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12 アホ面になってるよ
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ファイの治療を終え治療院兼住居に戻る途中。
「おい、ガンマじゃねえか。久しぶりだな。半年ぶりぐらいか」
「ん?誰だ?……おお、お前か、久しぶりだな」
コツコツカッと小さな音をさせて路地から出てきた男がガンマに駆け寄るとその左肩を叩きながらうれしそうにする。ガンマも知り合いなのだろうその男と楽しそうに話をした。
「どうしてたんだガンマ。あれから姿が見えなくなっちまってたしよ、心配してたんだぜ俺たち」
「はは。すまん。ちょっと他の町で冒険者してたんでな」
「いつ戻ってきたんだ?」
「ああ、5日ほど前だ。魔獣に肩をやられちまってな」
「おいおい、大丈夫なのか?」
と言うとガンマの両肩を交互に見る。
「ああ、もうすっかり治った。この治癒術師の先生にすっかり直してもらったんだ」
と言うと康人に顔を向けた。
「そうだったのか。ってその人、目が?」
「ああ。盲目だ。だが腕は一流だぜ」
とニヤリとする。
「ガンマ?」
ガンマを見上げる康人。
「こいつはタウ。俺とは以前一緒に冒険者パーティー組んでた男っす」
「そうなんだ。俺は康人、マッサージ師してる。よろしく」
「おうよろしくな先生」
握手する二人。
「で、こんなとこでどうしたんだ?誰かの治療か?……ってファイか?」
「あ、そうだ。ヤッさんに治療してもらって今から治療院に送っていくとこだ」
「そっかそっか。で、ファイの具合はどうだった?彼女かなり悪かったからな。冒険者も今は休んでるし」
「ああ。このヤッさんにかなりよくしてもらったぞ。近いうちに冒険者に復帰できるかもな」
「そうか!それはよかった。で、ガンマ、お前は今どうしてるんだ?」
「俺は今はピンで冒険者復帰したとこだ。病み上がりだし街中の雑用から始めてる」
「おお。それは重畳じゃねえか」
とうれしそうだ。
「(この音……)」
タウが動く旅にコツコツと音がすることに康人はもしかしてとタウの方を見る。
「タウはどうなんだ?」
「あははは。見ての通りだ。ファイとおんなじ時にやられた右足がこんなだからな。まあ、冒険者は続けてるが街の周囲で薬草採り専門で女房と細々と暮らしてる」
「そうか」
とタウの右足を見るガンマ。
「足?足が悪いのか?」
と康人。
「そうなんだぜ先生。ファイは背骨やられて、俺は左足首から先をつぶされて、今じゃ義足だ」
「義足……。やっぱり」
さっきからタウが動く旅にコツコツと音がしていたが、義足と杖の音だったようだと康人は納得する。
「もしかして義足ってのは棒状のか?」
「おう、そうだぜ先生、ただの棒なんだ。だから土の地面だとめりこんでしまってよ、腰が痛ぇんだ」
「そうだろうな。かなり腰や右足に負担かかってるだろうと思う」
「この足がなあ……」
と右の義足の棒を石畳の上にコツコツと突く。それを見ていたガンマ。
「ヤッさん、右足をどうにか……」
「いや、さすがにつぶれて義足になったのは治らんぞ」
と苦笑する康人。
「ま、まあそうっすね」
とガンマも頭をかく。
「でも、そのせいで負担がかかってる右足とか腰とかが張ってるだろうし、それくらいなら対応できるかな」
とタウの方に顔を向ける。
「そうだぜ先生。肩も腰も凝って凝って、右足も右腕も痛いしよ」
「まあ、それくらいならマッサージすればかなり楽になるとは思うけど」
ということで、二人はタウの自宅に行くこととなった。
カタコトと杖を突いて歩くタウの足音を康人はずっと気にしている。
「(両手に杖持ってるのはわかる。義足替わりの足の棒の音もわかる。けど、バランスが悪い気がする。歩く時の衣すれの音もおかしいし……。これはたぶん……)」
小さくうなづくと康人はタウに声をかける。
「あの、タウさん」
「ん?なんだい先生。俺のことはタウでいいぞ」
「そうか。なら、タウ、ちょっとタウの歩き方を見せてもらえるか?」
「歩き方?いいけど、どうやって見るんだ?先生は目が見えねえんだろ」
「あ、うん。歩いてるときにちょっと腰の辺りを触らせてくれればわかると思う」
「ふーん。ま、いいけど」
と少し怪訝に思うが何か考えがあるのだろうと了承した。
ガンマの腕を離しタウの腰あたりに掌を広げて当てた康人は「歩いてみて」と言うと一緒に歩き出した。
