女として仕えられて幸せだと報告してきました」
「そっか。ありがとう。ははは」
「えへへ」
二人で笑い合った。
「あっ、そうそうコースケ様。お昼まだですよね。申し訳ございません。すぐに用意いたしますのでほんの少しお待ちください」
そう言うとあわてて部屋から出て行った。
バタバタバタ
ドスン!
あいたっ!
「あっ、もしかして」
功助はあわててドアを開けて廊下を見ると、やはりミュゼリアがお尻をさすっていた。
「あっ!」
後ろを振り向くミュゼリア。
「あはっ。あははは。ちょっと待っててくださいねぇ!あはは」
あわてて立つとまたバタバタ走って行った。
「ほんと、あわてんぼだな。あははは」
「ごちそうさま」
「はい。では食後のお茶をどうぞ」
テーブルの上の食器をかたづけると慣れた動作で香りのいい紅茶を淹れるミュゼリア。
功助はカップを持ち香りを楽しむと一口飲む。そしてふうと息をついた。
「ふう。ミュゼの入れてくれるお茶はいつもおいしいな」
「ありがとうございます」
とうれしそうなミュゼリア。
「さあミュゼ。今度はミュゼがお昼ご飯食べといで」
「はい。それでは失礼いたします」
ミュゼリアはそういうと控室に下がった。壁の時計を見ると十二時四十五分だった。
功助は紅茶を飲みながらボーっと窓の外に広がる青空を見ていた。
「34日たったのか」
窓の外を見ていた目を壁のカレンダーに移すとため息をつく功助。
「まだ見つからないのかなシャリーナさん」
そう呟いてると控室からミュゼが出てきた。
「えっ、もう食べたのかミュゼ」
「え、はい。そうですが」
「早くないか?」
「そうですか。でももう15分くらいは立ってますが」
と不思議そうにミュゼリア。
「えっ、そうなの?」
功助は壁のカレンダーの上にある時計を見た。
「あれ?もう十三時過ぎ?どれだけボーッとしてたんだ俺は。ダメだなこりゃ」
と頭をかく。
「どうしたんですかコースケ様?」
「あ、いや何、ついボーッとしてただけっていう話」
功助は苦笑すると気にしないでくれと言う。
「はあ、はい。わかりました。では食器を片付けてきます」
ミュゼリアはそう言うとワゴンを押して部屋を出て行った。
「あのコースケ様」
「ん?」
朝食後、ミュゼリアが何か申し訳なさそうに功助に声をかけてきた。
「あの、急で申し訳ないのですが」
「うん」
「本日の午前中だけでいいのですが、えと今から、あの、少しお休みをいただきたいのですが」
「今から?」
「はい。午後には戻ってきますので申し訳ないのですが」
「うん。いいよ。午前中は魔法師隊の訓練があるから気にしないでいいけど。何か用事?」
「はい。兄上と両親の墓前に婚姻承諾の儀式の報告をしに行きたいのですが」
「それはいい!午前だけと言わず昼からもゆっくりしてきてもいいんだぞミュゼ」
「い、いえ。午前だけで充分です。ありがとうございます」
と頭を下げる。
「そうか。でも俺のことは気にしないでいいんだけどな」
苦笑する功助。
「はい。ありがとうございます。でもやっぱり午前で戻ってきますね」
「ははは。わかったよ。ご両親もハンスさんとミュゼが一緒に行けばきっと喜んでくれるよ。それと俺のこともよろしく言っておいて」
功助はそう言うと微笑んだ。
「はい。わかりました。両親にコースケ様のことよく言っておきますね。黒髪の英雄って」
ミュゼリアはうふふと笑い功助はおいおいと突っ込みを入れた。そして功助は喜んでミュゼリアを送り出した。
ミュゼリアを送り出してすぐに魔法師隊の隊員が二人で功助を迎えにきた…。
「おー、おーっ、おっはようございましゅ隊長っ!おおおお迎えに参りまちたぁ!」
「ちょっとイリス、噛みまくりっ、失礼よっ」
とイリスと呼ばれた少女を肘で突っつくもう一人の少女。
「だ、だって緊張してるんでしゅもにょ私。モーザもでしょ」
「そうだけどさぁ。また噛んだ。って隊長の前よ今」
「あ、ああ。もも申し訳ありません!さ、さあ隊長、訓練に参りまちょ……」
なんか初々しい二人だと苦笑する功助。そしてほんのちょっといじわる心が。
「ところで、二人は誰?迎えに来たって。それに訓練?どこの誰かもわからない人に着いて行こうとは考えないかなあ」
そう言ったとたん二人の顔色が変わった。
「す、すすすみましぇん。わたわたわた私、私、私えとえとえと」
右側の少女。確か左の少女がイリスと呼んでた少女が顔面蒼白だ。
