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「 1ー5 」身代わりの役目
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寮の職員の吉田さんが、部屋の前で薫を待っていた。職員に連れられた薫は、ホッとする。
「すみません、戻って来れなくなって。迷子になっちゃったんです。」
部屋から出たのはいいが、知らない場所だから帰れ無かった。
「御前様に助けて頂いて良かったですね。これ、届いていましたのでお持ちしました。お家からみたいですよ。」
台車に乗せられた段ボールの幾つかの箱。差し出し人は、叔父の留目だった。部屋の中で開けると、薫の少ない荷物と新しい衣服に新しい勉強道具。
入れられていた叔父からの手紙。
『お前の父親に貸した借金がある。留目馨に成りきれば減らしてやろう。お前を養った恩もある、忘れるな。』
これは、脅しだ。何かの理由があって、従兄弟の馨の身代わりにさせられたらしい。それは、分かった。
この服や勉強道具は、馨の偽物と分からせない為なんだ。
「わ、新品のスマホあるよ。なになに、週末に連絡しろ?」
あのケチな叔父が金を使う事事態、よっぽどの理由があるのだろう。薫は、窓を開けた。夕暮れの風景の中に見えている西洋のお城。
「御前様は、あそこに住んでるって言ってたな。」
あの時、直ぐにスマホで職員を呼んでくれた綺麗な男の子。寮へ連れていってくれた職員が教えてくれてのだ。
「あの方は、この孫塚井学園(まつかい がくえん)の理事長のご子息です。向こうのお城に住んでらっしゃいます。」
第3王子と言っていたけど、本当にお城に住む王子様だった。その王子様と自分が特別な関係になる事を薫は考えもしなかった。
ドアをノックして名前を呼ばれたので開けた。
「こんにちは、カオルさん。」
分からない。「カオル」と呼ばれると、この人の言うままに動き出してしまう薫の身体。眼鏡をかけた背広の男の人は催眠術師みたいだ。
先に立って歩く彼の後ろを歩く。寮から出て校舎に入ってグルッと回ってエレベーターに乗って。薫は、従うだけだ。
「さあ、カオルさん。代表のお部屋です、ご挨拶して下さい。」
偉い人の部屋へ案内されて、無表情で頭を下げる。すると、椅子に座っていた初老の紳士が薫を眺めた。
「これが、留目の息子か。身体が弱いと聞いたが大丈夫か。宿主(やどぬし)?」
あの背広の男が答える。
「はい、医者の診断では健康が基準値以下でした。改善して行きますが、係が決まるまでですので大丈夫かと。」
「そうだな、決まれば用なしだ。では、やってくれ。」
「かしこまりました。」
宿主は、鞄から小さな箱を取り出した。そして、その箱を開ける。中には、ピンクがかった白い玉が入っていた。
「さあ、これからの仮の器だ。行けっ!」
命令に玉が浮き上がる。それ自体が生きてるように。ふわふわと宙に浮き、薫に近づいた。そして、薫の胸に突進した。
バババ、バシュッーー!
玉は薫の胸板へと服の上から入って行くのだ。その違和感は、言い表しようの無い物であった。
それでも、薫はその瞬間に身体を痙攣させただけで終わる。それで、儀式は終了したのだ。宿主は、呪文を唱えた。
「代表、これで大丈夫です。」
「ご苦労だった。後は、第3王子との儀式だな。宜しく頼む。」
津海小路家の当主であり、孫塚井学園の代表理事。息子の為に留目馨を呼び寄せたのだ。
「すみません、戻って来れなくなって。迷子になっちゃったんです。」
部屋から出たのはいいが、知らない場所だから帰れ無かった。
「御前様に助けて頂いて良かったですね。これ、届いていましたのでお持ちしました。お家からみたいですよ。」
台車に乗せられた段ボールの幾つかの箱。差し出し人は、叔父の留目だった。部屋の中で開けると、薫の少ない荷物と新しい衣服に新しい勉強道具。
入れられていた叔父からの手紙。
『お前の父親に貸した借金がある。留目馨に成りきれば減らしてやろう。お前を養った恩もある、忘れるな。』
これは、脅しだ。何かの理由があって、従兄弟の馨の身代わりにさせられたらしい。それは、分かった。
この服や勉強道具は、馨の偽物と分からせない為なんだ。
「わ、新品のスマホあるよ。なになに、週末に連絡しろ?」
あのケチな叔父が金を使う事事態、よっぽどの理由があるのだろう。薫は、窓を開けた。夕暮れの風景の中に見えている西洋のお城。
「御前様は、あそこに住んでるって言ってたな。」
あの時、直ぐにスマホで職員を呼んでくれた綺麗な男の子。寮へ連れていってくれた職員が教えてくれてのだ。
「あの方は、この孫塚井学園(まつかい がくえん)の理事長のご子息です。向こうのお城に住んでらっしゃいます。」
第3王子と言っていたけど、本当にお城に住む王子様だった。その王子様と自分が特別な関係になる事を薫は考えもしなかった。
ドアをノックして名前を呼ばれたので開けた。
「こんにちは、カオルさん。」
分からない。「カオル」と呼ばれると、この人の言うままに動き出してしまう薫の身体。眼鏡をかけた背広の男の人は催眠術師みたいだ。
先に立って歩く彼の後ろを歩く。寮から出て校舎に入ってグルッと回ってエレベーターに乗って。薫は、従うだけだ。
「さあ、カオルさん。代表のお部屋です、ご挨拶して下さい。」
偉い人の部屋へ案内されて、無表情で頭を下げる。すると、椅子に座っていた初老の紳士が薫を眺めた。
「これが、留目の息子か。身体が弱いと聞いたが大丈夫か。宿主(やどぬし)?」
あの背広の男が答える。
「はい、医者の診断では健康が基準値以下でした。改善して行きますが、係が決まるまでですので大丈夫かと。」
「そうだな、決まれば用なしだ。では、やってくれ。」
「かしこまりました。」
宿主は、鞄から小さな箱を取り出した。そして、その箱を開ける。中には、ピンクがかった白い玉が入っていた。
「さあ、これからの仮の器だ。行けっ!」
命令に玉が浮き上がる。それ自体が生きてるように。ふわふわと宙に浮き、薫に近づいた。そして、薫の胸に突進した。
バババ、バシュッーー!
玉は薫の胸板へと服の上から入って行くのだ。その違和感は、言い表しようの無い物であった。
それでも、薫はその瞬間に身体を痙攣させただけで終わる。それで、儀式は終了したのだ。宿主は、呪文を唱えた。
「代表、これで大丈夫です。」
「ご苦労だった。後は、第3王子との儀式だな。宜しく頼む。」
津海小路家の当主であり、孫塚井学園の代表理事。息子の為に留目馨を呼び寄せたのだ。
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