カタコトと歩くタウの歩調はやはり身体を大きく左右に揺らしていた。
「やっぱり」
と言うとタウに尋ねる。
「杖の突き方とか歩き方は誰かに習ったかな?」
「いんや。杖も俺が作ったし歩き方も勝手に歩いてるだけだ。まあ、さすがに足の棒は治癒院の先生に付けてもらったけどな」
「そうか。ちょっと立ち止まってくれる?」
「あ、ああ」
と立ち止まったタウの杖の状態を見る康人。
「やっぱり。杖の長さが全然合ってないし持ち手の場所も合ってない」
「そうなのか?それならどんなのがいいんだ先生」
「タウが今持ってるのは松葉杖っていうんだけど、少し長い。それに握り手が少し上になってる」
康人は杖の長さと握りての場所、そして持ち方を指導する。
「わかったぜ先生。家に帰ったら調節してみるよ。ありがと先生」
「いや、気にしないでくれ。ちゃんと調節すればもっと歩きやすくなると思う」
「そうだな。俺もそう思うよ。ほんとありがとう先生」
タウは康人の手を握り感謝した。
その後5分ほど歩くとタウの家に到着した。
「さ、入ってくれ。狭いけど我慢してくれ」
タウの自宅はスラムのすぐ近くだった。
「おう、帰ったぞ」
「お帰り。あら?お客さんかい?」
エプロンで手を拭きながら玄関に出迎えたタウの妻がガンマと康人を見てニコリとする。
「おや、ガンマじゃないかい。久しぶりだね。元気だったかい?」
「おう、久しぶりだな。ゼターも元気そうじゃねえか」
「あたしゃいつも元気だよ。で、そちらのお方は?」
ガンマの横に立つ康人をチラッと見るゼター。
「この人はマッサージの先生なんだそうだ。今ファイの治療の帰りなんだとさ」
とタウが康人を紹介する。
「あらそうかい。マッサージの先生なのかい。あたしゃゼター、タウの妻さ。よろしくね先生」
ゼターは康人の前まで行くと軽く頭を下げる。
「あ、俺は康人です。よろしくお願いします」
と言うと康人も軽く頭を下げる。
「それで先生、ファイの具合はどうだった?」
「うん。かなり悪かったけど、たぶん近いうちに冒険者に復帰できるんじゃないかなと思う」
「そうかい!それはうれしいね。ありがとね先生!」
と言うとタウは康人の手を白杖ごと握った。
「ファイちゃんも喜んでくれててよかったです」
ニコリとする康人。
「それで?」
とこんどゼターはタウの方を見る。
「そこでばったり二人と会ってな、俺の身体のことを話したらマッサージしてくれるって言ってくれてよ」
「そうなんだ。それはよかったねタウ」
とゼターもうれしそうだ。
「それじゃこんなとこで話してたら失礼さね。さ、先生、狭いとこだけど入っておくれよ。さ、ガンマもついでに」
「俺はついでかよ」
と苦笑するガンマ。
中に入るとさっそくとばかりにタウを寝台に横にさせると触診を始める康人。
「それじゃまずは仰向けで」
タウに仰向けになってもらうと両足を診る。やはり義足の棒をつけた右足の負担となっている左足はパンパンに張っていた。
「やっぱり左足にかなり負担がかかってるみたいで筋肉の張りが強いな。そして右足だけど、あまり使ってないみたいだな。少し筋肉がやせている。もっと運動をしてなるべく筋肉がやせないようにしないと」
「そうなんだ」
と触診している康人を見るタウ。
「少しマッサージします」
「うへぇ、気持ちいいな」
と気持ちよさそうな声をあげるタウ。
「そうだろ。ヤッさんのマッサージは絶品だからな」
と腕組みをしてどや顔のガンマ。
「なんでガンマがどや顔なんだい?」
ゼターがくすくす笑いながらガンマの背中を叩く。
「いや、ガンマのいうとおりだ。先生の施術は最高だぜ」
と笑うタウ。
「はは。みんなちょっと褒めすぎ」
と照れる康人。
「先生、けっこうかわいいとこあるんだね」
とまたも笑うゼター。
「おいおい」
頭をかく康人。
「さ、今度はうつ伏せになって」
康人は両下肢のマッサージを終えると今度はタウをうつ伏せにさせる。そして背部から腰臀部にかけて触診しながら施術する。
「こりゃかなり堅いな。やっぱり歩行のバランスがかなり悪いみたいだ。腰もかなり張ってるし」
「そうなんだ。うっ、そ、そこっ、痛いけど気持ちいい」
とタウは眉間を寄せるが口はだらしなく開いていた。
「それじゃ最後に座ってください。肩を施術します」
タウをベッドの端で座位にさせると頸部から肩上部を施術していった。
「うわあ。いいぞ!こりゃたまらん!」
目じりを下げ口を開けたままのタウの顔を見てゼターがケラケラ笑う。
