230 / 258
233
しおりを挟む
氏政宅
人が訪ねてくるには少し遅いと言うべき時間に先触れがやってきた。細川藤孝が幕府の使者としてこちらにくるとのことだ。粗方予想はついているが面倒な事になったとため息をつきながら出迎えの用意をする。
藤孝が幕府の使者としてくると言うことは義輝の名代としてくると言うことだろう。上座をあけておく。屋敷の門の前で家臣たちと共に立って藤孝がやってくるのを待つ。藤孝は御輿に乗ってくる物だと思っていたが、馬に乗ってこちらにかけてきていた。よっぽど急ぎの用事があるのか切羽詰まっているのだろう。
「ようこそおいでくださいました。ささっ、こちらの者に馬などはお任せくだされ。お部屋までご案内致しまする。」
なるべくにこやかな笑顔を浮かべながら藤孝を出迎える。藤孝は感謝致すと呟くと居住まいを正して後ろについてくる。用意しておいた部屋に案内すると、屋敷の下人に扮した風魔の女忍が温かい白湯を持ってくる。
「まずはこちらをどうぞ。外は大変寒かったと思いまする。手と身体を温めくだされ。」
「これは、かたじけない。感謝致す。」
藤孝が飲み終わるのを待ちながらも緊張感を崩さない様にして厳かに待つ。
「さて、今回私がここにきたのは何故かわかりますかな?」
藤孝が少し不遜な態度で高圧的に問いかけてくる。そんなことされてもびくともしない氏政に苛立ちながらも言葉をつづける。
「北条殿は義輝様に弁明するために京へやってきたのだと私は思っておりましたが、こちらへきてすぐに朝廷へと向かいまるで幕府に楯突く様に官位を様々頂いたようで。これはいかなることにございまするか?」
藤孝は言葉を取り繕う事もせずに感情のまま思いをぶつけた。言い切ってからはしたない事をしたと思ったのだろうか少し襟元を直して落ち着こうとしていた。
「まず、勘違いしないでいただきたいのは我々は元々幕府に先に向かおうとしておりました。しかし、私の友である近衛前久殿から是非にもと乞われて断ることができずに近衛邸に向かったところ、主上の命により参内する様に命じられたのです。畿内の武士はどうか知りませぬが我々坂東武者は昔ながらの朝廷を守るための武家という考えが根強く残っておりまする。そんな我々が主上から呼ばれたら行かぬわけには行きませぬ。」
むぅと藤孝は唸る。言っていることは正論でありそこを咎めることは朝廷よりも幕府が上だと主張する様なものであり言えるはずもなかった。
「では、官位を頂いた事はどう言う事なのでしょうか。幕府に認めてもらえずとも良いと言うふうに受け取る事もできるが?」
「官位はこちらがねだったものにはございませぬ。それは勘違いなされないで貰いたい。朝廷から今までの勤皇の心を認めてもらい、報いるために帝が与えてくださったものにございまする。それは我々北条に対する侮辱行為と受け取ってもよろしいのか!?」
少し語尾を強めて高圧的に言い返す。幕府としては北条からの援助はどうしても欲しいはずだ。北条が従う姿を見せる事で諸大名にも幕府此処にありと権威を見せつけたいのだろう。だからこそ我々の気分を害する事は難しい事を思い出させてやらねばならない。
「い、いやその様なつもりでは無かったのだ。ただ幕府内部で北条の傍若無人な活動が幕府を蔑ろにしていると言う意見が強い風潮なのだ。」
「いえ、こちらも言い過ぎました。申し訳ございませぬ。」
ここで引いておく事で相手に心理的負担を相手に与えておく。
人が訪ねてくるには少し遅いと言うべき時間に先触れがやってきた。細川藤孝が幕府の使者としてこちらにくるとのことだ。粗方予想はついているが面倒な事になったとため息をつきながら出迎えの用意をする。
藤孝が幕府の使者としてくると言うことは義輝の名代としてくると言うことだろう。上座をあけておく。屋敷の門の前で家臣たちと共に立って藤孝がやってくるのを待つ。藤孝は御輿に乗ってくる物だと思っていたが、馬に乗ってこちらにかけてきていた。よっぽど急ぎの用事があるのか切羽詰まっているのだろう。
「ようこそおいでくださいました。ささっ、こちらの者に馬などはお任せくだされ。お部屋までご案内致しまする。」
なるべくにこやかな笑顔を浮かべながら藤孝を出迎える。藤孝は感謝致すと呟くと居住まいを正して後ろについてくる。用意しておいた部屋に案内すると、屋敷の下人に扮した風魔の女忍が温かい白湯を持ってくる。
