(完)恋なんてのは忌まわしいだけだが必要だよ

川なみな

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「 1ー2 」夢だぞー

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電車の中の光景、飛行機の中の光景。そんな事をテレビの画面で眺めるように薫は見ていた。


(わー、凄いな。飛行機に乗るの初めてだ!)


本当だったら興奮して落ち着かないはずなのに。薫の身体は、普通にシートに腰を降ろす。


「ビデオを観ていなさい。」


備え付けのヘッドフォンを手渡す手。それを受け取って、映画を見る。違う、観てるふりだ。薫は起きてるようで寝てる状態だから。


(ふぁー、眠い。寝よう。)


薫は、目を開けたまま眠り込む。何でだろう、夢なのに疲れてる。眠りの中へ落ちていくと、別の夢が待っていた。

そこには、可愛い猫さんが座っていたのだ。真っ白な毛並みに金色の瞳。薫は嬉しくなって話かける。


「こんにちは、猫さん!」

「気安く話かけるでない、私は「如花(にょか)だ!」

「へー、ニャーかちゃん?」

「これ、人間。お前は、耳が悪いのか。」

「ニャーかちゃん、可愛いねー。へっへへへ♪」

「・・・・・・!」


やっぱり、夢だ。猫が喋ってるから。薫は、気がついた。この猫は新種の猫だ。だって、尻尾が三本もあるから。

ペタンペタンと床を打ち付ける三本の尻尾。不思議な猫だけど、可愛い。薫は、ニマニマしながら眺める。


「欲しいなあ、飼いたいなあ。僕だけのペットが欲しいんだけど、飼えないんだ。僕の家じゃないから。」


怒ってたはずの猫だが、見つめられてるのが落ち着かないらしい。モゾモゾしている。そして、薫に顔を向けて威嚇してくる。


「フウーー、ジロジロ見るな!」

「猫さんは、恥ずかしがり屋なんだね。そんなに、可愛いのに。」

「可愛い?」

「うん、とっても。僕のペットにしたいくらい。」

「ペット?お主は、自分の家では無いとか言っておったか。何故、親とは住んでおらぬ?」

「まーね、事情があってさ。僕だけ、叔父さんの家に居候してるんだ。」

「居候?訳ありのようだな。ならば、技を与えてやろう。」

「技を、僕に?」

「そうだ、特別だ。「しかん」という技だ!」


「しかん」という技は、何の技?「試験(しけん)?」は違う。「時間(じかん)?」も違うよね。

その時、声がした。誰かが叫んでる。


「おめでとうございます、頂きました。新技の「しかん」です。お役立て下さい!」


声のデカさにキンキンする両耳を押さえながら見回して気がついた。自分の学生服の胸ポケットに何か居るのに。


「え、ネズミー!」

「失礼な奴だ、下老(かろう)の鼠下駄(ネズミゲータ)だぞ。礼儀を知らないのか?」


ネズミに怒られてしまった。でも、小さくて可愛い。薫は、この猫とネズミを飼いたいと思う。

だけど、本当は飼える物では無かったのだ。

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