「タ、タウ!あ、あんた、アホ面になってるよ。わはははは!」
「確かに。アホ面のまぬけ面だぞタウ。ガハハハハ!」
ガンマはタウを指さして爆笑する。
「仕方ねえだろうが!ほんとに気持ちいいんだからよ!ガンマもたぶんこの気持ちよさ知ってるんだろ?!」
「ははは、すまんすまん。俺もヤッさんのマッサージの気持ちよさはよく知ってるぜ。でも、今のお前みたいにはなってねえよ、たぶん」
「ははは、たぶんかい」 と隣で笑っているゼターがツッコミを入れる。
「はは、たぶんなたぶん」
「そりゃ今の俺と一緒だって言ってるのと同じだぞ」
とタウも笑った。
「はい。それじゃこれで終わります」
タウの両肩をポンと叩くと康人は治療が終わったことを言う。
「すまなかったな先生。わざわざ来てもらって治療してくれて。ありがとな」
「いえいえ。それより松葉杖の調節してくださいね」
「わかってるって先生。おいゼター、先生に治療費を」
「あいよ、えーと」
「。かなり凝ってたんで40分施術したんで銅貨2枚で」
「 ゼターは康人に銅貨を2枚手渡す。
「おいガンマ」
「なんだタウ」
「お前ここで飯食っていかねえか?よければ先生もどうです?」
「俺はいいけど」
と康人をチラッと見るガンマ。
「悪いけど俺は遠慮させてもらうかな。ガンマはよばれてくれ」
「いいんっすか?」
「ああ、いいぞ」
「わかったっす、それじゃタウ食わせてもらうけど、ちょっと待っててくれ。ヤッさんを家まで送るから」
「そうか、わかった。それじゃ送っていってあげてくれ。でも先生いつかは着てくれよな」
「ああ。よろしく」
康人は再びガンマの太い腕につかまり治療院への帰路に就いた。
「おーい、ヤッさん!ガンマ!」
「ん?この声はリュウトか?」
立ち止まった康人とガンマは声のする方を見ると手を軽く振りながらリュウトが歩いてくるのが見えた。
「リュウトの兄貴っすねヤッさん」
とガンマ。
「おうヤッさん、ガンマと出かけてたのか?」
「ああ。ガンマの知り合いの出張マッサージだ」
「そうなんすよ、俺の知り合いの治療をしてきたんっす」
「そうなのか。お疲れさん」
「あ、うん、ありがとう」
康人の横に並ぶと三人で治療院への帰途に着く。
「ヤッさーん!」
すると今度は女性の声がした。
「シーちゃん?」
「そうっす、シーディアの姐御さんっすよ。仕事帰りですかね」
とガンマ。
「たぶんな。お帰りシーちゃん」
「ただいま」
「俺もいるよヤッさん」
「うん、ビルもお帰り」
「うん」
とビル。
「ヤッさん、それにリュウトとガンマ、三人でどこ行ってたの?」
とシーディアが康人の横に来て尋ねた。
「リュウトとは今会ったとこだよ。それまでガンマの知り合いを二人ほど出張で治療してきたんだ」
「そうだったのね。お疲れヤッさん」
「ありがと。で、そっちは冒険者の仕事はうまくいったのか?」
「うん。初心に帰って薬草採取の依頼を受けてきたの。まあ、ついでにヘルハウンドがいたから討伐したよ」
「そうだったのか、お疲れさん」
ヘルハウンドってなんだっけと心の中で首を傾げたのは秘密にしておいた康人。
「それからリュウトは今日何してたの?」
「俺か?俺はグラマスと例の相談。それからギルドの受付のユキカっていただろ?白い髪の雪女の」
とそれを聞いて「えっ」となる康人。
「な、なあリュウト、ユキちゃんって雪女だったのか?」
「へ?あ、うん、そうだぞ雪女だ。まあ、声だけじゃわからんよな。見た目は白い髪に白い肌、色素の薄い目で雪女ってすぐわかる容姿してるんだ」
「そうだったのか。それならもしかして氷魔法とか得意だったりするのか?」
「うーん、たぶんそうだと思うぞ」
「へえ、そうなんだ」
今度見せてもらおうと思う康人だった。
「それでリュウト、その娘がどうしたの?」
とシーディア。
「あ、うん。ヤッさんの治療院でバイトすることになったんだ」
「バイト?」
「ああ。グラマスのごり押しだけどな。ヤッさんを手伝ってやれってさ」
と肩をすくめるリュウト。
「ふふ。まあ、いいんじゃない」
とシーディアも苦笑した。
5人でたわいのない話をしていると前方でなにやらもめているのが見えた。
「なんだ?」
「さあ、何かしらね」
リュウトとシーディアがいぶかしむ。
「なんかケンカでもしてるみてぇだな」
とガンマ。
「そうだなケンカだぞ。でも、なんか変だ」
とビル。
「ケンカか、どうする?迂回するのか?」
と康人は少し不安そうだ。
「それもいいが……。ん?」