「ああああああのあのあの。わわわ私たちは、えと、あの、先日魔法師隊に配属になった見習いの、えと、あの、私がモーザと申します。それと、こっちがあの。ちょっと、わたわたしてないで自己紹介しなさいよ!」
「えっ、私、私」
と自分を指さしている。
「そうよ。あんたよあんた」
「え、は、はい。あの、私は、魔法師隊にこの前配属になった、あの、みらないの、って噛んだ。えと見習いのイリスと申しまちゅ。ってまた噛んだ」
なんか初々しくて笑ってしまいそうになるのを我慢する功助。我慢しすぎて険しい顔になっていたようで二人の顔がだんだんと強張って今にも泣きだしそうだ。
でもなんとかしようと左側のモーザと呼ばれた少女が必死に話かけてきた。
「あ、あの。ラナーシア副隊長が私たちにコースケ隊長を及びして来いとの命令で、あの、えと、二人でお迎えにやってきた次第でありまして、な、なのであの、ぜひご一緒に訓練に、あの」
口をパクパクし続く言葉が出ないようだ。ちょっといじわるしすぎたかと口を開こうとした時。右側のイリスが頑張った。そう頑張った。
「コ、コ、コースケ隊長。くくくく訓練に、に、に、に、行くでござる」
「うっ、うくく。あはは、あはははは」
功助はついに笑い出してしまった。
「「へ?」」
目を真ん丸にして驚き、そしてみるみる蒼白になる魔法師隊の少女二人。
「あわあわあわあわ」
「どどどどどうしよどうしよ」
少女二人は互いの手を取り合ってブルブル震えていた。
功助の方を見てどうやら震えてるようだ。これはまずい。もしかして怖がられてるのかと二人を見る功助。
「え、えと、迎に来てくれてありがとう。さあ一緒に訓練に行こうか。えーとイリスとモーザ、だったかな」
功助はなるべくさわやかに、明るく、笑顔でそう言った。
「は…」
「へ…」
「……えと、あのさ。ご、ごめん。怖がらせるつもりじゃなかったんだけど。ほんとごめん。いたずらが過ぎた。大丈夫二人とも」
と二人の顔を覗き込んだ。すると見習い魔法師の少女はへなへなと床に座り込んでしまった。
二人は互いに目を合わせると小声で何か話している。
「イリス、やさしそうな人じゃないの隊長は。誰よとても怖い人だって言ったの。あんた?」
「ち、違う違うよぉ。副隊長よラナーシア副隊長。無礼なことをしたら消されるぞって。で、それにさっき顔を顰めてたよ隊長」
「そ、そう言えばそうよね。で、でも今は笑ってるわよ」
「そ、そうらね。ほんとは優しい人なんだよきっと。で、でもあの魔族を倒したんだよね。微笑みながら楽しそうに倒したって聞いたよ私」
「そ、そうなの?でも私は高笑いをしてたって聞いたけど…」
「そ、そうなの。で、でもでもでも。ど、どうしよう。私たち不敬罪で首が飛ぶかも。ど、どうしようモーザ。私死にたくないよぉ」
ラナーシア副隊長が何やら吹き込んだようだ。困ったもんだと功助は眉をへの字に下げた。
「な、なあ二人とも。小声で話してるつもりだろうけど、こんなに近いんだから丸聞こえだぞ」
功助は苦笑しながら突っ込んだが、二人は聞かれてるとは思わなかったのだろう。ビクッと跳ねると二人は抱き合って功助の方を見た。
「「す、すみませんすみませんすみませんすみません、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!お許しをお許しをお許しをお許しを!!」」
ブルブルと震えだした。
「あちゃあ。どないしよ」
功助は頭をかくと天を仰いだ。
それから二人をなだめるのがちょっと大変だった。でも、ドアを開けてたのが幸いしたようだ。
なんとシオンベールが偶然にも功助の部屋の前を通った。
すみませんすみませんと連呼している黒ローブを着た少女が功助に頭を下げているのが不思議だったようだ。それに功助も困ったような顔をしていたのがわかったのだろう。声をかけてきた。
「どうしたのですかコースケ様?」
「あっ、シオン。いいとこに来てくれた」
功助はホッとした声を出した。
「はい?」
と小首を傾げるシオンベール。
「「へ?」」
魔法師隊の見習い二人は、急に後ろから聞こえた声に思わず振り向きそして見上げた。その先には、ほんのりと輝くプラチナブロンドの髪の高貴なオーラを放つ美少女がいた。魔法師隊見習いの二人は声もなくその美少女に見とれた。
「き、綺麗…」
「う、うん。綺麗…。で誰?」
するとシオンベールの後ろから副侍女長のライラが鋭いまなざしで二人の見習い魔法師を見た。