「まずはこちらをどうぞ。外は大変寒かったと思いまする。手と身体を温めくだされ。」
「これは、かたじけない。感謝致す。」
藤孝が飲み終わるのを待ちながらも緊張感を崩さない様にして厳かに待つ。
「さて、今回私がここにきたのは何故かわかりますかな?」
藤孝が少し不遜な態度で高圧的に問いかけてくる。そんなことされてもびくともしない氏政に苛立ちながらも言葉をつづける。
「北条殿は義輝様に弁明するために京へやってきたのだと私は思っておりましたが、こちらへきてすぐに朝廷へと向かいまるで幕府に楯突く様に官位を様々頂いたようで。これはいかなることにございまするか?」
藤孝は言葉を取り繕う事もせずに感情のまま思いをぶつけた。言い切ってからはしたない事をしたと思ったのだろうか少し襟元を直して落ち着こうとしていた。
「まず、勘違いしないでいただきたいのは我々は元々幕府に先に向かおうとしておりました。しかし、私の友である近衛前久殿から是非にもと乞われて断ることができずに近衛邸に向かったところ、主上の命により参内する様に命じられたのです。畿内の武士はどうか知りませぬが我々坂東武者は昔ながらの朝廷を守るための武家という考えが根強く残っておりまする。そんな我々が主上から呼ばれたら行かぬわけには行きませぬ。」
むぅと藤孝は唸る。言っていることは正論でありそこを咎めることは朝廷よりも幕府が上だと主張する様なものであり言えるはずもなかった。
「では、官位を頂いた事はどう言う事なのでしょうか。幕府に認めてもらえずとも良いと言うふうに受け取る事もできるが?」
「官位はこちらがねだったものにはございませぬ。それは勘違いなされないで貰いたい。朝廷から今までの勤皇の心を認めてもらい、報いるために帝が与えてくださったものにございまする。それは我々北条に対する侮辱行為と受け取ってもよろしいのか!?」
少し語尾を強めて高圧的に言い返す。幕府としては北条からの援助はどうしても欲しいはずだ。北条が従う姿を見せる事で諸大名にも幕府此処にありと権威を見せつけたいのだろう。だからこそ我々の気分を害する事は難しい事を思い出させてやらねばならない。
「い、いやその様なつもりでは無かったのだ。ただ幕府内部で北条の傍若無人な活動が幕府を蔑ろにしていると言う意見が強い風潮なのだ。」
「いえ、こちらも言い過ぎました。申し訳ございませぬ。」
ここで引いておく事で相手に心理的負担を相手に与えておく。
0
あなたにおすすめの小説
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました
グミ食べたい
ファンタジー
現実に疲れた俺が辿り着いたのは、自由度抜群のVRMMORPG『アナザーワールド・オンライン』。
選んだ職業は“料理人”。
だがそれは、戦闘とは無縁の完全な負け組職業だった。
地味な日々の中、レベル上げ中にネームドモンスター「猛き猪」が出現。
勝てないと判断したアタッカーはログアウトし、残されたのは三人だけ。
熊型獣人のタンク、ヒーラー、そして非戦闘職の俺。
絶体絶命の状況で包丁を構えた瞬間――料理スキルが覚醒し、常識外のダメージを叩き出す!
そこから始まる、料理人の大逆転。
ギルド設立、仲間との出会い、意外な秘密、そしてVチューバーとしての活動。
リアルでは無職、ゲームでは負け組。
そんな男が奇跡を起こしていくVRMMO物語。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる
家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。
召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。
多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。
しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。
何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる