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「 1ー3 」似てるけど従兄弟の名前なのに
しおりを挟む目を開けたまま眠っていた薫は起こされる。楽しい夢だったのにと、寂しい。
「カオルさん、到着しました。降りましょう。」
手足が操り人形のよに勝手に動き出す。シートから立ち上がって歩き出した。
(「ニャーこと遊んでたかったのに。ネズミと話したかったのになあ。)
不満に思いながらも、飛行機を降りて空港のターミナルを横切って待っていた車に乗る。
「後、少しですから。寝て下さっても結構ですよ。」
車の後部座席で指示されるままに目を閉じる。また、猫さんとネズミさんと話できたらいいな。
でも、眠りから落ちた夢は楽しい夢じゃ無かったんだ。
薫の両親が喧嘩をしていた。母親が叫ぶように言っている。
『私は、好きな人と居たいの。どうして、いけないのよ!』
母親には、恋人がいる。知りたくないのに知らされた子供たちは、どうなんだよ?
薫は、幼い妹の耳を塞いでいた。恋って人を変えてしまうんだ。無い方が幸せなんだ。
「兄ちゃんが、守ってやるから。」
そう言って握った小さな妹の手は、大きかった。驚いて叫びながら、手を離す。そんな薫を青い制服を来たオバチャンが目を丸くして見ていた。
「どうかしましたか、留目(とどめ)さん?」
「ちょっと、ビックリして。あの、あなたは?」
「はじめまして、入寮された生徒さんの身の回りの世話をしている寮の職員です。吉田といいます。宜しくお願いします。」
「は、はい。あの、あの、僕は。」
「留目 薫さんですね、伺ってます。夕食を届けに来たんですけど、食べて下さいね。食器は、ドアの前に置いて頂きます。」
「留目?あの、あの。」
「身体が弱いと大変ですね、お休み下さい。では、失礼します。」
「あ、あの、あの?」
吉田さんは、頭を下げると部屋を出て行った。残された薫は、ベッドに正座して見送る。頭の中が混乱していた。
「僕が、身体が弱いって。どうして?それに、留目 薫って。どうして?僕は、坂道 薫なんだけど!」
そうです、留目じゃありません。叔父の留目さんには息子がいて名前が同じ「かおる」ですけど。留目 馨だから、違いますけど。
何で、勘違いしてるんだろう。分からないなあ。
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