とリュウトはケンカをしている二人を見つめると違和感に気づいた。
「あいつら、笑いながら殴り合いしてるぞ」
「はい?」
四人が不思議そうにリュウトを見る。
ケンカしている二人をよく観察すると、両者とも突っ立ったまま拳だけを相手の顔目掛け殴り続けている。そして二人ともどこを見ているのかわからない目をし、ヘラヘラと笑いながら殴り合いをしているのだった。
「シーディア、お前は兵士を捜してここに連れてきてくれ」
「わかった。で、リュウトたちは?」
「俺とビルであの二人を拘束する。ガンマ」」
「オッス」
「お前はヤッさんを頼む」
「了解っす」
「それじゃ行くぞビル」
「おう!」
シーディアは兵士を捜しにどこかへ走っていき、リュウトとビルはケンカのようなものをしている二人の男に向かっていった。
「変なことがあるもんだな」
「そうっすね」
康人とガンマは道の端に寄りリュウトとビルがケンカの二人を拘束するのを待った。
「(もしかすると……)」
康人はガンマに気づかれないように目に意識を向けて炎心眼を発動させた。
「(やっぱりな……)」
二人の男の魂の炎は赤黒い火に覆われていた。だがこれまで見た赤黒い火とは少し違った。今のあの二人の魂の炎を覆っている赤黒い火は少し薄く見えたのだ。そして青白い魂の炎を覆っている範囲もすこし狭く見えたのだった。
「(ん?あれは……)」
康人はケンカをしている男たちとそれを拘束しようとしているリュウトたちの後ろの方に何かがあるのが見えた。なんだろうと炎心眼に意識を集中すると全身に冷や汗が染み出してきたのに気づいた。
「(な、なんだあれは……。魂の炎……、で、でも……)」
その火は勢いよく燃えていた。だがその炎は赤黒い火だった。通常魂の火は青白く燃えているようにみえるのだが、今見えている火は黒い火なのだ。
「(ど、どういうことなんだ?……。赤黒い火があんなに激しく燃えているなんて……)」
今見えている炎も おそらくは魂の火なのだろうが、赤黒く勢いよく燃え上がっていた。
康人はその奇妙な魂の火を見ながらガンマに尋ねる。
「なあ、ガンマ。あのケンカしてる二人とリュウトたちの向こう側には何があるんだ?」
「はい?向こう側っすか?向こう側はT字路になってて壁があるだけっすよ。どしたんっすか?」
「壁……か……」
「そうっすけど?何かあったんっすか?」
「あ、いや、えと、も、もしも誰かがいて四人の邪魔になったりとばっちりを受けたらだめだなあって、はは」
「そうっすか。でも大丈夫っすよ向こう側には誰もいないっすから。でもヤッさんは心配性っすね」
と小さく笑うガンマ。
「あは、ははは」
頭をかく康人。そして黒い火の方を見た。
「(あ、あれ?どこ行った?)」
さっきまで見えていた赤黒く燃えていた魂の火はかき消えていたのだった。
「ふう……」
袖で額の汗を拭った康人はガンマに悟られないように小さく息を吐いたのだった。
それから約10分後。シーディアが連れてきた兵士がリュウトとビルが拘束した二人の男を連れて行った。
その時、康人たち5人がその場を離れるその光景を離れたところからじっと見ている者がいた。
「ふふふ」
それは呟くように笑うと背を向け何処かへとゆっくりと歩いて行った。
自宅兼治療院に戻るとガンマは康人にもう一度礼を言うとタウの家に戻っていった。
4人で家の中に入るとリュウトが康人に尋ねてきた。
「あのさヤッさん、もしかしてと思うが、さっきのケンカしてた二人……」
「ああ、そうだ。あの二人、赤黒い火が青白い命の炎を覆っていた」
「やっぱりな。あの二人の目、正気じゃなかったからな」
眉間を寄せるリュウト。
「最近あんな人ばっかりよね。この町、どうしちゃったんだろ?」
悲しげなシーディア。
「グラマスも途方に暮れてたもんな」
とビルも険しい顔。
「そうだな。早く解決できればいいな。それと……」
と見えない目で宙を見つめていた康人は三人に顔を向けた。
「リュウトたちが捕り物してる時のT字路の突き当りの向こう側に勢いよく燃えてる赤黒い火が見えたんだ」
「赤黒い火?」
「勢いよく燃えてるのって青白い炎じゃないの?」
リュウトが不思議がりシーディアが尋ねてきた。
「ああ、命の炎は普通は青白い炎だ。でもあの火は赤黒かった……」
康人は袖で額を拭う。
「それってどういうことなんだ?」
とビル。
「わからん。わからんが確かにあの赤黒い火は魂の炎だった。ほんの少しよそ見をしてる間に消えたけどな」
「ヤッさんに気づいたのかしら?」
「さあな。……なんだったんだろうな……」
康人はもう一度額を袖で拭った。
「おい、ガンマじゃねえか。久しぶりだな。半年ぶりぐらいか」
「ん?誰だ?……おお、お前か、久しぶりだな」
コツコツカッと小さな音をさせて路地から出てきた男がガンマに駆け寄るとその左肩を叩きながらうれしそうにする。ガンマも知り合いなのだろうその男と楽しそうに話をした。
「どうしてたんだガンマ。あれから姿が見えなくなっちまってたしよ、心配してたんだぜ俺たち」
「はは。すまん。ちょっと他の町で冒険者してたんでな」
「いつ戻ってきたんだ?」
「ああ、5日ほど前だ。魔獣に肩をやられちまってな」
「おいおい、大丈夫なのか?」
と言うとガンマの両肩を交互に見る。
「ああ、もうすっかり治った。この治癒術師の先生にすっかり直してもらったんだ」
と言うと康人に顔を向けた。
「そうだったのか。ってその人、目が?」
「ああ。盲目だ。だが腕は一流だぜ」
とニヤリとする。
「ガンマ?」
ガンマを見上げる康人。
「こいつはタウ。俺とは以前一緒に冒険者パーティー組んでた男っす」
「そうなんだ。俺は康人、マッサージ師してる。よろしく」
「おうよろしくな先生」
握手する二人。
「で、こんなとこでどうしたんだ?誰かの治療か?……ってファイか?」
「あ、そうだ。ヤッさんに治療してもらって今から治療院に送っていくとこだ」
「そっかそっか。で、ファイの具合はどうだった?彼女かなり悪かったからな。冒険者も今は休んでるし」
「ああ。このヤッさんにかなりよくしてもらったぞ。近いうちに冒険者に復帰できるかもな」
「そうか!それはよかった。で、ガンマ、お前は今どうしてるんだ?」
「俺は今はピンで冒険者復帰したとこだ。病み上がりだし街中の雑用から始めてる」
「おお。それは重畳じゃねえか」
とうれしそうだ。
「(この音……)」
タウが動く旅にコツコツと音がすることに康人はもしかしてとタウの方を見る。
「タウはどうなんだ?」
「あははは。見ての通りだ。ファイとおんなじ時にやられた右足がこんなだからな。まあ、冒険者は続けてるが街の周囲で薬草採り専門で女房と細々と暮らしてる」
「そうか」
とタウの右足を見るガンマ。
「足?足が悪いのか?」
と康人。
「そうなんだぜ先生。ファイは背骨やられて、俺は左足首から先をつぶされて、今じゃ義足だ」
「義足……。やっぱり」
さっきからタウが動く旅にコツコツと音がしていたが、義足と杖の音だったようだと康人は納得する。
「もしかして義足ってのは棒状のか?」
「おう、そうだぜ先生、ただの棒なんだ。だから土の地面だとめりこんでしまってよ、腰が痛ぇんだ」
「そうだろうな。かなり腰や右足に負担かかってるだろうと思う」
「この足がなあ……」
と右の義足の棒を石畳の上にコツコツと突く。それを見ていたガンマ。
「ヤッさん、右足をどうにか……」
「いや、さすがにつぶれて義足になったのは治らんぞ」
と苦笑する康人。
「ま、まあそうっすね」
とガンマも頭をかく。
「でも、そのせいで負担がかかってる右足とか腰とかが張ってるだろうし、それくらいなら対応できるかな」
とタウの方に顔を向ける。
「そうだぜ先生。肩も腰も凝って凝って、右足も右腕も痛いしよ」
「まあ、それくらいならマッサージすればかなり楽になるとは思うけど」
ということで、二人はタウの自宅に行くこととなった。
カタコトと杖を突いて歩くタウの足音を康人はずっと気にしている。
「(両手に杖持ってるのはわかる。義足替わりの足の棒の音もわかる。けど、バランスが悪い気がする。歩く時の衣すれの音もおかしいし……。これはたぶん……)」
小さくうなづくと康人はタウに声をかける。
「あの、タウさん」
「ん?なんだい先生。俺のことはタウでいいぞ」
「そうか。なら、タウ、ちょっとタウの歩き方を見せてもらえるか?」
「歩き方?いいけど、どうやって見るんだ?先生は目が見えねえんだろ」
「あ、うん。歩いてるときにちょっと腰の辺りを触らせてくれればわかると思う」
「ふーん。ま、いいけど」
と少し怪訝に思うが何か考えがあるのだろうと了承した。
ガンマの腕を離しタウの腰あたりに掌を広げて当てた康人は「歩いてみて」と言うと一緒に歩き出した。
カタコトと歩くタウの歩調はやはり身体を大きく左右に揺らしていた。
「やっぱり」
と言うとタウに尋ねる。
「杖の突き方とか歩き方は誰かに習ったかな?」