「あなたたち無礼ですよ。シオンベール王女様の御膳です。控えなさい」
「「へ…?!おおおお王女様ぁぁぁぁぁ!!」」
二人はあわててシオンベールから少し離れると膝立ちをして両手を胸の前で組み頭を下げた。
「すすすすみましぇん。わたわたわた私、わたち、あのれすね…」
「申し訳ございませんシオンベール王女様。どどどうかぶぶぶ無礼をお許しください」
二人は深く深く頭を下げる。もう床に付きそうなくらいに。
「そんなに頭を下げなくてもよいのですよ。それでコースケ様これはいったい?」
「あ、ああ。実は…」
功助はどうしてこうなったかのいきさつを話した。
「ふう。コースケ様。いたずらが過ぎます」
とあきれるシオンベール。
「いや、面目ない」
「それからあなたたち」
いまだに臣下の礼をとっている二人に声をかける。
「「は、はいっ!」」
二人の前まで歩いてくると見上げている少女二人にやさしく微笑んだ。そして二人と目線を合わせるためにしゃがむシオンベール。
「姫様。そのようなことせずとも良いのでは」
とライラが言うがシオンベールはいいのですよと微笑む。
「お二人に行っておきますが、コースケ様はとても素敵なお方です。恐ろしいだなんてことは決してありません。とてもお優しく、強く、とても立派なお方です。この白竜城の皆がお慕いしているお方なのです。そのようなお方が危害を与えるだなんてことは絶対にありません。よろしいですか?」
「「は、はいっ!申し訳ございません」」
と頭を下げる見習い魔法師。
「わかっていただければそれでよいのです」
と微笑んだ。
「それでコースケ様。これから訓練ですか?」
「あ、ああ。もともとこの二人が魔法師隊の訓練に俺を迎えにきてくれたんだ。あの、二人とも、申し訳ない」
功助が軽く頭を下げて謝罪すると、やはり二人ともあたふたしていた。
「い、行こうか。な」
功助は二人に声をかける。
「「はい!」」
と元気よく、でもちょっとぎこちない返事をした。
「ところでシオン。どこかに行く途中だったんじゃないのか?」
「はい。ちょっと図書室へ。返却する本がありまして。それと借りたい本も」
「そうか。助けてくれてありがとう。気をつけて行っといで」
「はい。コースケ様もご無理なさらないよう」
シオンベールは功助の目を見て微笑んだ。
「う、うん。それじゃ二人とも、行こうか」
功助はシオンベールとライラに見送られ魔法師隊見習いの二人のあとに着いていった。
「ほんともう大変でしたよラナーシア副隊長」
「ふふふ。そうでしたか。それは災難でしたねコースケ隊長」
魔法師隊控室で功助はラナーシア副隊長にさっきの出来事を話した。
「俺に無礼をすると消されるってラナーシア副隊長が言ってたってあの二人言ってましたけど。変なこと吹き込まないでくださいよぉ」
「うふふふ。申し訳ない。しかしあの二人、コースケ隊長の噂も知らないとは。ちょっと常法収集が無さすぎですね。それに人を見る目もまだまだで」
そしてあとで締めないととつぶやくラナーシア副隊長。微かに笑っていた。
午前の訓練を終えラナーシア副隊長といくつかのことを話し合い功助は自室に戻ろうと控室を出た。
「午後は十四時からです。よろしくお願いいたします」
後ろからラナーシア副隊長の声をききながら外に出ると見習いたちがいた。
「ラナーシア副隊長は見習いを十人ほど採ったって言ってたな」
午後からはこの魔法師隊見習いたちの訓練をするということだったが見習いたちは自主的に訓練をしているようだった。
さっきのイリスとモーザも隅の方で赤髪と茶髪の少女四人とで魔法の練習をしている。その他にも魔法の練習や体術の訓練をしている少女たちを見て微笑む。
「なかなか自主的でいいな」
功助がそんなことを思いながら見ているとやはりというかイリスとモーザがいち早く功助がいることに気付いたようだ。
とてとてと走ってきた。そうタタッとかザザッという効果音ではなく’とてとて’という効果音がピッタリな足音だと功助は苦笑する。
「お疲れ様です。コースケ隊長」
モーザがぎこちないが笑顔だ。
「おちゅかれ様です。コーシュケ隊長」
やはりイリスはイリスだ。
「ちょっとイリス。隊長の名前噛んでどうするの!」
「あっ、すみません。あの、コースケ隊長」
「あ、ああ。お疲れ。自主訓練してたの?」
「「はい」」
と今度は元気よく返事した。
ふと視線を感じ周りを見ると功助がこの二人と話しているのが不思議だったのかみんなちらちらと見ていた。
「そうか。まずは練習あるのみだから」
「「はいっ!」」
周りからはなんとも言えない視線を感じる。功助はわざと周囲を大きく見渡す。
「見習いの隊員たち。昼食を採ったら十四時からみんなの訓練があるから。お昼をちゃんと食べて訓練に備えるように」
「はいっ!」
全員が気お付けをして一斉に返事をした。
功助は大きく頷く。
「では午後に。お疲れ」
「お疲れ様でした」
また一斉に返事が返ってきた。
功助はそれじゃと手を振り自室に戻った。
自室に戻りシャワーを浴びてからタオルを首にかけたままソファーに座った。
コンコンコン。
ドアを叩く音がした。
「ミュゼリアです。只今もどりました」
「あ、お帰り。開いてるよ」
「はい。失礼します」
ミュゼリアがドアを開けて入ってきた。
「コースケ様。午前中はありがとうございました。兄上と両親の墓前に婚約承諾の儀式の報告ができました」
ペコッと頭を下げてとてもうれしそうだ。
「そうか。それはよかった。俺のことも伝えといてくれた?」
功助が微笑みながら言うとミュゼリアもうれしそうに微笑む。
「はい。とても素敵なお方の専属侍女として仕えられて幸せだと報告してきました」
「そっか。ありがとう。ははは」
「えへへ」
二人で笑い合った。
「あっ、そうそうコースケ様。お昼まだですよね。申し訳ございません。すぐに用意いたしますのでほんの少しお待ちください」
そう言うとあわてて部屋から出て行った。
バタバタバタ
ドスン!
あいたっ!
「あっ、もしかして」
功助はあわててドアを開けて廊下を見ると、やはりミュゼリアがお尻をさすっていた。
「あっ!」
後ろを振り向くミュゼリア。
「あはっ。あははは。ちょっと待っててくださいねぇ!あはは」
あわてて立つとまたバタバタ走って行った。
「ほんと、あわてんぼだな。あははは」
「ごちそうさま」
「はい。では食後のお茶をどうぞ」
テーブルの上の食器をかたづけると慣れた動作で香りのいい紅茶を淹れるミュゼリア。
功助はカップを持ち香りを楽しむと一口飲む。そしてふうと息をついた。
「ふう。ミュゼの入れてくれるお茶はいつもおいしいな」
「ありがとうございます」
とうれしそうなミュゼリア。
「さあミュゼ。今度はミュゼがお昼ご飯食べといで」
「はい。それでは失礼いたします」
ミュゼリアはそういうと控室に下がった。壁の時計を見ると十二時四十五分だった。
功助は紅茶を飲みながらボーっと窓の外に広がる青空を見ていた。
「34日たったのか」
窓の外を見ていた目を壁のカレンダーに移すとため息をつく功助。
「まだ見つからないのかなシャリーナさん」
そう呟いてると控室からミュゼが出てきた。
「えっ、もう食べたのかミュゼ」
「え、はい。そうですが」
「早くないか?」
「そうですか。でももう15分くらいは立ってますが」
と不思議そうにミュゼリア。
「えっ、そうなの?」
功助は壁のカレンダーの上にある時計を見た。
「あれ?もう十三時過ぎ?どれだけボーッとしてたんだ俺は。ダメだなこりゃ」
と頭をかく。
「どうしたんですかコースケ様?」
「あ、いや何、ついボーッとしてただけっていう話」
功助は苦笑すると気にしないでくれと言う。
「はあ、はい。わかりました。では食器を片付けてきます」
ミュゼリアはそう言うとワゴンを押して部屋を出て行った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
【完結】うだつが上がらない底辺冒険者だったオッサンは命を燃やして強くなる
邪代夜叉(ヤシロヤシャ)
ファンタジー
まだ遅くない。
オッサンにだって、未来がある。
底辺から這い上がる冒険譚?!
辺鄙の小さな村に生まれた少年トーマは、幼い頃にゴブリン退治で村に訪れていた冒険者に憧れ、いつか自らも偉大な冒険者となることを誓い、十五歳で村を飛び出した。
しかし現実は厳しかった。
十数年の時は流れてオッサンとなり、その間、大きな成果を残せず“とんまのトーマ”と不名誉なあだ名を陰で囁かれ、やがて採取や配達といった雑用依頼ばかりこなす、うだつの上がらない底辺冒険者生活を続けていた。
そんなある日、荷車の護衛の依頼を受けたトーマは――
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる