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それからは早かった。志郎は魔王軍を率いてアースラッガ城に戦を仕掛けた。だがそれは一方的だった。
チートな力を存分に発揮する志郎。魔王軍は己が持つ魔力を解放し次々と城の兵士を叩きのめしていったのだった。
「さあ、おとなしく降参しろ」
突き出した拳を聖なる光で輝かせる志郎が目の前でガタガタと震えている召喚師長を睨む。
アースラッガの王を含む王族はすでに召喚師長が命を奪っていた。召喚師長はこの世界の魔王との契約を結び生ける屍として王族を意のままに動かしウートラアイ国をわがものとしていた。そしてなんと魔王との契約は毎月何人かの人族を生贄として捧げることだった。
だがこの世界ではない魔族が自分を邪魔しようとしている。召喚師長は別の世界からきた魔王を倒すために志郎を召喚したのだった。
「だ、誰が降参なんかするものか!そそそ、それよりお前は私たちが召喚した勇者だろう!ならば私たちの言うことさえ聞いておればいいのだ。今からでも間に合う!私の言うことを聞いて魔族を滅ぼすのだ!さ、さもないとこの娘の命は無いぞ!」
召喚師長はその震える短剣の切っ先を真っ青な顔のイネリアの首元に向けた。
「ひぃっ!」
一層顔を青くするイネリア。
「ふん!そんなことしてみろ。その瞬間お前は髪の毛一本残さずこの世から蒸発させてやる。それでもいいならやってみろ!」
志郎の身体からとてつもない量の魔力が迸った。
「ひ、ひぃっ!ななななんて魔力量なのだ。バ、バケモノめっ!」
召喚師長は驚きとともになんとイネリアに向けていた短剣を志郎に向けたのだった。
「あ、うわあああああ!」
なぜか絶叫する召喚師長。それもそのはずなんと召喚師長が短剣を持っていた右腕が赤いカーペットの上にゴトンと落ちたのだから。
「どうだ、まいったか!」
召喚師長の腕を切ったのはなんと志郎の知り合いのあの魔族だった。指先から出した極細の透明な糸でその腕を切り落としたのだった。
「お、おう、よくやったなお前、!」
志郎はうれしそうに友人魔族を見る。
「えへへへへ。俺もたまにはいいとこ見せたいですしね」
と苦笑する。
「シロー様!」
召喚師長が苦痛にもがいている隙にその腕から逃れたイネリアは志郎に飛びついたのだった。
「おっと。大丈夫かイネリア」
「は、はい。ありがとうございました」
とうれしそうだ。それを見た友人魔族。
「ヤツの腕切ったの俺なんだけどなあ……」
「あっ、すみません。たすけていただいてありがとうございました」
イネリアは魔族に向かい頭を下げた。
「あ、いや、あははは。無事でよかったよかった」
と少しなごんでいると召喚師長が復活した。
「くそっ!くそっ!くそくそくそくそくそくそくそくそ!許さぬ、お前ら全員許さぬ!覚悟しろ!うぎゃわあああああああ!」
「何をする気だ!」
身構える志郎たち。
召喚師長は懐から黒い球を取り出すと志郎目がけてそれを投げた。
パシッ!
「なんだこれは」
思わず受け止める志郎。それを覗き込んだイネリアの顔が蒼白になった。
「シシシシシロー様!それ、それは、それは!」
「これがなんだ?イネリア」
とその黒い球を見ると真ん中からひびが入りそして二つに割れた。
「うわっ、気持ち悪ぅ!」
その中からはうねうねと不気味に動く黒い何かが出てきた。
「シロー様!それはなんでも溶かして吸収してしまうスライムです!早く手を離してください。でないとシロー様の身体が吸収されてしまいます!」
「ふーん。そうなんだ」
と言いながら志郎はそのスライムを指でつまんで持ち上げた。
「シロー様!そんなことしてないで早く……」
「あわてるなイネリア。浄化してみよう」
志郎が指先に魔力を注ぐとその指先が浄化の色のクリーム色に輝いた。
するとその垂れ下がったスライムの先端から細い煙が出たかと思えば次いで小さな火花が出てきた
チリチリパチパチ!
「おおっ、綺麗な火花が散ってるなこのスライム。まるで線香花火だな、ははは」
「……はあ、綺麗です……けど……」
イネリアも不思議そうにチリチリパチパチと火花をだして煙をあげて小さくなってきているスライムを見る。
「な、なぜだ!なぜスライムが燃える!そのスライムは巨大な大陸も溶かしてしまうようなとてつもないスライムなんだぞ!それを召喚するのに何人の魂を使ったと思ってる!どれだけの金を使ったと思ってる!ふざけるな!そんな簡単に燃えるスライムじゃないんだぞおおおお!」
右腕からボタボタと血を流しながら絶叫する召喚師。
「お前人の命でこんなものを召喚してきたのか。ほんと下種だなお前。でも残念だったな。見ての通りこのスライムはよく燃えてるぞ。と言ってる間にほら、消えたぞ」
スライムは影も形も無くなっていた。
「うぎゃあああ!貴様ぁぁぁぁ!うががががががぁぁぁぁぁ!」
召喚師長は泡を吹いて倒れ、そして息絶えた。
「おーい、魔王のじいさーん!悪の根源を倒したぞーう!……っていうか、興奮しすぎてショック死したみたいだけどな」
後方で待機していた魔王はビスカとジオラを伴いトコトコと歩いてきた。
「ご無事ですかなシローさん、イネリアさんもおケガはないでしょうか?」
「ああ、なんともないぞ」
「はい。大丈夫です」
と志郎とイネリア。
「それにしても……」
と魔王。
「死しても卑しい顔をしていますね。……キュウさん、これを処分しておいてください」
「はい」
と志郎の友人魔族が前に出た。
「へっ、お前キュウって名前だったのか?」
「はい。そうですが……。もしかして知りませんでした」
と悲しそうなキュウ。
「ははは。すまない。知らなかったぞお前の名前。おいとかお前とかで事足りてたからなあ」
「そうですか……。俺はキュウベエって言うんです。覚えといてくださいねシローさん」
まだ寂しそうなキュウベエ。
「うふふ、ほんっとキュウちゃんはうっかりですねえ」
とビスカ。
「あたしもしばらく名前知りませんでしたよ。ふふふ」
ジオラも笑う。
「ははは。お前存在感ないんじゃないか」
「はあ……」
うなだれるキュウベエだった。
「ところでイネリア」
「はい」
事 切れてる召喚師長を見つめていたイネリア。
「お前これからどうする?」
「……これから……ですか……」
国のためにと一緒に働いていた召喚師長が悪の根源だったことをショックに思うイネリア。
「……まだよくわかりません……」
悲しそうに目を伏せた。
「「だーいじょうぶよ~!」」
と二人の女性がイネリアの両肩にそれぞれが手を置いた。
「私もおんなじだったよ」
「はい。あたしもです」
ビスカとジオラはイネリアに自分たちのことを話しした。
「イネリアさんのことはあのお二人に任せておきましょう。きっとよい答えをだすでしょう」
と魔王は三人の女性に優し気な眼差しを向けた。
そして七日……。
「世話になったな」
帰還魔法陣の真ん中に立った志郎は魔王や魔族、それに召喚師のビスカ、ジオラ、イネリアに分かれの挨拶をする。
「ふぉっふぉっふぉっ、世話になったのはワシらの方ですよシローさん」
と笑う魔王。
「シロー様、ありがとうございました。私、ビスカさんとジオラさんの許で召喚師として修行を続けます。そして魔王様とともにいろいろな世界に行き約に立ってみせます」
と拳を握り決意をより一層強くした。
「がんばれよイネリア。お前ならできると信じてるぞ。それとビスカもジオラも元気でな。魔王のじいさん、またな。あっ、そうそうキュウちゃんも元気でな」
そしてビスカとジオラの二人が同時に魔法陣に最終の魔力を注ぐ。
「帰還魔法陣発動!」
「じゃあな」
その言葉を残し志郎は魔法陣から吹きあがった白い光に包まれてこの世界から元の世界に戻っていった。
まぶしさで目を閉じていた志郎が目を開くと目の前には見慣れてきた襖があった。
「ふう」
一つ息を吐くとポスポスと襖をノックするとスーッと開けた。
「あっ、お帰り。お疲れ様」
ターシァがテーブルの向こうから笑顔で出迎えた。
「おう、ただいま。……って、今日はちゃんと服着てるんだな」
「そうよ。どう?」
ターシァは顔をほころばせるとその場で立つとくるっと一回転。少しヒラヒラが多いがあまり派手ではない清楚な白いワンピース。そのスカートのすそがふわっと持ち上がった。
「へえ、いいじゃないか」
志郎も笑顔でターシァの向かい側に座った。
「ちゃんと下着もつけてるのよ」
と言ってスカートのすそを持ち上げて白い下着を見せた。
「へえ、ピンクのリボンが可愛いな、…ってスカートめくるなボケ!」
「あはは。ごめんごめん」
ターシァはスカートから手を離すとその場に座った。
「ほんとにもう」
と腕組みをする志郎。
「ところでなあターシァ」
「なあに?」
「次からはさ、ちゃんと魔法陣の上に送ってくれよな。違うとこに送られたらけっこう大変なんだぞ」
「ふふ、はは、あはははははははは。そ、そうよね、うんうん、わかるわかる」
何故か笑い転げるターシァ。
「おいこらエロボケ女神!笑ってる場合か!」
「あははは、ごめんごめん。そ、そうよねえ、一回目も二回目もかなーり離れたとこに転送しちゃったもんね。まあ、アクシデントだけどさ」
「ふん!そうだぞ。一度目はくしゃみで二度目は文字の読み違いだし。まあ、今回は城の中だったけど魔法陣からは離れてたし」
「そうだったわね。でも今回はけっこういい目に合ったでしょ。たくさんの女の子の裸に囲まれてさ。けっこう喜んでたんじゃない」
「うっせぇ。ほんと死ぬかと思ったぞ。……まあ、否定はしないけど」
後半はぼそぼそつぶやく志郎。
「ふふふ。ごめんなさいね。次からはちゃんと魔法陣の上に転送するからさ」
「ああ。そうしてくれ……って、ほんとはあまり召喚してほしくないんだけど」
「へ?そうなの……。でも志郎さ、あたしこの部屋で志郎のことこのテレビでよく見てたけど、志郎、異世界でなんか楽しそうにやってたように見えたけど」
。と今はついてない異世界を見られるテレビをチラッと見た。
「そうなんだ、ここで見てたのか……。まあ、確かに楽しかったけどさ」
「ならいいじゃない。また召喚するからさ」
「いや、でもな……」
「まあまあ、気にしない気にしない。ということでまた召喚するからね。そしてまたこうやってお話しましょうよ、ね」
「は、はあ」
うれしそうなターシァの顔を見たらまあいいかと志郎は苦笑するのだった。
それからターシァが手作りの食事をしていってというので志郎はお相伴に預かった。
一緒に異世界のテレビを見て、そしてそろそろ元の世界に還る時間になった。
「ありがとうターシァ。それじゃ俺そろそろ還るよ」
「……うん。それじゃ。志郎、元気でね」
「ああ」
「うん」
志郎が襖に手をかけたがターシァの方を見ると言った。
「召喚がなくてもたまにはここに呼んでくれていいぞ」
と微笑んだ。
「え……。う、うん」
はにかむターシァ。
「それじゃあなターシァ」
「うん。元気でね」
うれしそうなターシァの笑顔に見送られ志郎は襖をあけた。
チートな力を存分に発揮する志郎。魔王軍は己が持つ魔力を解放し次々と城の兵士を叩きのめしていったのだった。
「さあ、おとなしく降参しろ」
突き出した拳を聖なる光で輝かせる志郎が目の前でガタガタと震えている召喚師長を睨む。
アースラッガの王を含む王族はすでに召喚師長が命を奪っていた。召喚師長はこの世界の魔王との契約を結び生ける屍として王族を意のままに動かしウートラアイ国をわがものとしていた。そしてなんと魔王との契約は毎月何人かの人族を生贄として捧げることだった。
だがこの世界ではない魔族が自分を邪魔しようとしている。召喚師長は別の世界からきた魔王を倒すために志郎を召喚したのだった。
「だ、誰が降参なんかするものか!そそそ、それよりお前は私たちが召喚した勇者だろう!ならば私たちの言うことさえ聞いておればいいのだ。今からでも間に合う!私の言うことを聞いて魔族を滅ぼすのだ!さ、さもないとこの娘の命は無いぞ!」
召喚師長はその震える短剣の切っ先を真っ青な顔のイネリアの首元に向けた。
「ひぃっ!」
一層顔を青くするイネリア。
「ふん!そんなことしてみろ。その瞬間お前は髪の毛一本残さずこの世から蒸発させてやる。それでもいいならやってみろ!」
志郎の身体からとてつもない量の魔力が迸った。
「ひ、ひぃっ!ななななんて魔力量なのだ。バ、バケモノめっ!」
召喚師長は驚きとともになんとイネリアに向けていた短剣を志郎に向けたのだった。
「あ、うわあああああ!」
なぜか絶叫する召喚師長。それもそのはずなんと召喚師長が短剣を持っていた右腕が赤いカーペットの上にゴトンと落ちたのだから。
「どうだ、まいったか!」