「いんや。杖も俺が作ったし歩き方も勝手に歩いてるだけだ。まあ、さすがに足の棒は治癒院の先生に付けてもらったけどな」
「そうか。ちょっと立ち止まってくれる?」
「あ、ああ」
と立ち止まったタウの杖の状態を見る康人。
「やっぱり。杖の長さが全然合ってないし持ち手の場所も合ってない」
「そうなのか?それならどんなのがいいんだ先生」
「タウが今持ってるのは松葉杖っていうんだけど、少し長い。それに握り手が少し上になってる」
康人は杖の長さと握りての場所、そして持ち方を指導する。
「わかったぜ先生。家に帰ったら調節してみるよ。ありがと先生」
「いや、気にしないでくれ。ちゃんと調節すればもっと歩きやすくなると思う」
「そうだな。俺もそう思うよ。ほんとありがとう先生」
タウは康人の手を握り感謝した。
その後5分ほど歩くとタウの家に到着した。
「さ、入ってくれ。狭いけど我慢してくれ」
タウの自宅はスラムのすぐ近くだった。
「おう、帰ったぞ」
「お帰り。あら?お客さんかい?」
エプロンで手を拭きながら玄関に出迎えたタウの妻がガンマと康人を見てニコリとする。
「おや、ガンマじゃないかい。久しぶりだね。元気だったかい?」
「おう、久しぶりだな。ゼターも元気そうじゃねえか」
「あたしゃいつも元気だよ。で、そちらのお方は?」
ガンマの横に立つ康人をチラッと見るゼター。
「この人はマッサージの先生なんだそうだ。今ファイの治療の帰りなんだとさ」
とタウが康人を紹介する。
「あらそうかい。マッサージの先生なのかい。あたしゃゼター、タウの妻さ。よろしくね先生」
ゼターは康人の前まで行くと軽く頭を下げる。
「あ、俺は康人です。よろしくお願いします」
と言うと康人も軽く頭を下げる。
「それで先生、ファイの具合はどうだった?」
「うん。かなり悪かったけど、たぶん近いうちに冒険者に復帰できるんじゃないかなと思う」
「そうかい!それはうれしいね。ありがとね先生!」
と言うとタウは康人の手を白杖ごと握った。
「ファイちゃんも喜んでくれててよかったです」
ニコリとする康人。
「それで?」
とこんどゼターはタウの方を見る。
「そこでばったり二人と会ってな、俺の身体のことを話したらマッサージしてくれるって言ってくれてよ」
「そうなんだ。それはよかったねタウ」
とゼターもうれしそうだ。
「それじゃこんなとこで話してたら失礼さね。さ、先生、狭いとこだけど入っておくれよ。さ、ガンマもついでに」
「俺はついでかよ」
と苦笑するガンマ。
中に入るとさっそくとばかりにタウを寝台に横にさせると触診を始める康人。
「それじゃまずは仰向けで」
タウに仰向けになってもらうと両足を診る。やはり義足の棒をつけた右足の負担となっている左足はパンパンに張っていた。
「やっぱり左足にかなり負担がかかってるみたいで筋肉の張りが強いな。そして右足だけど、あまり使ってないみたいだな。少し筋肉がやせている。もっと運動をしてなるべく筋肉がやせないようにしないと」
「そうなんだ」
と触診している康人を見るタウ。
「少しマッサージします」
「うへぇ、気持ちいいな」
と気持ちよさそうな声をあげるタウ。
「そうだろ。ヤッさんのマッサージは絶品だからな」
と腕組みをしてどや顔のガンマ。
「なんでガンマがどや顔なんだい?」
ゼターがくすくす笑いながらガンマの背中を叩く。
「いや、ガンマのいうとおりだ。先生の施術は最高だぜ」
と笑うタウ。
「はは。みんなちょっと褒めすぎ」
と照れる康人。
「先生、けっこうかわいいとこあるんだね」
とまたも笑うゼター。
「おいおい」
頭をかく康人。
「さ、今度はうつ伏せになって」
康人は両下肢のマッサージを終えると今度はタウをうつ伏せにさせる。そして背部から腰臀部にかけて触診しながら施術する。
「こりゃかなり堅いな。やっぱり歩行のバランスがかなり悪いみたいだ。腰もかなり張ってるし」
「そうなんだ。うっ、そ、そこっ、痛いけど気持ちいい」
とタウは眉間を寄せるが口はだらしなく開いていた。
「それじゃ最後に座ってください。肩を施術します」
タウをベッドの端で座位にさせると頸部から肩上部を施術していった。
「うわあ。いいぞ!こりゃたまらん!」
目じりを下げ口を開けたままのタウの顔を見てゼターがケラケラ笑う。
「タ、タウ!あ、あんた、アホ面になってるよ。わはははは!」
「確かに。アホ面のまぬけ面だぞタウ。ガハハハハ!」
ガンマはタウを指さして爆笑する。
「仕方ねえだろうが!ほんとに気持ちいいんだからよ!ガンマもたぶんこの気持ちよさ知ってるんだろ?!」
「ははは、すまんすまん。俺もヤッさんのマッサージの気持ちよさはよく知ってるぜ。でも、今のお前みたいにはなってねえよ、たぶん」
「ははは、たぶんかい」 と隣で笑っているゼターがツッコミを入れる。
「はは、たぶんなたぶん」
「そりゃ今の俺と一緒だって言ってるのと同じだぞ」
とタウも笑った。
「はい。それじゃこれで終わります」
タウの両肩をポンと叩くと康人は治療が終わったことを言う。
「すまなかったな先生。わざわざ来てもらって治療してくれて。ありがとな」
「いえいえ。それより松葉杖の調節してくださいね」
「わかってるって先生。おいゼター、先生に治療費を」
「あいよ、えーと」
「。かなり凝ってたんで40分施術したんで銅貨2枚で」
「 ゼターは康人に銅貨を2枚手渡す。
「おいガンマ」
「なんだタウ」
「お前ここで飯食っていかねえか?よければ先生もどうです?」
「俺はいいけど」
と康人をチラッと見るガンマ。
「悪いけど俺は遠慮させてもらうかな。ガンマはよばれてくれ」
「いいんっすか?」
「ああ、いいぞ」
「わかったっす、それじゃタウ食わせてもらうけど、ちょっと待っててくれ。ヤッさんを家まで送るから」
「そうか、わかった。それじゃ送っていってあげてくれ。でも先生いつかは着てくれよな」
「ああ。よろしく」
康人は再びガンマの太い腕につかまり治療院への帰路に就いた。
「おーい、ヤッさん!ガンマ!」
「ん?この声はリュウトか?」
立ち止まった康人とガンマは声のする方を見ると手を軽く振りながらリュウトが歩いてくるのが見えた。
「リュウトの兄貴っすねヤッさん」
とガンマ。
「おうヤッさん、ガンマと出かけてたのか?」
「ああ。ガンマの知り合いの出張マッサージだ」
「そうなんすよ、俺の知り合いの治療をしてきたんっす」
「そうなのか。お疲れさん」
「あ、うん、ありがとう」
康人の横に並ぶと三人で治療院への帰途に着く。
「ヤッさーん!」
すると今度は女性の声がした。
「シーちゃん?」
「そうっす、シーディアの姐御さんっすよ。仕事帰りですかね」
とガンマ。
「たぶんな。お帰りシーちゃん」
「ただいま」
「俺もいるよヤッさん」
「うん、ビルもお帰り」
「うん」
とビル。
「ヤッさん、それにリュウトとガンマ、三人でどこ行ってたの?」
とシーディアが康人の横に来て尋ねた。
「リュウトとは今会ったとこだよ。それまでガンマの知り合いを二人ほど出張で治療してきたんだ」
「そうだったのね。お疲れヤッさん」
「ありがと。で、そっちは冒険者の仕事はうまくいったのか?」
「うん。初心に帰って薬草採取の依頼を受けてきたの。まあ、ついでにヘルハウンドがいたから討伐したよ」
「そうだったのか、お疲れさん」
ヘルハウンドってなんだっけと心の中で首を傾げたのは秘密にしておいた康人。
「それからリュウトは今日何してたの?」
「俺か?俺はグラマスと例の相談。それからギルドの受付のユキカっていただろ?白い髪の雪女の」
とそれを聞いて「えっ」となる康人。
「な、なあリュウト、ユキちゃんって雪女だったのか?」
「へ?あ、うん、そうだぞ雪女だ。まあ、声だけじゃわからんよな。見た目は白い髪に白い肌、色素の薄い目で雪女ってすぐわかる容姿してるんだ」
「そうだったのか。それならもしかして氷魔法とか得意だったりするのか?」
「うーん、たぶんそうだと思うぞ」
「へえ、そうなんだ」
今度見せてもらおうと思う康人だった。
「それでリュウト、その娘がどうしたの?」
とシーディア。
「あ、うん。ヤッさんの治療院でバイトすることになったんだ」
「バイト?」
「ああ。グラマスのごり押しだけどな。ヤッさんを手伝ってやれってさ」
と肩をすくめるリュウト。
「ふふ。まあ、いいんじゃない」
とシーディアも苦笑した。
5人でたわいのない話をしていると前方でなにやらもめているのが見えた。
「なんだ?」
「さあ、何かしらね」
リュウトとシーディアがいぶかしむ。
「なんかケンカでもしてるみてぇだな」
とガンマ。
「そうだなケンカだぞ。でも、なんか変だ」
とビル。
「ケンカか、どうする?迂回するのか?」
と康人は少し不安そうだ。
「それもいいが……。ん?」
とリュウトはケンカをしている二人を見つめると違和感に気づいた。
「あいつら、笑いながら殴り合いしてるぞ」
「はい?」
四人が不思議そうにリュウトを見る。
ケンカしている二人をよく観察すると、両者とも突っ立ったまま拳だけを相手の顔目掛け殴り続けている。そして二人ともどこを見ているのかわからない目をし、ヘラヘラと笑いながら殴り合いをしているのだった。
「シーディア、お前は兵士を捜してここに連れてきてくれ」
「わかった。で、リュウトたちは?」
「俺とビルであの二人を拘束する。ガンマ」」
「オッス」
「お前はヤッさんを頼む」
「了解っす」
「それじゃ行くぞビル」
「おう!」
シーディアは兵士を捜しにどこかへ走っていき、リュウトとビルはケンカのようなものをしている二人の男に向かっていった。
「変なことがあるもんだな」
「そうっすね」
康人とガンマは道の端に寄りリュウトとビルがケンカの二人を拘束するのを待った。
「(もしかすると……)」
康人はガンマに気づかれないように目に意識を向けて炎心眼を発動させた。
「(やっぱりな……)」
二人の男の魂の炎は赤黒い火に覆われていた。だがこれまで見た赤黒い火とは少し違った。今のあの二人の魂の炎を覆っている赤黒い火は少し薄く見えたのだ。そして青白い魂の炎を覆っている範囲もすこし狭く見えたのだった。
「(ん?あれは……)」
康人はケンカをしている男たちとそれを拘束しようとしているリュウトたちの後ろの方に何かがあるのが見えた。なんだろうと炎心眼に意識を集中すると全身に冷や汗が染み出してきたのに気づいた。
「(な、なんだあれは……。魂の炎……、で、でも……)」
その火は勢いよく燃えていた。だがその炎は赤黒い火だった。通常魂の火は青白く燃えているようにみえるのだが、今見えている火は黒い火なのだ。
「(ど、どういうことなんだ?……。赤黒い火があんなに激しく燃えているなんて……)」
今見えている炎も おそらくは魂の火なのだろうが、赤黒く勢いよく燃え上がっていた。
康人はその奇妙な魂の火を見ながらガンマに尋ねる。
「なあ、ガンマ。あのケンカしてる二人とリュウトたちの向こう側には何があるんだ?」
「はい?向こう側っすか?向こう側はT字路になってて壁があるだけっすよ。どしたんっすか?」
「壁……か……」
「そうっすけど?何かあったんっすか?」
「あ、いや、えと、も、もしも誰かがいて四人の邪魔になったりとばっちりを受けたらだめだなあって、はは」
「そうっすか。でも大丈夫っすよ向こう側には誰もいないっすから。でもヤッさんは心配性っすね」
と小さく笑うガンマ。
「あは、ははは」
頭をかく康人。そして黒い火の方を見た。
「(あ、あれ?どこ行った?)」
さっきまで見えていた赤黒く燃えていた魂の火はかき消えていたのだった。
「ふう……」
袖で額の汗を拭った康人はガンマに悟られないように小さく息を吐いたのだった。
それから約10分後。シーディアが連れてきた兵士がリュウトとビルが拘束した二人の男を連れて行った。
その時、康人たち5人がその場を離れるその光景を離れたところからじっと見ている者がいた。
「ふふふ」
それは呟くように笑うと背を向け何処かへとゆっくりと歩いて行った。
自宅兼治療院に戻るとガンマは康人にもう一度礼を言うとタウの家に戻っていった。
4人で家の中に入るとリュウトが康人に尋ねてきた。
「あのさヤッさん、もしかしてと思うが、さっきのケンカしてた二人……」
「ああ、そうだ。あの二人、赤黒い火が青白い命の炎を覆っていた」
「やっぱりな。あの二人の目、正気じゃなかったからな」
眉間を寄せるリュウト。
「最近あんな人ばっかりよね。この町、どうしちゃったんだろ?」
悲しげなシーディア。
「グラマスも途方に暮れてたもんな」
とビルも険しい顔。
「そうだな。早く解決できればいいな。それと……」
と見えない目で宙を見つめていた康人は三人に顔を向けた。
「リュウトたちが捕り物してる時のT字路の突き当りの向こう側に勢いよく燃えてる赤黒い火が見えたんだ」
「赤黒い火?」
「勢いよく燃えてるのって青白い炎じゃないの?」
リュウトが不思議がりシーディアが尋ねてきた。
「ああ、命の炎は普通は青白い炎だ。でもあの火は赤黒かった……」
康人は袖で額を拭う。
「それってどういうことなんだ?」
とビル。
「わからん。わからんが確かにあの赤黒い火は魂の炎だった。ほんの少しよそ見をしてる間に消えたけどな」
「ヤッさんに気づいたのかしら?」
「さあな。……なんだったんだろうな……」
康人はもう一度額を袖で拭った。
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