召喚師長の腕を切ったのはなんと志郎の知り合いのあの魔族だった。指先から出した極細の透明な糸でその腕を切り落としたのだった。
「お、おう、よくやったなお前、!」
志郎はうれしそうに友人魔族を見る。
「えへへへへ。俺もたまにはいいとこ見せたいですしね」
と苦笑する。
「シロー様!」
召喚師長が苦痛にもがいている隙にその腕から逃れたイネリアは志郎に飛びついたのだった。
「おっと。大丈夫かイネリア」
「は、はい。ありがとうございました」
とうれしそうだ。それを見た友人魔族。
「ヤツの腕切ったの俺なんだけどなあ……」
「あっ、すみません。たすけていただいてありがとうございました」
イネリアは魔族に向かい頭を下げた。
「あ、いや、あははは。無事でよかったよかった」
と少しなごんでいると召喚師長が復活した。
「くそっ!くそっ!くそくそくそくそくそくそくそくそ!許さぬ、お前ら全員許さぬ!覚悟しろ!うぎゃわあああああああ!」
「何をする気だ!」
身構える志郎たち。
召喚師長は懐から黒い球を取り出すと志郎目がけてそれを投げた。
パシッ!
「なんだこれは」
思わず受け止める志郎。それを覗き込んだイネリアの顔が蒼白になった。
「シシシシシロー様!それ、それは、それは!」
「これがなんだ?イネリア」
とその黒い球を見ると真ん中からひびが入りそして二つに割れた。
「うわっ、気持ち悪ぅ!」
その中からはうねうねと不気味に動く黒い何かが出てきた。
「シロー様!それはなんでも溶かして吸収してしまうスライムです!早く手を離してください。でないとシロー様の身体が吸収されてしまいます!」
「ふーん。そうなんだ」
と言いながら志郎はそのスライムを指でつまんで持ち上げた。
「シロー様!そんなことしてないで早く……」
「あわてるなイネリア。浄化してみよう」
志郎が指先に魔力を注ぐとその指先が浄化の色のクリーム色に輝いた。
するとその垂れ下がったスライムの先端から細い煙が出たかと思えば次いで小さな火花が出てきた
チリチリパチパチ!
「おおっ、綺麗な火花が散ってるなこのスライム。まるで線香花火だな、ははは」
「……はあ、綺麗です……けど……」
イネリアも不思議そうにチリチリパチパチと火花をだして煙をあげて小さくなってきているスライムを見る。
「な、なぜだ!なぜスライムが燃える!そのスライムは巨大な大陸も溶かしてしまうようなとてつもないスライムなんだぞ!それを召喚するのに何人の魂を使ったと思ってる!どれだけの金を使ったと思ってる!ふざけるな!そんな簡単に燃えるスライムじゃないんだぞおおおお!」
右腕からボタボタと血を流しながら絶叫する召喚師。
「お前人の命でこんなものを召喚してきたのか。ほんと下種だなお前。でも残念だったな。見ての通りこのスライムはよく燃えてるぞ。と言ってる間にほら、消えたぞ」
スライムは影も形も無くなっていた。
「うぎゃあああ!貴様ぁぁぁぁ!うががががががぁぁぁぁぁ!」
召喚師長は泡を吹いて倒れ、そして息絶えた。
「おーい、魔王のじいさーん!悪の根源を倒したぞーう!……っていうか、興奮しすぎてショック死したみたいだけどな」
後方で待機していた魔王はビスカとジオラを伴いトコトコと歩いてきた。
「ご無事ですかなシローさん、イネリアさんもおケガはないでしょうか?」
「ああ、なんともないぞ」
「はい。大丈夫です」
と志郎とイネリア。
「それにしても……」
と魔王。
「死しても卑しい顔をしていますね。……キュウさん、これを処分しておいてください」
「はい」
と志郎の友人魔族が前に出た。
「へっ、お前キュウって名前だったのか?」
「はい。そうですが……。もしかして知りませんでした」
と悲しそうなキュウ。
「ははは。すまない。知らなかったぞお前の名前。おいとかお前とかで事足りてたからなあ」
「そうですか……。俺はキュウベエって言うんです。覚えといてくださいねシローさん」
まだ寂しそうなキュウベエ。
「うふふ、ほんっとキュウちゃんはうっかりですねえ」
とビスカ。
「あたしもしばらく名前知りませんでしたよ。ふふふ」
ジオラも笑う。
「ははは。お前存在感ないんじゃないか」
「はあ……」
うなだれるキュウベエだった。
「ところでイネリア」
「はい」
事 切れてる召喚師長を見つめていたイネリア。
「お前これからどうする?」
「……これから……ですか……」
国のためにと一緒に働いていた召喚師長が悪の根源だったことをショックに思うイネリア。
「……まだよくわかりません……」
悲しそうに目を伏せた。
「「だーいじょうぶよ~!」」
と二人の女性がイネリアの両肩にそれぞれが手を置いた。
「私もおんなじだったよ」
「はい。あたしもです」
ビスカとジオラはイネリアに自分たちのことを話しした。
「イネリアさんのことはあのお二人に任せておきましょう。きっとよい答えをだすでしょう」
と魔王は三人の女性に優し気な眼差しを向けた。
そして七日……。
「世話になったな」
帰還魔法陣の真ん中に立った志郎は魔王や魔族、それに召喚師のビスカ、ジオラ、イネリアに分かれの挨拶をする。
「ふぉっふぉっふぉっ、世話になったのはワシらの方ですよシローさん」
と笑う魔王。
「シロー様、ありがとうございました。私、ビスカさんとジオラさんの許で召喚師として修行を続けます。そして魔王様とともにいろいろな世界に行き約に立ってみせます」
と拳を握り決意をより一層強くした。
「がんばれよイネリア。お前ならできると信じてるぞ。それとビスカもジオラも元気でな。魔王のじいさん、またな。あっ、そうそうキュウちゃんも元気でな」
そしてビスカとジオラの二人が同時に魔法陣に最終の魔力を注ぐ。
「帰還魔法陣発動!」
「じゃあな」
その言葉を残し志郎は魔法陣から吹きあがった白い光に包まれてこの世界から元の世界に戻っていった。
まぶしさで目を閉じていた志郎が目を開くと目の前には見慣れてきた襖があった。
「ふう」
一つ息を吐くとポスポスと襖をノックするとスーッと開けた。
「あっ、お帰り。お疲れ様」
ターシァがテーブルの向こうから笑顔で出迎えた。
「おう、ただいま。……って、今日はちゃんと服着てるんだな」
「そうよ。どう?」
ターシァは顔をほころばせるとその場で立つとくるっと一回転。少しヒラヒラが多いがあまり派手ではない清楚な白いワンピース。そのスカートのすそがふわっと持ち上がった。
「へえ、いいじゃないか」
志郎も笑顔でターシァの向かい側に座った。
「ちゃんと下着もつけてるのよ」
と言ってスカートのすそを持ち上げて白い下着を見せた。
「へえ、ピンクのリボンが可愛いな、…ってスカートめくるなボケ!」
「あはは。ごめんごめん」
ターシァはスカートから手を離すとその場に座った。
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と腕組みをする志郎。
「ところでなあターシァ」
「なあに?」
「次からはさ、ちゃんと魔法陣の上に送ってくれよな。違うとこに送られたらけっこう大変なんだぞ」
「ふふ、はは、あはははははははは。そ、そうよね、うんうん、わかるわかる」
何故か笑い転げるターシァ。
「おいこらエロボケ女神!笑ってる場合か!」
「あははは、ごめんごめん。そ、そうよねえ、一回目も二回目もかなーり離れたとこに転送しちゃったもんね。まあ、アクシデントだけどさ」
「ふん!そうだぞ。一度目はくしゃみで二度目は文字の読み違いだし。まあ、今回は城の中だったけど魔法陣からは離れてたし」
「そうだったわね。でも今回はけっこういい目に合ったでしょ。たくさんの女の子の裸に囲まれてさ。けっこう喜んでたんじゃない」
「うっせぇ。ほんと死ぬかと思ったぞ。……まあ、否定はしないけど」
後半はぼそぼそつぶやく志郎。
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「いや、でもな……」
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それからターシァが手作りの食事をしていってというので志郎はお相伴に預かった。
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「……うん。それじゃ。志郎、元気でね」
「ああ」
「うん」
志郎が襖に手をかけたがターシァの方を見ると言った。
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と微笑んだ。
「え……。う、うん」
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